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【UFC】ヌネスvs.ペーニャ“史上最大の番狂わせ”からのリベンジなるか? フライ級暫定王座戦は、総合力のモレノvs.強打のカラ・フランスの再戦に(髙坂剛)=7.30『UFC277』

2022/07/26 21:07
【UFC】ヌネスvs.ペーニャ“史上最大の番狂わせ”からのリベンジなるか? フライ級暫定王座戦は、総合力のモレノvs.強打のカラ・フランスの再戦に(髙坂剛)=7.30『UFC277』

(C)(写真左より)ジュリアナ・ペーニャ、アマンダ・ヌネス、ブランドン・モレノ、カイ・カラ・フランス。Zuffa LLC/UFC/GettyImages

 

 2022年7月30日(日本時間31日)、米国テキサス州ダラスのアメリカン・エアラインズ・センターで『UFC277』が開催される。

 メインイベントは、王者ジュリアナ・ペーニャ(米国)が前王者で挑戦者のアマンダ・ヌネス(ブラジル)を迎え撃つ、UFC世界女子バンタム級タイトルマッチ。さらにコメインでは「UFC世界フライ級暫定王座戦」として、ブランドン・モレノ(メキシコ)とカイ・カラ・フランス(ニュージーランド)が王座を争う。

 この2試合の見どころを、WOWOW「UFC-究極格闘技-」解説者としても知られる“世界のTK”髙坂剛に語ってもらった。

「強いヌネス」から「うまいヌネス」になれるかどうか

──『UFC277』のメインは、ジュリアナ・ペーニャvs.アマンダ・ヌネスの女子バンタム級タイトルマッチ。前回“UFC史上最大の番狂わせ”と言われ、最強女王ヌネスが敗れた一戦のダイレクトリマッチとなります。

「そうですね。ここ2年ぐらいのヌネスは、負ける姿が想像できないくらい圧倒的な強さを見せていましたから、そのヌネスが完敗を喫するっていうのは、本当に驚きでした」

――ロンダ・ラウジー、クリス・サイボーグ、ホーリー・ホルムをKOしていうるヌネスが打撃で打ち負けて、最後はリアネイキドチョークで一本負けでした。

「ジュリアナ・ペーニャは非常にいいジャブを持ってるんですよね。だから、そのジャブを軸に戦う戦略をしっかり立てていて、そこにヌネスがハマってしまった感じでした。

 また基本的に、これまでの対戦相手はヌネスのプレッシャーに尻込みしていた部分があると思うんですよ。それによって打撃を出しても、いまいち踏み込みが足りなかったり、同じタイミングでパンチを出していたとしても、ヌネスが打ち勝っているシーンばかりでした。ですが、ペーニャはまったく臆することなくジャブを差していって、ペースを握っていった。それができたのは、やはりそれなりの理由があったと思います」

――どんな理由が考えられますか?

「まず1Rの後半は、ヌネスが得意のグラウンドで攻めて行ってたんですけど、ペーニャは慌てず対処していて、その時にある程度の感触をつかんだんじゃないかと思うんです。だからこそ、2R、早々にヌネスがプレッシャーをかけて前に出たところに、しっかり踏み込んでカウンターのジャブで逆に顔面を捕らえた。この二つがペーニャにとって、すごく大きかったと思います」

――自分の中で突破口を見出すことができた、と。

「試合前は、おそらくペーニャの中でもヌネスの幻想が大きくなっていたとは思うんですけど、あのジャブを差して効かせたことで、等身大のヌネスにすることができた。とはいえ、ものすごく強い選手を相手にして途中で“いける!”って気持ちに切り替えられるのは、ペーニャがしっかり準備してきたのはもちろんですけど、相当なメンタルの強さがないと無理。だからペーニャは技術とメンタルを兼ね揃えているなと思いましたね」

──2R、早々にペーニャがジャブを当ててから、ヌネスが焦り出して打撃も少し雑になったようにも見えました。

「ヌネスって、ちょっとまずい状況になるとパンチがフック気味になるんですよ。そしてペーニャの方は、ジャブとストレートが非常にうまいし、フックよりストレートのほうが早く当たるので、ことごとくヌネスのパンチが空を切り、ペーニャのパンチだけがヒットする、ということが起きた。

 またヌネスはながいことパンチを効かされて劣勢になることが無かったので、その分、焦りが生まれたのだろうし、しっかり踏み込む強打の持ち主だからこそ、カウンターが余計に効いてしまうんですよね。そういったいろんな要素が複雑に作用して、一気にペーニャのペースに傾いたんだと思います」

──では、今回7カ月ぶりの再戦、ダイレクトリマッチは、どのあたりがポイントになると思いますか?

「“最強”と言われ続けてきたヌネスが敗れて挑戦する立場になって、また新たな面が出るかどうかですね。これまでの“強いヌネス”だけでなく“うまいヌネス”が出てきたら面白い。これまでのヌネスは打撃も寝技も一気に畳み掛けてドミネートするような戦い方でしたけど、打撃も強い打撃だけじゃなくて強弱をつける。

 倒す打撃だけじゃなく相手の勢いを止める打撃だったり、相手が前に出てきたところに、気勢を削ぐようにタックルに入ったり。そういう試合の組み立て、流れ作りをしっかりできたら、王座返り咲きが見えてくるんじゃないかと思います」

――逆に言うと、モデルチェンジなしでのリベンジは難しそうですか?

「そこを変えられないと、同じ結果になる危険性があると思います。前回は、ペーニャのジャブで劣勢に立たされたとき、“プランB”を用意できなかったことで、そのままいかれてしまった。ペーニャのジャブは、今回もかなり厄介だと思うので、倒す攻撃だけでなく、ペースを取り戻すような動き、組み立てが必要になってくる。だからヌネスはどれだけ戦略、試合の組み立てを練ってくるかが一つの鍵になるでしょうね」

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