空手
レポート

【新極真会】全世界ウエイト制大会で日本が女子3階級、男子は2階級を制覇。重量級は男女ともリトアニアが制す

2022/09/29 15:09
新極真会「第7回全世界ウエイト制空手道選手権大会」2022年9月24日(土)25日(日)ポーランド・キエルツェ  9月24日~25日の2日間にわたり、ポーランド・キエルツェで第7回全世界ウエイト制空手道選手権大会が開催された。コロナ禍による1年の延期を経ての開催となった今大会には、世界103の国と地域から選抜された178名がエントリーし、男女各4階級ずつに分かれて王座が争われた。(写真/レポート提供=新極真会) 【女子軽量級】  準決勝第1試合は、得意の左上段横蹴りでウクライナのアロナ・フェレスニアクを攻め込んだ小嶋夏鈴が勝利。第2試合の宇都宮美咲と手島海咲の一戦は、最終延長に入ってやや手数で上回った宇都宮が3-2の僅差で決勝戦の切符を勝ち取った。  フレッシュな顔合わせとなった決勝戦は、小島の横蹴りと宇都宮のヒザ蹴りが交錯。本戦は1(小嶋)-0と甲乙つけがたい内容となった。延長に入っても互角に近い展開が繰り広げられたが、後半に入って宇都宮が力強いヒザ蹴りでペースアップ。延長3-0の僅差ながら、堂々の組手で世界の頂点に駆け上がった。 優 勝 宇都宮美咲(日本)準優勝 小嶋夏鈴(日本)第3位 手島海咲(日本)第3位 アロナ・フェレスニアク(ウクライナ) [nextpage] 【女子中量級】  日本人がベスト4を独占している中量級は、延長に入ってペースを上げた吉田優輝が井上ほの花を下し決勝戦に進出。加藤小也香と冨村日花の一戦は、後半にヒザ蹴りをまとめた冨村が延長5-0で勝利した。  第7回JFKO全日本大会で躍進を見せた両者の決勝戦は、期待に違わぬ好勝負となった。左構えの吉田に対し、冨村は左に回りながら下段廻し蹴りを連打。中盤になって吉田が突きをまとめたが、冨村もヒザ蹴りで迎撃し本戦3-0で勝利。世界の舞台で、力強く新時代の扉をこじ開けることに成功した。 優 勝 冨村日花(日本)準優勝 吉田優輝(日本)第3位 井上ほの花(日本)第3位 加藤小也香(日本) [nextpage] 【女子軽重量級】  準決勝第1試合は、石原凜々と網川来夢が真っ向勝負を展開した。得意のヒザ蹴りを積極的に繰り出す網川に対し、石原も突きと下段廻し蹴りで応戦。勝負どころでギアを上げた石原が、決勝戦へと駒を進めた。第2試合はスウェーデンのミリアム・ビョルクルンドとリトアニアのルタ・ブラズィオナイテが激突。圧力で上回ったブラズィオナイテが本戦5-0で快勝した。  決勝戦は顔面殴打で注意1を受けたものの、石原がブラズィオナイテの持ち味を消すような冷静な組手を披露。注意後は中段突きではなく下突きとヒザ蹴りに攻め手を切り換え、本戦4-0で堂々の勝利を飾った。大舞台で初の頂点に立った石原は、試合後に石原延支部長の激励を受け涙を流す場面も。ビッグタイトルの獲得に華を添えるように、試合後の表彰式ではベストファイターにも選出された。 優 勝 石原凜々(日本)準優勝 ルタ・ブラズィオナイテ(リトアニア)第3位 網川来夢(日本)第3位 ミリアム・ビョルクルンド(スウェーデン) [nextpage] 【女子重量級】  ブルガリアのイヴァンカ・ポポヴァとリトアニアのブリジダ・グスタイタイテの準決勝戦は、体格差を活かした攻めで前に出続けたグスタイタイテが本戦5-0で勝利。続く第2試合は、体格で大きく上回るモニカ・ジエリンスカがパワーで目代結菜を圧倒。ポーランド勢の勝利に場内が沸く中、日本勢が決勝戦を前に姿を消すこととなった。  決勝戦は184cmのグスタイタイテが、地元の大声援を背に初の世界タイトルを狙うジエリンスカを圧倒。最後はヒザ蹴りのラッシュを仕掛け、本戦5-0で重量級の頂点に立った。 優 勝 ブリジダ・グスタイタイテ(リトアニア)準優勝 モニカ・ジエリンスカ(ポーランド)第3位 目代結菜(日本)第3位 イヴァンカ・ポポヴァ(ブルガリア) [nextpage] 【男子軽量級】  準々決勝第1試合は、河瀬惇志がカザフスタンのイェラマン・ムカシェフに延長5-0で勝利。続く大坪裕希と手島一翔の一戦は、後半にギアを上げた大坪が本戦4-0で逃げ切った。澤井天心とポーランドのダニエル・ステルニクは、巧みなスイッチで距離を制した澤井が本戦4-0で準決勝に進出。優勝候補のアンドレイ・ズィンチェンコを破った細川昂大と飯野駿の一戦は、左下段廻し蹴りでつねに先手を取った飯野が本戦4-0で勝利した。  準決勝戦は手数で上回った河瀬が大坪を退け、一足早く決勝戦に進出。続く東京城南川崎支部の同門対決は、距離を詰めての打ち合いを制した飯野が澤井を延長5-0で振り切った。  決勝戦は飯野が接近戦で右下段廻し蹴りを連打。河瀬も積極的に突きを繰り出したが、金的と押しによる注意で減点1を取られ劣勢に。結果、飯野が本戦5-0で集大成と位置づけていた世界ウエイト制のタイトルを獲得した。 優 勝 飯野 駿(日本)準優勝 河瀬惇志(日本)第3位 澤井天心(日本)第3位 大坪裕希(日本) [nextpage] 【男子中量級】  準々決勝は、下段廻し蹴りを積み重ねた吉澤穂高が延長3-0で金岡陽大に勝利。越智純貴は苦しみながらも、カザフスタンのエルケブラン・ベイセムバイェフを延長5-0で振り切った。逆ブロックは最終的に手数で上回ったダヴィット・ムスカラゼが藤田春人に辛勝。残る一枠は後迫龍輝の棄権により、ミハイル・ツィクラウリが勝ち上がった。  準決勝第1試合は、得意の右下段廻し蹴りで押し切った吉澤が、延長5-0で越智に勝利。ムスカラゼとツィクラウリのジョージア対決は、後半に突きと下段廻し蹴りでラッシュを仕掛けたツィクラウリが本戦4-1で勝ち名乗りを受けた。  決勝戦は要所で下段廻し蹴りを突き刺した吉澤が、つねに攻勢をキープした。ツィクラウリに付け入るスキを与えず、本戦5-0で快勝。5年前の屈辱を晴らすように、自らの手で王座を奪還してみせた。 優 勝 吉澤穂高(日本)準優勝 ミハイル・ツィクラウリ(ジョージア)第3位 越智純貴(日本)第3位 ダヴィット・ムスカラゼ(ジョージア) [nextpage] 【男子軽重量級】  準々決勝は、まずは多田成慶がリトアニアのジャスティナス・クヴィエトカを本戦4-0で下し、準決勝に進出。渡辺和志は距離を潰しての接近戦でペースをつかめず、サラハト・ハサノフに最終延長で惜敗した。スウェーデンのヨナス・ロジンとジュラス・ソコロヴァスの一戦は、後半に突きを積み重ねたソコロヴァスが本戦で勝利。カザフスタンのウラジミール・アルチュシンとヴァレリー・ディミトロフの準々決勝第4試合は、最終延長3-2の僅差でヴァレリーが辛くも逃げ切った。  準決勝戦は突きと右の下段廻し蹴りでハサノフの前進を止めた多田が、本戦3-0で決勝戦への進出を決めた。最終シードのヴァレリーはソコロヴァスの無尽蔵のスタミナに飲み込まれ、最終延長0-5で惜敗した。  多田とソコロヴァスの決勝戦は、お互いの魂を削り合うような消耗戦となった。下段廻し蹴りと豪快な鉤突きで攻め込む多田に対し、ソコロヴァスもかわすことなく真っ向から応戦。ともに一歩も引かず、本戦は0-0となった。だが延長戦に入ると無尽蔵のスタミナを誇るソコロヴァスが、体格差を活かしてやや優勢に。3-0の僅差ながら、強敵を次々と撃破した上で軽重量級の頂点に立った。なお試合後の表彰式では、石原凜々とともにベストファイターとしても選出された。 優勝 ジュラス・ソコロヴァス(リトアニア)準優勝 多田成慶(日本)第3位 サラハト・ハサノフ(アゼルバイジャン)第3位 ヴァレリー・ディミトロフ(ブルガリア) [nextpage] 【男子重量級】  重量級の準々決勝第1試合は、マレック・ヴォルニーの圧力に苦しんだもののエヴェンタス・グザウスカスが順当に勝利。最終ゼッケンを背負った入来建武も、右下段廻し蹴りでリトアニアのオレスタス・アバゾリウスから技有りを奪う貫録の闘いぶりで準決勝に駒を進めた。残る二枠は鈴木皓大を振り切った渡辺優作、右中段ヒザ蹴りでエドガー・セシンスキーの動きを止めたマシエ・マズールが勝ち取った。  波乱が起こったのは準決勝。グザウスカスは渡辺を退けたものの、マズールを迎え撃った大本命の入来が本戦0-3で敗退。序盤は左下段廻し蹴りで優位に試合を進めたが、終盤に突きとヒザ蹴りのラッシュを受け動きが止まり、まさかのベスト4止まりとなってしまった。  マズールの決勝進出により、ファイナルは今大会随一の盛り上がりとなった。序盤から果敢に攻め込むグザウスカスに対し、マズールも下がることなく正面から応戦。だが、試合が進むにつれグザウスカスが押し込む場面が目立ち始める。足を止めて徹底抗戦を仕掛けるマズールだが、グザウスカスの勢いは止まらず。結果、圧力で勝ったグザウスカスが強豪ひしめく重量級を制し、名実ともに海外勢の新たな顔となった。 優勝 エヴェンタス・グザウスカス(リトアニア)準優勝 マシエ・マズール(ポーランド)第3位 渡辺優作(日本)第3位 入来建武(日本)
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア