海外とのパイプを作り、朝倉未来とも共有していく
何より、直に海外トップと肌を合わせることで、まずは、1カ月の海外修行で感触を掴み、今後の練習環境をどう作っていくか。真の変化のためには、“お客さん”としての参加から、チームとしてより進化した戦略やトータルコーチのアドバイスが必要となる。
「いろいろなパイプを作るためにもここに来ています。米国に来たときに練習できるような人脈作りや、アメリカ人の優秀なトレーナーを日本に連れて来れたら滅茶苦茶いい」と、今後を見据えた、拠点作りも今回の渡米の目的だ。
それを、兄・朝倉未来とも共有してチーム強化につなげていく。
「1週間前に兄貴と会話して『来週行く』と言ったら『いいね、俺も行こうかな、たぶん俺も行くよ』って言ってた。もうすでに持ち帰りたい練習もあるし、合流できたらしたい。こっちの練習について話したいし、兄貴と共有して練習の質を良くしていきたい」
(※朝倉未来は自身のSNSで「5月頭から海外へ行きます。一番の目的は格闘技のため。海外のトップファイターに触れていきたい。僕も弟に続いて。ハワイでマックス・ホロウェイとスパーリングが出来たら得るものが多いんじゃないか。いま、RIZINが動いてくれているので、どうなるか分からないですけど、とりあえずハワイのほうで1週間ほど練習をしてからラスベガスに行きたい。世界との差みたいなものを感じてみたい」と語っている)
ラスベガスのUFCパフォーマンス・インスティチュートでは、UFCファイターとそのゲストのためのトレーニング施設の充実ぶりに舌を巻いた。
ケイプの紹介で同所を訪れた朝倉は、フルサイズの複数のケージやフィジカルトレーニング機器、流水プールやリカバリールーム、各部門のトレーナーや整体師、栄養士によるレストランなども視察し「毎日行きたい」と感嘆する。
試合前にもかかわらず、丁寧に同地を案内するケイプについても「もう調整期間に入っているけど、かなり強い。打撃だけじゃなくレスリングも全然強くなっている。日本人の誰よりもバネがすごいし、パワーもある。ケイプ、気遣いもあって優しくてほんとうにいいヤツです。23日(日本時間24日)にUFCで試合があるので、ぜひ応援してあげてほしい。ダメージが無ければ、試合後も合流したい」と、かつて拳を合わせた盟友のチャレンジを後押しする。
ファンから2019年大晦日(ケイプが2R TKO勝ち)以来の再戦の可能性を問われると、笑顔で「再戦あるかもしれないですね。ケイプはいまはフライ級ですけど、僕がUFCに行ったら再戦する可能性も全然あるんじゃないですか」と答えた朝倉。
格闘技を始めた頃からの目標である世界最高峰を目指すために「すべきことがある」。それを確認するための北米修行の日々を、大切に過ごしている。
「とりあえず1カ月の予定ですが、少しでも、ひとつでも多くのことを吸収して、絶対強くなって帰りますので期待していてください」──朝倉海は、大晦日以来の復帰戦を7月に見据えている。