キックボクシング
レポート

【KNOCK OUT】良太郎が首ヒザ地獄で渡部太基を返り討ち、小笠原瑛作がKO圧勝で2階級制覇、龍聖も圧巻のKO勝ち

2022/09/23 21:09
KNOCK OUT 2022 vol.52022年9月23日(金)東京・後楽園ホール ▼ダブルメインイベント第2試合(第8試合) 【G-BALLER Presents】初代KNOCK OUT-BLACKウェルター級王座決定戦 3分3R延長1R〇良太郎(池袋BLUE DOG GYM/team AKATSUKI)判定2-0 ※29-29、29-28、30-29×渡部太基(TEAM TEPPEN)※良太郎が初代王座に就く。  良太郎は“千の職質を受けた男”として知られる強面で、パンチと首相撲からのヒザ蹴りを武器に2017年11月にはREBELS-MUAYTHAIライト級王座を獲得。2019年2月には初防衛にも成功している。2019年8月に雅駿介、2020年2月にスアレックに敗れて連敗したが、2021年2月には橋本悟からダウンを奪って勝利し復活。今回はそれ以来の試合となる。戦績は14勝(5KO)13敗5分。 渡部は藤原ジム所属として2006年3月に全日本キックでプロデビュー。Krush、M-1、REBELS、RISEなど様々なリングで活躍し、2011年1月にトーナメントで優勝して初代WPMF日本ウェルター級王者となり、2016年1月にはKrush同級王座を奪取。RISEのウェルター級王座決定戦にも2度挑んでいる。2019年7月の『RIZIN,17』でHidekiに判定2-0で敗れると引退を示唆したが、2021年11月に2年半ぶりに復帰。松山翔からダウンを奪って勝利すると、今年4月大会では杉原新也にも勝利して2連勝。戦績は24勝(13KO)27敗2分。 両者は7月大会で初対戦し、良太郎が判定3-0(29-28×3)で勝利。試合前から激闘が期待された一戦で、1Rは渡部が左右フックのラッシュで良太郎をダウン寸前まで追い込んだが、2Rになると良太郎が首相撲からのヒザ蹴りで逆襲。最後は執念の首ヒザで良太郎が勝利をもぎ取った。  ダイレクトリマッチで今度は王座を懸けての戦いとなる。  1R、良太郎はミドルを蹴ると、さっそく前回も渡部を苦しめた首相撲で組みに行きヒザ蹴り。渡部も首相撲で応戦してヒザを蹴るが、良太郎はしつこく徹底的なヒザ。首相撲の技術では差があるようだ。しかし、渡部は離れ際に左フックを2発ヒットさせ、良太郎をグラつかせるが良太郎はしつこく組みに行く。  2Rも徹底して組んでのヒザ蹴りに行く良太郎に渡部もヒザ蹴りで応戦。離れ際に前蹴り、左右フック、そして左ボディ。良太郎はひたすらヒザ蹴りで攻めまくる。  3R、渡部は戦局を変えるために飛びヒザ蹴り、左右フック、さらに左ローで良太郎をふらつかせるが、良太郎はすぐに首相撲に捕まえてのヒザ蹴り地獄。徹底的に首相撲&ヒザを貫き通し、自らも消耗しながらヒザを蹴り続ける。渡部も左ローと左右フックで反撃を試みたが、そのまま試合終了。  最後まで作戦を貫いた良太郎が判定2-0で勝利。初代王座のベルトを巻いた。  良太郎はマイクを持つと「才能とか全然ないんですけれど、後楽園ホールのメインをはるのに10年かかりました。10年でメインをはって、ベルトが獲れてこの道を諦めずに続ければ結果が出るということを証明できたと思います」とマイクで語った。 [nextpage] ▼ダブルメインイベント第1試合(第7試合) 第2代KNOCK OUT-REDフェザー級王座決定戦 3分5R延長1R〇小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)TKO 2R 0分58秒 ※右フック×TAKERU(GET OVER)※小笠原が第2代王座に就く。  小笠原はジュニアキックで活躍後、2011年7月にプロデビュー。2013年5月にプロ9戦目でREBELS-MUAYTHAIフライ級王座を獲得、2015年7月にはREBELS52.5kg級王座も手にした。2017年9月、ISKA K-1ルール世界バンタム級王座を獲得。2021年3月にはトーナメントを制してKNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者となった。サウスポーから放たれる左ストレート、左ミドルキックが得意。前戦は2021年11月に壱・センチャイジムを判定3-0に破り、初防衛に成功している。その後はフェザー級転向を表明し、今年3月には大田拓真を判定3-0で降している。戦績は39勝(19KO)6敗1分。 対するTAKERUは2021年1月に瑛作の兄・小笠原裕典に判定勝ちしてKNOCK OUT初戦を飾ると、3月大会では龍聖との新鋭対決に臨んだが1Rに左肩を脱臼するアクシデントもあり判定負け。その後、長期欠場からの復帰を機にリングネームを本名の大脇武(おおわき・たける)からTAKERUに変えて、今年7月に栗秋祥梧と対戦。3倍以上のキャリアを持つ実力者を相手に完勝を飾っている。戦績は15勝(7KO)6敗。 1R、小笠原は蹴りを上中下と蹴り分け、左ストレートも顔面とボディへ打ち分ける。TAKERUの左ボディ、ジャブをもらうこともあったが、小笠原のペースで進む。小笠原はTAKERUの前足をインとアウトから蹴り、TAKERUは早くもダメージを感じさせる。  2Rもローを徹底的に狙い撃ちする小笠原。パンチからローへ確実につないで、左右ローでTAKERUの前足を蹴り続ける。勝機と見た小笠原はパンチとローの波状攻撃。右フックでダウンを奪うと、さらにラッシュをかけて最後も右フック。  TAKERUが2度目のダウンを喫したところで、これ以上は試合続行不可能と見たレフェリーが試合をストップした。  圧勝で2階級制覇に成功した小笠原は「半年ぶりにKNOCK OUTのエース小笠原瑛作が帰ってきました。天心×武尊が東京ドームでやりましたけれど、このKNOCK OUTを僕が引っ張っていってあの舞台にもっていきたいと思います。会場にいる皆さん、僕とKNOCK OUTについてきてください」と、東京ドームを目指すとマイクアピールした。 [nextpage] ▼セミファイナル(第6試合) スーパーファイト KNOCK OUT-BLACKフェザー級 3分3R延長1R〇龍聖(フリー)KO 1R 1分06秒 ※左ヒザ蹴り×小笠原裕典(クロスポイント吉祥寺)  龍聖は小学1年生でキックボクシングを始め、HIROYAの指導を受けアマチュアで多くの経験を積んで2019年4月にプロデビュー(KO勝ち)。同年8月のREBELSに初参戦し、強打で2R53秒KO勝ち。その後もKOで連勝し、6戦6勝全KO勝ちのパーフェクトレコードを更新していたが、2021年3月大会で大脇武(現TAKERU)に判定勝ち。無敗記録は更新したものの初めてKOを逃してしまった。8月大会では井上竜太を1R2分でTKOに仕留め、10月にはKNOCK OUT-BLACKフェザー級王座決定戦で銀次を判定3-0に破り初代王座に就いた。2022年4月には初の国際戦でメディ・ジライフィ(スペイン)にも勝利、7月にはRIZINに初参戦して魁志に3RでTKO勝ち。11勝(7KO)と無敗記録を更新している。 小笠原は『ONE』に参戦して4戦を経験。2020年2月の「REBELS-RED 55.5kg級王座決定トーナメント」1回戦では森岡悠樹を延長戦の末に破り、勝利をもぎ取った。続く準決勝でもKING強介を延長戦で降したが、コロナの影響でトーナメントの日程が延期・変更となったことも影響し、55.5kgを維持することが厳しくなったため決勝戦を辞退。57.5kgのフェザー級へアップし、合わせてREDルールからBLACKルールに転向したが、2021年1月の第一戦で大脇武(現TAKERU)に判定負けを喫した。5月には龍聖と王座を争うことになる銀次と延長戦の末にドロー。今回は1年4カ月ぶりの復帰戦となった。 1R、龍聖はジャブと右ロー、小笠原もジャブといきなりの左フック。龍聖のスピードのあるジャブが鋭く決まり、さらに左ハイ、右フック。小笠原もパンチを打ち返すが、右フックに龍聖が左ボディを合わせる。これで一瞬動きが止まる小笠原に龍聖は左のテンカオをグサリ。小笠原はうずくまってダウンし、そのまま立ち上がることなく龍聖のKO圧勝となった。 “どうだ”と言わんばかりに勝利をアピールした龍聖は「今日は短く。KNOCK OUTという物語の主人公としてこのストーリーを完結させたいと思っています。3月へ向けて皆さん僕についてきてください」と、意味深なコメントを残した。 [nextpage] ▼第5試合 第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R〇壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム)判定3-0 ※30-28×2、30-27×大野貴志(士道館新座ジム)※壱が決勝戦へ進出。  壱は2019年12月のムエタイオープンで岩浪悠弥にまさかの初回KO負けを喫し、14連勝が途切れた。2020年2月のルンピニースタジアムでの再起戦でも敗れ、9月のKNOCK OUTで小笠原瑛作にも初回KO負けと絶不調だったが、12月のREBELSで鈴木貫太から久々の勝利を収めた。岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメントでは準決勝(1回戦)で岩浪悠弥にリベンジ勝利も、決勝で加藤有吾に3度のダウンを奪われての判定負け。2021年3月に古村光を判定で破って再起を果たすと8月大会で森岡悠樹に判定勝ち。11月には小笠原瑛作が保持するKNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座に挑戦したが、判定負けでリベンジ&王座奪取に失敗した。2022年1月、横野洋を2RでKOして再起を果たすと7月にはNKBバンタム級王者・海老原竜二をTKOに破った。戦績は20勝(8KO)1分。 大野は頑丈な身体とパンチを中心とする攻撃力の高さで2012年1月にMA日本バンタム級王座(4度防衛)を獲得後、2014年にはBigbangスーパーバンタム級王座(1度防衛)、2017年にはWMC日本同級王座を獲得した三冠王。2019年8月には「KING OF KNOCK OUT初代スーパーバンタム級王座決定1DAYトーナメント」に参戦したが準決勝で江幡塁に判定2-0で敗れた。 1R、サウスポーの壱が左ミドルを蹴ると大野は右カーフを合わせてくる。右カーフを狙い撃ちする大野に壱は距離を少し遠くしての左ミドルを当てていく。さらに左ミドルを蹴ってすかさずの左ストレート、左ミドルを蹴らずに左ストレートとパンチでもクリーンヒットを奪った。  2R、左ミドルをバンバン蹴る壱に大野は右カーフで対抗。大野は左右フックを放って切り込んでいくが、壱は左ストレートで迎え撃つ。ヒジも繰り出す壱。最後はノーガードになって大野を挑発し、大野が打ってきたところへ左ストレートを放つ。  3R、壱は前へ出てこようとする大野を前蹴りで突き放し、接近するとヒザ蹴り。大野は左右フックで倒しに行くが、壱の距離を獲る戦いになかなかヒットを奪えない。壱がバックハンドを空振りしたところで右フックを当てたが、残り1分で壱が首相撲からヒジ&ヒザの連打で山場をつくる。その後も前蹴りで大野を突き放し、逆転を許さず判定勝ちした。 [nextpage] ▼第4試合 第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R〇森岡悠樹(北流会君津ジム)KO 2R 1分38秒 ※右ストレート×炎出丸(クロスポイント吉祥寺)※森岡が決勝戦へ進出。  森岡は2020年の『KNOCK OUT』と『REBELS』で2月の小笠原裕典戦、12月の古村光戦と2試合続けて延長で涙を呑んだが、今2021年1月に横野洋に勝利。6月大会では鈴木貫太をヒジ打ちによるカットでTKOに降し、8月にはスーパーバンタム級トップの一角である壱・センチャイジムに挑んだが判定で敗れた。今年1月大会では元・新日本キックボクシング協会フライ級王者、元ジャパンキック同級王者、スックワンキントーン認定スーパーフライ級王者の三冠王・石川直樹と引き分けている。  炎出丸は2005年4月デビュー、39歳のベテラン選手。首相撲からのヒザ蹴りを得意とし、2013年3月にはJ-NETWORKスーパーバンタム級王座に就いている。今年1月に横野洋にTKO負けするも、5月大会では加藤和也に苦戦を強いられるも得意の首相撲で勝利をもぎ取った。しかし7月大会では工藤“red”玲央に判定負けを喫している。最年長の39歳、キャリア71戦を誇る。  1R、ジャブの差し合いから始まるが、よりジャブを多用するのは森岡。ジャブを突いて右ボディストレート、左フック、テンカオにつなぐ。この右ボディストレートが何度も強烈にヒット。完全に森岡の遠い距離で試合が進み、炎出丸は空振りが目立つ。  2R、炎出丸は右ローを蹴っていくが、森岡は前蹴りとジャブ&ストレートの長い攻撃で距離を作る。前に出る炎出丸は森岡の右ボディストレートに右ストレートを返し、そのまま前へ出たが森岡の右フックにダウンを喫する。  何とか立ち上がった炎出丸だが、よく伸びる森岡の右ストレートをもらうと大きくフラつき、そこへ森岡がパンチをまとめて最後は右でダウンを追加。ここでレフェリーがストップすると同時に炎出丸コーナーからタオルも舞った。  リーチの長さを活かした戦い方で快勝した森岡は「皆さんのおかげで試合が出来ています。さらに仕上げて自分がベルトを巻いて王者になるので次も見に来てください」と優勝宣言した。 [nextpage] ▼第3試合 KNOCK OUT-BLACKライト級 3分3R延長1R×般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺)判定0-2 ※28-30、29-29、28-29〇庄司啓馬(TEAM TEPPEN)  1R、サウスポーの般若は重い左のパンチを顔面とボディに打ち分け、中盤からはこれも重い左ミドルを多用する。庄司は右ミドルと右ローで対抗し、右ハイを空振りするとそのまま回転してのバックハンドブロー。両者は組み合うとそこで止まらずヒザ蹴りの応酬で魅せる。庄司の偶発的なバッティングで般若は左目上から流血。  2R、蹴りの距離で勝負する庄司に、般若は飛び込んでのワンツー、組むとヒザ蹴りの応酬。さらに般若はそこで左ローを奥足へ蹴る。庄司はハイキックを空振りしてのバックハンドブローをかすめさせる。  3R、庄司は蹴りの距離でミドルを当てていき、般若が入ってくると捕まえてのヒザ蹴り。離れ際にも右ストレート。なかなか般若は自分の攻撃を当てることが出来ない。それでも左ストレートをヒットさせる般若だが、庄司にコーナーへ詰められてパンチ&ヒザをもらいコーナーにいる時間が多かった。  判定は2-0で庄司が勝利。「勝ったぞ、俺は! やったー!」と庄司は喜びを爆発させた。 [nextpage] ▼第2試合 KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級 3分3R延長1R×向井貫太(WSRフェアテックス三ノ輪)TKO 3R1分00秒 ※左ストレート〇久井大夢(TEAM TAIMU)  1R開始と同時に久井はコーナーを飛び出して飛びヒザ蹴り。その後はスピードのある右ロー、ジャブでどんどん前へ出ていく。向井は首相撲からヒザへ持ち込むが久井はバックスピンキック、胴廻し回転蹴りと大技も繰り出す。  2Rも速いジャブでイニシアチブを握る久井。向井が前へ出てくると右フックを合わせていく。向井がコーナーに詰まるとバックスピンキックに二段飛び蹴り。向井は打ち合いにも行くがスピードで久井が優る。  3Rも前へ出ていく久井はジャブ、左右フックと手数を増やしていく。向井もパンチを繰り出すが久井のスピードが圧倒的に速い。向井が下がったところに久井が左フックを放ってダウンを奪う。立ち上がった向井へ飛び蹴りを繰り出す久井。ラッシュをかけて最後は左ストレートで向井を仕留めた。  久井はマイクを持つと「前回も今回もKOで倒したので…言いたいのはベルトを作って欲しいです、宮田さん。トーナメントでも何でもいいので。僕、トーナメントが開かれたら絶対に優書するので。まあ、そんな感じです。僕、前の試合の時からYouTubeやっていて、登録してください」と初々しくマイクで語った。 [nextpage] ▼第1試合 KNOCK OUT-BLACKフェザー級 3分3R前田翔太(WSRフェアテックス三ノ輪)古木誠也(G1 TEAM TAKAGI)
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