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2022年5月5日(木・祝)都内会場(非公開)で開催される『RIZIN LANDMARK vol.3』のバンタム級(61.0kg)で、倉本一真(リバーサルジム新宿MeWe)と対戦する魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)が3日、インタビューに応じた。
修斗で加藤ケンジをKOに降すなど、4連勝で2019年6月にRIZINデビューを果たした魚井。初戦ではカナ・ハヤットとの打撃戦を3R TKOで制するも、以降、修斗3連敗、RIZINでも元谷友貴に一本負けで、4連敗を喫したが、2021年11月の『TRIGGER 1st』で獅庵に1R TKO勝ち。再起を果たした。
しかし、2022年3月の前戦『LANDMARK vol.2』では、空手&レスリングの伊藤空也に判定負け。今回は、金太郎戦が流れた倉本の相手として、緊急参戦を決めた。
ショートノーティスのオファーを受けた魚井は、当初は「厳しい」と断るつもりで一晩考えたが、「なぜ東京でわざわざこのキャリアで格闘技を続けているのかと言ったら、強くなりたいから。強い人とやりたいから」と再考し、強豪との試合を決めた。
フルスイングが武器の魚井だが、いかにその距離とタイミングを自身のものにするか。対するグレコローマン出身の倉本は、クラッチさえ組めれば、投げ・崩し&組み伏せての打撃の必殺のコンボを誇る。崩されて立とうとすれば、投げられる。投げられないように下になれば、グラウンド打撃が飛んでくる。
組むことが前提の倉本に対し、魚井には立ち技から始まるMMAで、スタンドで向き合う時間をいかに作るか。倉本には伝統派空手のベースもあり、互いに独特のリズムのなかで、相手をハメる凌ぎ合いで、魚井は我慢の一発も狙う。
「ボコボコにする」という倉本に、魚井は「ある場面では自分に自信を持っています」と語った。
倉本は、強い以外にもいろいろ色気がある選手
──試合を2日後に控えた心境を。
「出きるだけのことはしたので頑張ろうって感じですね」
──現在の練習環境は?
「和術慧舟會HEARTS以外では、マスタージャパンさんの方に、都合のいい時に練習させてもらっています。格闘技関係ないところで、所属選手と以前から知人友人の関係で、週に1、2回、しっかり組み立てて練習しないか、というお声がけがって、(11月の)獅庵選手とやる前、それくらいからですね」
──試合を受けたときの気持ちは?
「倉本選手と金太郎選手の試合が流れて、2、3日以内にオファーが来て、『一晩待ってくれ』と断る前提で。明くる日に“まあ、やるか”とお願いしますと返事させてもらいました。最初にオファーを聞いたときは、ちょっと……厳しいなって印象でした、期間的に。それは倉本選手に限らず、なかなか難しいなと最初は思いました。周りの方にサポートをお願いしたり、声かけてもらったりして、しっかり準備は出来たんじゃないかと思います」
──それでも緊急参戦を受けた理由は?
「ずっと考えて、まず相手が強いし、期間もないと。じゃあ、なぜ東京でわざわざこのキャリアで続けているのかと言ったら、強くなりたいから。強い人とやりたいから。そういう理由だから、こうして選手をやっているのに──幸い自分は減量幅がそこまで大幅ではないので、おそらく間に合わせられるはずだと。じゃあ、なぜ断るのかと。どっちも間違いではないと思います。しっかり準備をした状態でお客さんの前に立つことも。でもやりようがあるんじゃないかと自分のなかで思ったので、考えた結果、こういった機会をいただけるのはなかなかないことなので、よしやろうということで受けさせてもらえました」
──3月の『LANDMARK』で判定負け。そこからの課題は修正できましたか。
「自分と周りのノイズにいちいち右往左往して、何だかまとまらない状態でずっとやってきてしまった感じがあるので、逆にそれが今回、いい理由になって、短い期間でぐっと集中してやってこれたんじゃないかなと思います」
――「ノイズ」というのは?
「ずっとそれはあったんです。自分が感じていることだった。ノイズというのは、普通に練習していても試合していても発生するもので、良くも悪くも自分は影響受けやすい性格だと思っていて、物事がいいように行く時はそういうノイズを入れない精神状態がうまくいっていて、ノイズに振り回されると、格闘技にかかわらず全部がブレて上手くいかない。自分自身で判断する──そこを意識してきた感じですね」
――負けが込み始めてから「ノイズ」が増えた?
「結果論ですが、そうかもしれないですね。ほんとうに思ったようなアドバイスと、そうじゃないノイズとの見分けがつきにくくて。賢いとその判断が出来るんでしょうけど、自分はあんまり頭が良くないので、いまも分かってないかもしれないですね。『負けが込んだから……』、うーん、でも結局、自分自身なんですね。何かのせいや誰かのせいにしたら自分が崩れていく。ただ頑張って正しい努力をすれば、ある程度の形になるので、自分がなるべくして崩れていなったのかなと思います」
──対戦相手の倉本選手の印象は?
「まあ、強いですよね、組みが時に。打たれ強いし、気持ちも強いし、他競技ですごい実績も残している。修斗でここまで来ているのは僕も知っているし、強い以外にもいろいろ色気がある選手という印象です」
──自身のやりたいことをやると。
「相手あってのことなのでどうなるか分からないですが、しっかり出したい。出せずにいるのは一番後悔するので。(展開は)やってみないと分からないですけど、基本的には僕は打撃で、組みも展開によっては全然……フルラウンドのイメージか、先にパッと終わるか、終わらせられるか、どっちかですね。スタミナもガッツも相手選手はすごいあるので」
──前戦で加藤ケンジ選手を1R TKOに下した倉本選手に、恐怖心も?
「いやー、ありますよ。でもそうじゃないと困るというか。ちゃらちゃらやっている相手とやりたくないので。自分自身もそういう風になりたくないので。そういう強さ、怖さも含めて、相手選手の色気なんじゃないかなと思います。ただ結局、(試合をするのを決めるのは)自分、相手じゃないと思うので、対人競技でも相手ではなく自分(との戦い)じゃないかと考えています」
──倉本選手の打撃をどう評価しますか。
「過去の試合を見ても出入りが速い、踏み込みの速さや深さが尋常じゃない。その踏み込み、軸のブレない強さを警戒しなくちゃいけない」
──組みの展開でも応じる?
「場面・場面ですかね。がっぷりとは勝負しないんで、要所要所、MMAなんで、勝負したいし、勝負しないといけない場面があると思うのでそこは対応していきたいと思います」
──「当てて倒す」以外の勝ち方は?
「極めですかね、じゃあ。投げの打ち合いで勝てるとは思わないので、あとは極めですかね。(練習でも)そうですね。ある場面では自分に自信を持っています。やってみないと分からないですけど」
──倉本選手は「ボコボコにする」と宣言しました。魚井選手は?
「ボコボコに……(苦笑)。そうですね。“何をこの野郎”というよりも“分かった”という感じですね(笑)。まあ、いいんじないですか。頑張ります」