タイガームエタイにて、ともに王座戦を目指すクレベルとアンドラージ(C)Kleber Koike
RIZINで5連続一本勝ちのクレベル・コイケ(ボンサイ柔術)が8月15日からタイ・プーケットのタイガームエタイへの出稽古を敢行。「次のタイトルマッチで絶対にチャンピオンになる」と、RIZINフェザー級王者・牛久絢太郎との王座戦の必勝を誓った。
榊原信行CEOが明言しているクレベルと牛久のフェザー級タイトルマッチ。その時期は現在のところまだ未定のようだ。
クレベルは「私が6月にアメリカに行ったのは、7月の試合のオファーがあったから。でもキャンセルになってしまいもったいないなと。というのも、全部自分の財布からファイトキャンプの費用を出しているから。勉強になって良かったけど、試合が出来なかったらもったいない」と、当初は7月のタイトルマッチの可能性も視野に、アメリカントップチームでの出稽古を行ったという。
「全部の試合が大事だけど、次のタイトルマッチがもっと大事。もっと集中して練習して強くなりたい。RIZINの次の試合が9月、10月、11月なのか決まっていないけど、9月がいいね、ほんとうに出たいけど、まだ発表はない。自分はもう1回、海外へ行きます」と、米国に続いて、海外武者修行を行うことを明かしていた。
6月のアメリカントップチームへの出稽古から1カ月半、次に向かったのは、これまで何度も訪れているタイ・プーケットだった。
「日本でも練習できるけど、サトシが右手の手術をしたり、ほかの選手も試合後で怪我をしていたりする。それにもっとアップグレードしたい。外なら違うスタイルの練習になる」というクレベルが、タイで最初に向かったのは、「プーケット・ファイト・クラブ」。
スタンプを破ったONE女子アトム級ムエタイ王者のアリシア・ヘレン・“アラウージョ”ロドリゲス、WBCムエタイ世界ウェルター級王者のルイス・カジャイバら、ブラジル人ファイターも多く在籍する同ジムで、KSW時代から指導を受けているレオ・エリアスことレオナルド・セセゴロ・エリアストレーナーのもと、プライベートトレーニングを行っている。
「ここでは、これまでもずっと練習している。4回目のキャンプかな。レオ・エリアスコーチはKSWのときからずっと自分を助けてくれている」
続けて向かったのは、武尊や平良達郎らも出稽古に訪れたタイガームエタイ。
本誌の取材にクレベルは、「ここは選手が多いのでスパーリングとかを中心に行う」というタイガームエタイで、ONEバンタム級で王者ジョン・リネカーとのタイトルマッチ目前と見られているファブリシオ・アンドラージ(ブラジル)とスパーリングを行っていることを明かしている。
そして、時を同じくして、タイガームエタイには、前UFC世界バンタム級王者のピョートル・ヤンが合流したばかり。RIZINにも出場したトレント・ガーダム(豪州)、ONEで活躍中のキリル・ゴロベッツ(ウクライナ)らも練習中で、クレベルは、「自然が多くてすごく好きな場所。いい相手がいるし、ここに3週間いられることがすごく嬉しいです」と、目を輝かせている。
米国合宿に続く、タイでの単身のファイトキャンプ。これも渡航費から滞在費、現地での指導料などすべてを自身に投資している。
それはいまを存分に生きるためだという。クレベルは、先日、他界した同じ柔術家のレアンドロ・ロについて語るなかで、その想いを明かした。
「レアンドロ・ロは平成元年生まれで同じ年だから、いつも気にしていた。彼のスタイルが好きで、若くてポテンシャルもあった。(銃撃されたのは)ブラジルでも普通の出来事ではない。彼は毎日元気でポジティブだった。
人はいつ死んでしまうか分からない。毎日、日々を生きること。明日がどうなるかも分からない。一日一日を大事に生きること。大切な人にちゃんと愛を伝えて、日々を頑張って考えて生きることが一番いい。
それは今回の出稽古も同じ。いま強くなるチャンスがあるなら、いまのタイミングでやる。『また来年』はいつ行けるか分からない」と、ファイターとしてのピークにすべてを賭けて臨む決意を語る。
「みんな『勝つ』とか『ベルトを獲ってチャンピオンになりたい』とか口だけで言うのは簡単。でもほんとうに頑張らない。私はそれをやりたくない。試合の日の勝ち負けは神様が決めるけど、試合までは100%、ぜんぶやる。もっと頑張って絶対にチャンピオンになるよ」
クレベルが米国とタイで合宿を行うなか、王者の牛久絢太郎も、パワーオブドリーム、K-Clannの夏合宿に連続で参加している。
『RIZIN.37』後、榊原CEOは、牛久vs.クレベルについて、「9月での実施の可能性もあるし、10月、11月と秋の大会も予定しているので、そういうところになるかもしれません」と、今秋の王座戦になることを語っている。
8月中旬から9月頭までのクレベルの3週間の合宿は、9月25日さいたまでの王座戦の可能性も見据えてのものだろう。牛久もクレベルもピークをどこに持っていくのか、試合から逆算する必要がある。さらに、年末参戦も見据えるなか、果たしてフェザー級タイトルマッチはどこで組まれるか。王者も挑戦者も“その時”に備えている。