ダナの番組の試合で、対戦相手は普段以上に必死の力を出してくることを悟ることができたよ
──その後は現在の所属のルーファスポーツに移ります。
「パットやジェンズは、解説の仕事をしたりで不在のことも多かった。でも僕はまだキャリアが浅く、指導を受ける必要があったから2人に相談したら、ATTとルーファスポーツを進められたんだよ。そこでルーファスポーツに行ってみたら、すごく気に入ったんだ」
──強力なレスリングバックグラウンドを持つあなたですが、デビュー5戦目ではウィリアム・ジョプリンを見事な左ハイでKOし、8戦目はUFCヴェテランのロブ・エマソン相手に打撃でも互角以上に渡り合って完勝。立ち技でも大きな安定感を見せています。
「正直、それは全てルーファスポーツのおかげだよ。スコット・クシュマン、デューク・ルーファスらのコーチは戦いに関してきわめて高い知識を持っているから。ルーファスポーツで練習をしていれば、実際の試合ははるかに楽になるんだ(※その後セルジオとの同門対決に備えてジムを離れる)」
──そうやって連勝街道を進んでいたあなたに、大きなチャンスが訪れます。当時UFCファイトパスで選手発掘番組「Lookin' for a Fight」をやっていたダナ・ホワイトが、番組撮影であなたとメラブ・ドヴァリシヴィリの試合の観戦に訪れました。ダナのお目当てはあなたで、あなたをUFCに入れるために組まれたような試合でした。しかし結果は開始早々のハイからのバックブローをもらってまさかの16秒KO負け。この試合を現在どう振り返りますか。
「今となれば、あの試合は僕に必要だったと言える。あの試合によって、僕の対戦相手は普段以上に必死の力を出してくることを悟ることができた。相手にとって僕は全方面で危険な存在だからね。だから僕は試合開始から終了までそのことを意識しなくてはならないんだ。緊張したり動きが悪くなる選手もいるし、僕は状況をしっかり意識する必要がある。そういうことを気づかせてくれるのに最適の試合だったよ」
──なるほど。ただ、当時はあの試合の衝撃はさぞかし大きかったと思います。どうやってそこまでポジティブな考えを持てるまで気持ちを持ち直したのでしょう?
「泣いたよ。動揺して、なんでだ、どうしてだって考えては自分を責めていた。ジムに行ったんだけど、コーチたちは練習をやめて休めと言う。コーチたち、つまりファミリーが動転する僕に『こういうことは起こるもんだ、お前はもっと強くなる、これを教訓にするんだ』って言ってくれた。当時はもう最悪の気分だったけど、時が経ってみたら彼らは正しかったよ。僕はやるしかなかったんだ」
──その後あなたは再び勝ち続け、冒頭でも触れたようにバンタム級最強という評判もあったマゴメドフにも素晴らしい勝利を挙げ、優勝候補として今回のGPを迎えます。
「アーチュレッタに唯一劣る部分は多分カーディオだ。あの心肺機能はすごい。ほかは互角をちょっとずつ、どっちが優位かな。彼は強い選手だけど、精神的に弱いと思う。僕はそれを利用したい。だからファイト・キャンプではずっとそうするためのことをしてきた。そして試合では、5Rにわたって彼をいじめ続けるつもりだ。
みんな、僕とフアンが戦うのをとても楽しみにしていると思う。彼はアクションを起こす。それは僕にアクションをもたらす。僕たちは2人ともハートが強い。レスリングもストライクも上手だ。楽しい試合になると思うよ」
──最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
「日本のみんな、僕の試合のアクションを楽しみにしていてくれ。僕は試合開始から終わりまで動き回るから。試合後のインタビューもきっと気に入ってくれると思うよ! 応援ありがとう!」