武田光司「あっち側にタックルに入らないと決めていたのに──」
──カーライル選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。
「負けました。以上です」
──試合前のインタビューでは、「覚悟は決まっている」と仰っていました。今それについてどのように感じていますか?
「まあ覚悟は決まってたんですけど、ひとつのミスで、しっかり仕留め切るっていうのが……相手が上手かったし、僕のミスです。ミスとしか言いようがないです」
──最後のフィニッシュシーン、相手の決まり手であるギロチンチョークに入ってしまったところで、そこでもう少しできた、という思いもありましたか。
「あそこでたぶん、(右)フック貰ってると思うんですよ、僕が。そこで、自分の作戦を話すと、タックルに入る時、あっち(カーライルの利き腕の右脇)に行かないつもりだったんですよ。“絶対ギロチンを狙っている”っていう。映像見ていてもギロチンに入っている形が多々あったし、あそこに入ったら絶対、(自分のように)サウスポーってこっち(左側を指して)に入るんですけど、やられるから、あっちに入らないと自分の中で決めていたし、逆のタックルを練習していて。
で、まあ各ラウンドごとの作戦を話すと、1R目は打撃は出さずに、組めたら組んで漬けて。で、狙えるところは狙って。で、カーフキックをメインに、相手が(最初は)サウスポーで、スイッチヒッターなので、カーフキックで(削って)。で、オーソドックスで来たら、絶対ぶんぶん振ってくるのが分かっていたので、ジャブからのハイキックと。後はぶんぶん振り回してくるのをどんどん捌いて、捌いて、捌いていって、各ラウンドごと、スタミナを削って行こうという作戦だったんです。1R目は僕の中で、打撃をもっと出した方が良かったんじゃないかと思っている人はいるかもしれませんが、僕の中では“見る”っていうチョイスだったので。形通り遂行できたのかなと思ってますけど、2R目のあそこですね、ギロチン。あそこでギロチンを極められたのは僕のミスですね」
──それでも作戦のなかにカーフキックがあり、効果的なように感じました。
「たぶん僕が蹴るっていうチョイスが相手にはなかったと思うんですよ。絶対、打撃からぶんぶん振り回して組んでくるだろうと考えていたと思うので、前足をスイッチしたときに右足が外側に向いてる傾向だったので、カーフだなと思っていたので、そこは自分で考えて、カーフ出しました」
──途中でローブローをもらって、インターバルでの時間が短かったように思いますが、そのことは回復面で影響はなかったですか。
「今更グダグダ言ってもダメなんですけど、もうちょっと休めば良かったです。ヒザが入って死ぬほど痛かったので。そこも僕の考えが……何とも言えない選択だったんですよ。相手も結構肩で息しているっていうのが見えたし、そこで自分が休んだら相手も回復しちゃうので……もうちょっと回復のために休憩しても良かったかなと自分の中で感じました。次に活かしたいですね」
──対戦を終えてスパイク・カーライル選手の印象は、試合前と後で違うところはありましたか。
「フィジカルで負けるかなと正直思ったんですけど、組みにおいても、四つだったりの展開から漬けるっていうテーマだったんですけど、そこでフィジカルで負けているとは思わなかったし、終わった後に少し(スパイク選手と)話したんですけど、『組みがすごく強い』って言ってくれたので、組みに関しては自信を持っていいかなと思いました。でも、組みだけじゃないところももっと出したいし、見せたい。見せたいというより、もっと見せなければいけないと試合で思いました。
あとはまだ宮田(和幸)先生には言ってないんですけど、試合終わったあとに、カーライル選手と話して、『カリフォルニアで練習しているから来い』と言われたんで、BRAVE GYMっていうのは僕の中では、話をまとめると“めちゃくちゃ居心地がいいんです”よね。ずっとやっていたのもあるし、僕は子どもの指導をしていたりというのもあるんですけど。それは、悪く言えば誰かのためにやっているわけであって、自分のために自己中(心的)で行くためにどうすればいいかと言ったら、やっぱそのBRAVE GYMを出て海外に挑戦したいというのがあるので。
現状で海外選手に挑戦した結果がこれだったので、宮田先生に話して、せっかく対戦相手のカーライル選手が『来い』と言ってくれているので、来月にも行きたいと思っていますね。宮田先生は怒るかもしれないけど。『何勝手に決めてるの』って言われたらどうしよう、とは思っているのですが、結果が出た以上、負けは負けだし、この結果に満足していないし、挑戦するというテーマを持っているので『海外に行ってやらしてくれ』と、この後で宮田先生に話そうかなと思っていますね。別に負けたから行くとかじゃなくて、改めて再認識したという感じですね」
──今後の展望は海外修行も含めた練習環境や、対は海外勢を意識した試合をしたいということでしょうか。
「もちろんそうですね。“海外に行きました” で、海外に行ったからといって強くなるかと言えば分からないです。やってみなきゃ分からないし、だめだったらだめで帰ってくればいいとか、そういうわけじゃないんですけど、合わなかったら合わなかったで、また戻ってくればいいし。でもやらないことには始まりはないと思うので。是が非で行かせてもらえたらと思いますね」