MMA
インタビュー

【ONE】ONE副社長ミーシャ・テイト「吉田沙保里が大好きなの。いつかMMAをやってくれたら」

2019/06/17 11:06

ミーシャ「女性が格闘技に取り組む手助けをしたい」

──今日のセミナーでは、オフィスワーカーの人たちも多かったと思います。

「とても楽しんでもらえたと思う。部屋のなかがいいエナジーで溢れていたのを感じました」

──格闘技のこと、ONEのことをよく知らない人にも興味を持ってもらうような試みは重要だと感じました。

「私にとってもそういった人たちに新しく知識を授けることはとても楽しいことよ。ONE Championshipでやっている解説も同じようなことを心がけていて、誰もが最初はビギナーだから、そういった人たちに噛み砕いて、MMAって何なのか、ONEは何をやろうとしているのかを、私の経験を通じて伝えることが大事だと思っています」

──ワシントンでは高校時代にレスリングを学び、男子に混じってトレーニングに励んだと聞いています。そして大学のクラブでアマチュアMMAを始めた。まだ女子MMAが現在ほど盛んではない頃から、そうしてMMAに取り組んできたミーシャさんにとって、いまの女子MMAの状況をどう感じていますか。

「そうですね。ほんとうに女子のMMAに関してはボトムの頃からやってきたから、北米での認知度は高まったと感じています。でも、特にアジアに置いてはもっともっと女子MMAが拡大していってほしいと思っています。アジアのある国ではとても盛んに行われていて、でもほかの国ではあまり受け入れられていない。地域によって差があるのが現状かなと思います」

──女子格闘技の人気の高まりを継続させるために、大事なことは何だと思いますか。

「私の経験を伝えること、それをロールモデルとして見せられたらと思っています。というのも、女性にとって格闘技をやることは、なかなか家族や友達から理解を得ることが難しいことが多いんです。そのときに自分がしてきたこと、今していることを示せたら。知名度があるからこそ、人々に影響を与えることが可能なこともあります」

──なるほど。いまミーシャさんは、そういった国を一つずつ回って、MMAとは何かを女性の潜在的なファイターたちにも伝えているのでしょうか。

「はい。ミクストマーシャルアーツが拡大することに尽力したいですし、特に女子アスリートがMMAをやる手助けをしたいと思っています」

──ところで、いまのONEの女子選手でファンにお勧めの選手は?

「そうね……女子ならション・ジンナンかしら。最近、EVOLVEジムで一緒に練習したんだけど、とても楽しい人でスキルも高かった。それにキックとムエタイの両方でチャンピオンになったスタンプ・フェアテックス。日本ではV.V Meiヤマグチ、今日も会ったアヤカ(三浦彩佳)、それに柔道をやっていた……イツキ(平田樹)、ね。彼女たちには明るい未来が待っていると思う」

リン・ナカイの復活は良いこと。MMAをやってきて一番良かったことは……

──そういえば、UFCでミーシャさんと対戦したこともある中井りん選手がこの週末に復活の勝利を挙げたんです。

「そうなの!? それはとてもいいことね。彼女はヒザの怪我を治したということね。頑張ってほしいと思っています。どこのオーガニゼーションだったのかしら」

──DEEP JEWLSです。

「JEWLSね。やはり日本はこれまで女子MMAを支えてきた国だと感じるわ。女子の団体ではSMACKGIRLもあったし、これまでも世界でベストのMMAァイターを産み出しているでしょう? “メガメグ”(藤井恵)、ヒトミ・アカノ(赤野仁美)とは私も対戦した。メグミの後輩がアメリカでも活躍していて……」

──浜崎朱加選手ですね。

「そうアヤカ・ハマサキね……もし日本が女子MMAを続けていなかったら、こんな風に選手も育っていなかったはず。それにリン・ナカイと対戦したときに、日本のファンからファイターへの敬意が感じられて、とても居心地が良かったの。日本のファンは最高だと思ったわ。MMAを理解している。だから、これからももっと日本から女子ファイターが生まれてほしいと願っています」

──そういった女子格闘技を目指す人にアドバイスをお願いします。

「自分の意思を強く持つことを忘れないで。反対意見があったりもするでしょうけど、強い気持ちで夢を追い求めてくれたらと思います。実際に、私も色々な場面で『ノー』と言われ続けてきたけど、それをモチベーションに変えてきました。否定してきた人たちが間違っていることを証明したくてね」

──ミーシャさんがMMAをやってきて、一番良かったことは?

「負けるということを知ったこと。負けることによって、より多くのことを学べたと思います。負けることでより強くなれる。人生では必ずノックダウンされることはあるもの。そこで諦めずに立ち上がれば、必ず学びがある。そうすれば幸せと成功は見えてくる。それがMMAをやってきて、一番良かったことです」

──勝負するから負けがある、そこに学びがあり強くなれる、と。それはたしかに良いことですね。今日は、セミナー後にもかかわらず、お話を聞かせていただきありがとうございました。

「こちらこそ、ありがとう。あっ! そう気になる選手で一人挙げるのを忘れていました。サオリ・ヨシダ(吉田沙保里)。私は彼女のビッグファンなの。彼女は世界中に影響を与えたから。それで……いつかMMAをやってくれたらいいなあって。それが私にとってのひとつのDREAMS COME TRUEですね」


【写真】RIZIN、INVICTA FCで活躍する村田夏南子の応援に訪れた吉田沙保里らレスリング勢。(C)RIZIN FF

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント