PANCRASE 326
2022年3月21日(月)ベルサール高田馬場
▼第2部 メインイベント PANCRASEフライ級選手権試合 5分5R
×小川 徹(TRIBE TOKYO M.M.A)56.7kg 第6代王者/14勝6敗
[判定0-3] ※47-48×3
〇猿飛流(リバーサルジム川口REDIPS)56.5kg 1位/2019年NBTフライ級優勝&MVP/11勝3敗
※猿飛流が新王者に
ONE Championship参戦中の第5代王者・仙三が防衛戦の見通しが立たない為、1月24日付でベルトを返上。晴れてフライ級・第6代王者になった小川が早くも2度めの防衛戦に挑む。
猿飛流は怪我を完治させ万全の状態で青コーナーに立つ。小川の長期政権が築かれるのか、猿飛流の愚直な思いが好結果を生むか? 最後まで緊張の解けないKOPフライ級王座戦だ。
1R、オーソドックス構えの猿飛流 サウスポー構えの小川。中央を取る小川。右回りの猿飛流は左サイドキックで距離を取る。後ろ蹴りから裏拳を見せる猿飛流。圧力をかける小川は左ボディストレート。さらに踏み込んでの左ボディフックも。踏み込みのフェイントを入れる小川。猿飛流は手数が少ない。
その入りに小川は左ボディ、右フックで猿飛流のバランスを崩す。猿飛流は左前足でのサイドキック。左回りにする猿飛流。小川も外足を取りに右へ詰めて右を振ってダブルレッグへ。差し上げる猿飛流。3者10-9で小川支持。
2R、先に右ローは小川。右前蹴りを返す猿飛流。右の外足を取る小川。右ハイを当てながら前に出る猿飛流。四つに組んでクラッチ、ヒザ。体を入れ替えた小川が突き放す。右を突き、左ハイの小川に右ストレートを返す猿飛流! 右を蹴って右ストレートを見せる。小川は左ボディ。右足を外に取る小川。
猿飛流は高めの左サイドキック。小川の入りに右を狙う。左で飛び込む小川は組むが、右で絞り体を入れ替える猿飛流。互いにケー際で差しの攻防で金網から金網へ。左で首をとらえる猿飛流だが抜いた小川は右ヒジを当てる! 2者が10-9猿飛流、1者が小川のラウンドに。
3R、出入りは小川。猿飛流は前足に関節蹴り狙い。飛び込み右を振る猿飛流。組むがここは突き放す小川。打撃と組みの神経戦のなか、小川の左をかわす猿飛流。前蹴りから右を当てる。さらに関節蹴りを突く。ワンツーも見せる猿飛流。左ミドルの小川。ブロックする猿飛流は右ミドルで牽制。近くなる距離。小川の入りに猿飛流は右を狙う。左ボディを当てる小川。左フックは空振り。猿飛流のサイドキックに距離を取る。徐々に圧力をかける猿飛流。小川の左は遠い。2者が小川10-9、1者が猿飛流。
4R、左ボディストレートを当てる小川。猿飛流は右ハイ、右前蹴り。小川も左前蹴り。圧力をかけ直す小川は左ボディ。低いシングルレッグで足を触ってから右を当てる猿飛流! 右ハイから右ストレートをヒットさせてダウンを奪取!
すぐに立ち上がる小川にクリンチアッパーは猿飛流。詰める猿飛流はさらに右を当てて大内刈でテイクダウン! 足は効かせる小川。左足を越えようとする猿飛流に亀から立つ小川。スタンドバックで崩す猿飛流に小川は2度のスイッチで離れる。右ミドルから右ストレートを突く猿飛流。猿飛流の右に左を返す小川! 下がる猿飛流に小川は左も猿飛流も右を返す! 3者10-9で猿飛流のラウンドに。
勝負の最終ラウンドへ。
5R、左ボディを当てる小川。猿飛流は右ハイ、右ストレート、さらに右ハイも。口を開ける猿飛流。アゴを傷めたか。しかし、ここで渾身の低空のダブルレッグテイクダウン! すぐに立つ小川。スタンドバックの猿飛流は背後からヒザ。クラッチを切ろうとする小川に、腰を抱きながら背後から右ハイは猿飛流!
しかし小川も正対して崩すもすぐに立つ猿飛流。小川は組んで右の足払いテイクダウン! 猿飛流もすぐに立つと右で小手に巻いて投げて崩す! バックにつこうとする猿飛流に正対する小川。
互いに苦しい最終ラウンド。スタンドバックから頭を腹につけて押し込む猿飛流に、ヒジを細かく打つ小川。しかし、ここで前に崩して脇を潜った猿飛流。しかし小川も再び正対狙い。残り30秒。小川はスイッチ狙い! それを潰した猿飛流が上に! そしてバックへ! 両足をフックした猿飛流。小川が横に落としたところでブザー。
死闘の判定は3-0(48-47×3)で猿飛流が新王者に。2人目のジャッジコールで猿飛流の勝利が確定も喜びは見せず。勝ち名乗りにも笑顔は見せず、ヒザを落とした小川に頭を下げた。ベルトを巻いての記念撮影にもフラつく猿飛流。
マイクを渡されると猿飛流は、「リバーサルジム川口REDIPSの榎本悟と申します。リングネームがあれば猿飛流って読むんですけど、ほんとうに夢の中にいるようで信じられなくて。小川さんがほんとうに強くて。1Rをとられて、“もう無理だ”って心が折れそうになってました。“勝てないな、小川さん強すぎるな”って。でも本当に仙三さんが巻いていたこのベルトが欲しくて、これが巻けるんだったら、ほかの何を捨ててもこれだけは獲りたいとすごく思いました。
僕は20歳でプロデビューしたんですけど、1回、メンタルが弱くて、病院に入院して精神を患って、もうダメかなと思って格闘技も出来なくなって、就職も出来なくて家に引きこもって、親のもとで実家療養を2、3年くらいしていて、それでもどうしても格闘技だけは諦めきれなくて、絶対、また格闘技はやりたいと思って、PANCRASEさんで27歳で復帰したんですけど、失神KO負けして、またもうダメだなって、何回も心が折れて。
でも、すごく心から応援してくれる人がいっぱいいて、父と母が『もう生きいてくれるだけでいいから』と言ってくれて、その言葉といろんな人の応援ですごく勇気もらって、また格闘技をやろうとまた立ち上がって、それでここまで来れて、仙三さんが巻いていたこのベルトを巻けて、ほんとうに夢のなかにいるようです。信じられなくて、途中、10回くらい心が折れかけて……でも絶対、このベルトが欲しくて、頑張りました。
このままブッ倒れたいです。ほんとうに嬉しいです。チャンピオンになったんで胸を張って、PANCRASEを代表できるように、格闘技を盛り上げられるように、いまコロナ禍で戦争も起きちゃっていて悲しい時代だけど、絶対に明ける日は来るんで、その時代が明けるときを心待ちにして、みんなで日本を盛り上げていきましょう。すみません、長々と。ほんとうにいま幸せです。ありがとうございます!」と、ベルトまでの苦しい道のりを語り、最後に「幸せです」と語った。