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1月6日(日・現地時間)タイ・オトコー3スタジアムで開催された「スックチャーンムエタイギャットペット」にて、ISKAムエタイ世界バンタム級王者の志朗(BeWELLキックボクシングジム所属)が、タイのペットサムレット・オーボートーノンヤントイと55.8kg契約で対戦。3分5Rを判定3-0で勝利し、3月10日(日)東京・大田区総合体育館で開幕する優勝賞金1000万円のRISE世界トーナメント『RISE WORLD SERIES 2019』に向け、はずみをつけた。
志朗は6日、バンコク郊外のノンタブリー県にあるオトコー3スタジアムで開催されたギャットペットチュンプロモーターの生誕祭記念興行に出場した。ギャットペットチューン氏は、タイ・ムエタイ界の大物プロモーターとして名を馳せており、この興行はアマリンTVにて全国放映された。
志朗の対戦相手は、もともと7CHチャンピオンのローグン・ダープランサカーカムだったが、直前になり怪我で対戦相手が変更され、ペットサムレット・オーボートーノンヤントイとなった。試合は、ペットサムレット有利の11対8の掛け率で始まった。
1R、通常のムエタイは双方の力量見せから始まる。しかし、オーボートーノンヤントイは、最初から鋭いローを志朗に放つ。志朗もローを得意とし武器にしているが、ペットサムレットのそれは、巧みにスネの外側、筋肉の少ない部分を狙ってのもの。そのローを耐えながら志朗も攻撃を緩めない。
2R、相手の蹴りをカットしての蹴り返し、攻撃と防御が繰り返されるキックの応酬に、志朗は巧みにテンポを合わせながら、キックを的確に当てていく。ヒジとパンチを得意とする相手に対して、志朗は慎重な攻撃を組み立てていく。
セコンドからはもっと積極的な攻撃をしかけろと檄が飛ぶが、志朗は焦らずに、得意のパンチとローで相手を追い詰めていく。そして終盤、志朗の攻撃に対して、ペットサムレットが嫌がるそぶりを見せ始めたことから、志朗へと掛け率が上がる。
3R、掛け率が不利になったことで、首相撲で一気に組みついてきたペットサムレット。距離を詰めて志朗のローキックを潰しにかかる。さらに距離が開けば強烈なミドルキックが志朗を追い詰める。ムエタイはミドルキックのポイントが高い。ここで志朗から相手へと掛け率が変化する。
4R、志朗のセコンドからは、絶対に相手の攻撃に対して下がるなと指示が出される。下がるとイメージが悪くなり、ポイントで不利になるからだ。ペットサムレットは賭け率が有利になったことで、さらなる圧力をかけて来るなか、攻撃のポイントを冷静に探していく志朗。ペットサムレットは、何度か得意の跳びヒザを出そうとするが、志朗はそれに対してパンチを合わせて、相手を2回スリップダウンさせる! ペットサムレットもすぐに立ち上がったため、ダウンカウントはなかったが、ムエタイでは相手の攻撃でバランスを崩すことは印象が悪く、志朗にポイントが付いた。これで会場の雰囲気は一気に志朗優勢へと変わっていった。
5R、勝利を確信したセコンドから、この最終ラウンドは流せという指示があるが、ペットサムレットは、ムエタイのリングで外国人選手に負けるわけにはいかないため、逆転を狙ってKO狙いで攻撃を仕掛けてくる。それに対してしっかりとディフェンスし守る志朗。攻撃をしかけながらも時間を気にするペットサムレット。1分を切ったあたりで、焦りの表情に。試合は、完全に志朗がコントロールして終了となった。
今回の試合は、大物プロモーター、ギャットペットチュン氏の生誕祭というビックイベントであり、注目の一戦での勝利は、志朗の勝ち星を増やしただけではなく、今後のマッチメイキングにも大きく影響するだろう。試合後には、志朗に駆け寄り勝利を喜ぶギャットペットチャン氏の姿も見えていた。
なお、志朗のこれまでのルンピニーでの試合、2018年11月のRISE初参戦での工藤政英戦などが1月19日19:00~20:30、テレビ埼玉にてドキュメンタリーとして放映が決定。3月10日(日)には『RISE WORLD SERIES 2019』参戦も決定している志朗は、「ヒジ・ヒザのないRISEルールで戦うためには、もっとそのルールを体に染み込ませて、自分の攻撃力を高めないとダメ」と試合後、語っている。
◆志朗「試合2日前に契約体重が変更に」
「パンチとローが武器だとわかっていた選手で、自分が9月29日の試合で負けたペットアサウィン選手をKOで倒しています。なので苦手意識もありました。実際にローとパンチが強くタフな選手だと思いました。
契約体重も当初は、55.3kgで申し込んだのに、相手が体重が落ちないということもあり、2日前に56.2kgと言われました。最終的には前日に55.8kgとまりましたが、自分にとってはあまりいい条件ではなかったのが不安材料でした。しかし、年末年始でしたが、ジムに選手が残っていたので練習をしっかりできたのがよかったと思います。
今年度は、RISEワールドシリーズが始まります。まだ対戦相手は決まっていませんが、世界中のトップ選手が集まる中、ここでの勝ちは自分の名前を世界に広めることになります。
ムエタイと違い、ヒジやヒザのないRISEルールで戦うためには、もっとこのルールを体に染み込ませて、自分の攻撃力を高めないとダメだと11月の試合でわかりました。
挑戦しなければ道は開けない。そうわかっているので、今月早々に日本に帰り、RISEの試合に備えて練習していきます。このトーナメントに勝ち、そしてTOPになること、そこを第一にしていきます」