MMA
インタビュー

【Bellator】米国デビュー戦を迎えるトフィック・ムサエフ「サトシ戦は怪我をしていた。RIZINで再戦したかったけど、今回勝ってピットブルと再戦し、Bellatorのベルトを巻く。RIZINのリングに戻り、再び勝利する日を待ち望んでいる」

2022/07/21 13:07
 2022年7月22日(日本時間23日朝7時30分からU-NEXT配信)、米国ワシントン州タコマのエメラルドクィーン・カジノ&ホテルで開催される『Bellator 283』に、2019年のRIZINライト級GP覇者のトフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)が初参戦。本誌『ゴング格闘技』が独占インタビューを行った。  当初、ライト級タイトルマッチに出場予定だった王者パトリッキー・フレイレ(ブラジル)が負傷欠場し、代わりにムサエフは、同級1位のシドニー・アウトロー(米国)と対戦する。  もともと4月にサークルケージデビューを飾る予定だったムサエフにとって、当初のザック・ゼーンやアダム・ピコロッティよりも、格上の対戦相手との試合。いきなりのライト級1位との対戦に、ムサエフは「とにかく試合がしたかった。4月の試合も延期になっていたし、戦えることが嬉しい。相手が突然変わったことは全く問題じゃない。僕は勝つためにBellatorに行く。今回の試合に勝って、ピットブルと再戦し、Bellatorのベルトを巻くつもりだ」と力強く語っている。  対するアウトローは、2019年12月のBellator日本大会で、欠場したベンソン・ヘンダーソンの代役として、マイケル・チャンドラーと緊急対戦。1Rに右クロスで敗れたものの、その後、ピッコロッティにスプリット判定勝ち、2021年6月の前戦では元UFCのマイルズ・ジュリーにリアネイキドチョークで3R 一本勝ちし、Bellatorで2連勝をマークしている。  ムサエフがアウトローに勝利すれば王座挑戦も見えてくるマッチアップだが、同大会では、同じライト級で14勝無敗を誇るウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)vs.クリス・ゴンザレス(米国・7勝1敗)も組まれている。ライト級タイトルコンテンダーは誰になるか。注目の試合に向け、ムサエフは、Bellator日本大会への出場も熱望した(text by Horiuchi Isamu)。 米国のサンフォードMMAでもハードな練習をしてきたから準備万端 ──Bellatorデビュー戦を直前に控えた大事な時期に、『ゴング格闘技』のZOOMインタビューに応じていただき、ありがとうございます。10日前の時点では、まだアゼルバイジャンにいらっしゃるんですね。 「そう。(首都の)バクーにいるよ」 ──米国に向けて出発するのは? 「17日だ」 ──試合が米国時間22日ですから、かなりタイトなスケジュールですね。2021年6月のRIZINでのホベルト・サトシ・ソウザ戦以来の試合なので、1年以上間隔が空いてしまうことになりますが、その間のトレーニングはいかがでしたか。 「しっかり積むことができたよ。2021年はアメリカにも行った。サンフォードMMA(現キルクリフ・ファイトクラブ)でハードな練習をしてきたから、今は試合への準備万端だ」 ──ヘンリー・フーフトコーチが率いる一大勢力ですね! あちらでの練習はいかがでしたか? 「最高のトレーニングができたよ。フーフトコーチをはじめとして、チームのみんながすごく良くしてくれた。ウガール・ケラモフも一緒に行ったんだ。強豪たちとトレーニング積んできたので準備万端だよ。Bellatorで戦うのは初めてだけど、面白い試合を見せられると思う。この試合の後、アメリカのファンも僕を愛してくれることを願っているよ。偉大なファイターとして覚えてもらえたらと思っている」 ──昨年、あなたが元UFCライト級暫定王者のジャステン・ゲイジー選手とスパーリングしている動画がアップされたのも拝見したのですが。 「ああ、あれは3年前だよ」 [nextpage] RIZINでサトシと再戦したかった ──そうだったんですね。スパーリングとはいえ、ゲイジー選手と打撃でもレスリングでも五分以上に渡り合っていたのが印象的でした。さて、今度のBellatorデビュー戦の話の前に、昨年6月のサトシ戦について聞かせてください。あの試合は試合前の隔離もあり、今までで一番大変な試合だったのではないですか? 「確かに2週間の隔離もあったし、その前には戦争にも参加した。そして怪我もあった。それでも試合に向けての準備はよくできていたよ」 ──それらが試合に負けた理由ではないと。 「うん。言い訳にするつもりはまったくないよ」 ──あの試合の結果は残念なものでしたが、あの試合で驚かされたことはありましたか? 「いや、試合中には特に。唯一の予期せぬことは、試合前に怪我をしてしまったことだけだ。まあもう終わったことさ。今後さらに強くなろうと思ったよ」 ──どこを負傷してしまっていたか、教えていただいてもいいですか? 「左の肋骨だ」 ──それでは上半身の動きが制限されてしまい、世界最高の切れ味を誇るサトシ選手の三角絞めから逃げるのが、さらに難しくなりそうですね。 「確かにあの負傷は問題だったけど、でもリングに上がれなかったわけじゃない。言い訳にはならないよ」 ──あの試合から学んだことは? 「向こうは僕がこれまで三角絞めで一本負けしたことがあるのを知ってたんだろうね。だからサトシもそれを使ったということだと思う」 ──なるほど。あの日はチームメイトのウガール・ケラモフ選手も惜敗し、チーム・アゼルバイジャンにとっては辛い夜になったと思います。あの後チームでどんな会話を交わされましたか。 「Bellatorと契約するという道もあるということを話したんだけど、でもやはりRIZINでサトシと再戦したかったんだよ」 ──昨年の大晦日ですね。でも結局サトシ選手との再戦は実現ぜず、今年からはBellatorを主戦場にすることを選びました。この決断の理由は? 「マネジャーにもそうしたほうがいいと言われたんだよ。Bellatorの方が強い選手が多いというのもある」 ──RIZINで戦っている時には、自分の戦いを通してアゼルバイジャンという国を日本のファンに知ってもらいたいと仰っていました。北米でも祖国の名を知らしめたいという思いは? 「もちろんだ。アゼルバイジャンの旗をBellatorのケージで掲げたいと思っているよ」 ──あなたが優勝した一昨年のGPは、アゼルバイジャンの公営放送で生中継されて、400万人の国民がそれを観たと聞きました。今回のあなたのBellatorでの試合も、アゼルバイジャンで中継されますか? 「いや、今回は残念ながら時差があるから中継はされないんだ。でも来年、Bellatorのトーナメントがアゼルバイジャンで開催されることを望んでいるよ」 [nextpage] RIZINでのピットブル戦で歴史を作った。Bellatorでも同じ結果になる ──そして今回、当初はアダム・ピコロッティと対戦予定だったのですが、メインで防衛戦を行う予定だった王者パトリッキー・ピットブル・フレイレが欠場。急遽あなたが、当初王座挑戦予定だったシドニー・アウトローと対戦することとなりました。 「僕はとにかく試合がしたかったんだ。4月に一度決まっていた(ザック・ゼーン戦)のに延期になってしまったしね。だから戦えることが嬉しいよ。相手が突然変わったことは全く問題じゃない。誰と戦うかは問題ではなく、僕は勝つためにBellatorに行くからね」 ──主戦場だったRIZINではリングでしたが、ケージだと勝手が違いますか? 「全然気にしてないよ」 ──対戦相手のアウトローはグラップリングが得意な選手ですが、どういう印象を? 「僕にとっては相手が誰であろうが構わない。大いに自信があるよ」 ──今回の試合に勝てば、現在ナンバーワンコンテンダーを倒すことになり、ムサエフ選手が王者パトリッキーのタイトル挑戦権を得る可能性が高そうです。 「それを望んでいるよ。今回の試合に勝って、ピットブルと再戦し、Bellatorのベルトを巻くつもりだ。あの試合で自分の歴史を作った。Bellatorでもまた同じ結果になるよ」 ──パトリッキーのことは一度倒していることもあり、自信が伺えます。他にもBellatorのライト級には、元UFCライト級王者のベンソン・ヘンダーソンや現在14勝無敗のウスマン・ヌルマゴメドフらの強豪もいますが、特にマークしている相手や戦いたい相手は? 「いや、相手は誰でも構わないよ」 ──なるほど。RIZINとBellatorは協力関係にあるので、ムサエフ選手がBellatorのベルトを巻いた後には、RIZIN同級王者のサトシ選手とベルト統一を賭けたリベンジマッチも視野に入っていますか? 「もちろんだ」 ──その際には、前回の試合とはどういう点で異なる戦いとなりますか? 「それはまだ分からないな。僕は現在、アウトロー戦に集中しているから」 ──たしかに、まずは最初の試合に勝つことが全てですからね。本日はありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをいただけますか。 「日本の皆様、こんにちは。私はBellatorという新しい場でベルトを獲りたいと思っています。そしてその後、ぜひ日本のRIZINのリングに戻ってきて、皆様の前で再び勝利する日を待ち望んでいます。I love Japan!」  なお、2022年7月22日(日本時間23日)に米国ワシントン州タコマのエメラルドクィーン・カジノ&ホテルで開催される『Bellator 283』に向け、現地入りしたムサエフは、UFCでアゼルバイジャンのラファエル・フィジエフが、ドス・アンジョスを5R KOに下し、6連勝を決めたことについて、「彼は仲のいい友達なんだ。きっとチャンピオンになるよ」と語ると、初のBellatorについて、「ここでは全てが順調で、Bellatorは可能な限り、僕の面倒を見てくれている。どのファイターも強いプロモーションで戦いたいと思っているし、Bellatorが僕と契約してくれると聞いて、とても嬉しかった。Bellatorに感謝している。どのファイターも今の僕のようになりたいと思っているだろうし、ここで良いパフォーマンスができるようにベストを尽くす。僕は皆を尊敬している。常に強い相手、有名なファイターと戦いたいし、偉大なファイターとして記憶されるようなレガシーを、ここで築きたい」と意気込みを示している。
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