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【PFL】工藤諒司がバッバ・ジェンキンスの内股からの速攻チョークに準決勝一本負け、地元ラウネーンがウェード下し決勝進出。女子ライト級決勝はケイラ・ハリソンとラリッサ・パチェコに

2022/08/21 04:08

 メインイベント終了後のポストリム第1試合のバンタム級で、失神後のファイターの無意識の動きと、それをさばいたレフェリーに注目が集まっている。

 UAE Warriorsで5連勝するなど8勝無敗のアリ・タリブ(スウェーデン)と、3勝1敗で地元のダリウス・マフィ(英国)が対戦した。

▼バンタム級 5分3R
〇アリ・タリブ(スウェーデン)
[1R 1分50秒 ギロチンチョーク]
×ダリウス・マフィ(英国)

 レスリングベースのマフィは、開始早々にダブルレッグ(両足タックル)に入ると、タリブは金網背に耐える。

 そこでマフィはボディロックからタリブの脇を潜って頭を差し込みバックに回ろうとするが、そこを背後を取らせず、正対したタリブは、マフィの首をとらえてアームインギロチンチョークへ!

 そのまま反転させマウントを奪うタリブは、上から下のマフィの首を絞め上げると、マフィの動きがストップ。

 ここでレフェリーのゲリー・コープランドは、マフィの腕を強めに握り、意識を確認。一瞬、反応したマフィに、レフェリーは続行可能と見たか、反対側に回り込んだところで、マフィは意識が戻ったか、絞められたままで手足をバタつかせ暴れ始めた。痙攣症状を起こしたマフィを見て、レフェリーは試合をストップ。タリブの一本勝ちとなった。

 しかし、そのギロチンの腕を解いた瞬間、無意識にマフィは間に入ったコープランドレフェリーの両足にタックルへ。

 同レフェリーは、金網を背に両足を広げて右で脇を差し、マフィのダブルレッグテイクダウンを防ぎ、そのままマフィが気を取り戻し間違いに気付くのを待つと、周囲のインスペクターたちもケージインし、マフィを押さえて事なきをえた。

 その咄嗟のテイクダウンディフェンスに、PFLの公式は、「2023年のロースター(登録選手)にゲリー・コープランドを加えるべき」とツイート。SNSでもコープランドの腰の強さを指摘するツイートが次々と投稿された。

 一見、ユーモラスな珍シーンに見えるこの出来事だが、テイクダウンを武器とするMMAファイターにとって、自身が不利な状況からのスクランブルしての反撃は、身体に染み付いたもの。

 マフィはタリブのギロチンチョークにほぼ意識を失いかけながら、腕が緩んだ瞬間に、目の前の相手がズボンを履いているレフェリーだとも気付かずにタックルを仕掛けている。ファイターの闘う本能を感じさせるシーンだった。

 ここでもしコープランドレフェリーがテイクダウンを受けて下になっていたらパウンドを浴びていたかもしれない。ギロチンチョークの意識確認の曖昧さはあったものの、コープランドレフェリーがテイクダウンを受け止めることが出来たのは朗報だった。

 実はこのコープランド氏、米国海兵隊時代には、日本に配属され、武道にのめりこみ、古流柔術と沖縄空手を習得した人物。

 現在は米国ノース・カロライナ州ウェインズビルの警察署長兼ヴィレッジマネージャーを務めながら、20年にわたり117戦をレフェリングしている。

 ロンドン大会に派遣されたベテランレフェリーはこの日、MMAのレフェリングの難しさを示していた。

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