ミックスは階級上も極める。セットされたら──
身長・リーチ165cmの堀口と、身長180cm・リーチ182cmのミックス。通常体重がライト級以上もあるミックスは、今回の計量でも体格差を感じさせるポーズを披露している。
その最大の武器はサブミッション。これまで15勝のうち11の一本勝ちを誇り、その決まり手は、リアネイキドチョークが5回、ギロチンチョークが3回、ヒザ十字が2回(1回はスロエフストレッチ)、肩固めが1回。つまり、バックを奪えばチョーク、さらにスクランブル際でフロントからもチョークと前後で首を極めるフィニッシュを持っていることになる。
また、バックマウントから相手の足を掴んでのスロエフストレッチ、トップを取っての肩固めもあり、いかにポジションを譲らず、極めの「セット」をさせないかが重要となってくる。
ミックスの強さはどこにあるのか。
2019年12月31日、RIZIN.20でのBellator MMAとの対抗戦にて、ミックスと対戦し、ギロチンチョークチョークで一本負けした元谷友貴に聞くと、その体躯の強さと長さが脅威だという。
ミックス戦で元谷は、右腕をオーバーフックして三角絞めを狙うが、「前転して逃げられるようにオモプラッタ狙いに変えさせた」というミックスが、またいでパス。がぶりから押し込んだ元谷に右脇を頭を突っ込ませて、アームインギロチンチョークをセット。足も下からボディトライアングル(4の字ロック)で組み、最後は半ば上になって絞め上げてタップを奪っている。
「あの試合は時間が短かった(97秒)んですけど、堀口選手が普通に勝つと思います」と、2017年に堀口とも対戦したことがある元谷は語る。
注意すべきは、ミックスの長い手足と組み力だ。
「バンタム級にしてはデカくて、デカい上に筋量がある。でも堀口選手は捕まんないんじゃないかと思います」と、元谷は堀口はミックスに極めのセットに入らせないのでは、と予想する。
一方、ラスベガスでミックス、さらに朝倉海とも練習するマネル・ケイプもミックスの寝技の強さを証言している。
ケイプとラスベガスで合流した朝倉は、「堀口選手にはここは優勝してもらたいですね」と、2度対戦した堀口の勝利を願うと、ケイプによるミックス評を、『ミックスはかなり強い。打撃はホリグチが有利で、ミックスはグラウンドの技術はかなり高いから、寝技に持ち込まれたらかなり危ない』と言っていた」と明かしている。
では、ミックスの寝技の上手さはどこにあるのか。
ラスベガスでミックスとスパーリングで肌を合わせた元修斗世界バンタム級王者の岡田遼は、自身のSNSで、そのセットアップの上手さを語っている。
「パッチーはギロチンがとんでもなく上手い。堀口選手だったら……でもパッチーのギロチンは誰でも極められるから。全然、階級上の選手でも極めていたし。セットされたら極まっちゃう」と、自身より大きな選手も極めきる技術を持つという。
その秘訣は、セットアップの上手さにある。岡田は、その組み手を作らせないことが重要だと語る。
「逆に言うと、ここ(脇の下)に頭を入れなければいいから、ここに頭入れなければ、堀口選手、圧倒すると思いますよ。でも初見は取られました。最初、分かんないうちはトラップに引っかかっちゃう。(ギロチンを取る場所だけ)開けている。“おっ、ここ行ける。差してみよう”と思って差すと、そこで(アームイン)ギロチンを待っている。すごく上手。こうやって仕掛けるんだと勉強になった。ただ、最後は(自分も練習で)逃げまくったから。分かったから」