複雑な感情はあるけどリングに立ったら、「ただ勝ちたい」という気持ちが沸いてくる
――前回のベイノア選手との試合が73kg契約でした。その前の朝倉未来戦も66kgではありませんでした。今回がフェザー級の66kgでやることについては、どのような思いがありますか?
「あの試合(朝倉未来戦)、なんだかんだ言って66じゃなく68でしたし、対戦相手も普段66でやってる選手なので、正直、それは言い訳にならないと思いますし、73kgの試合も体重を言い訳にしちゃいけない試合だと自分では思っているので、twitterではちょっとネタにしましたけど、階級がどうこうというのは、あまり感じていないというのはあります」
――弥益選手は、大晦日にも試合の声がかけられていたと思います。試合を待つなかで、先ほど「試合はステップアップのためだけではない」と。、今回の萩原戦は、弥益選手にとってはどういう意味を持つ試合だと考えていますか?
「やはりずっとアピールをしてもらっていた選手なので、自分もやっぱり思うところはもちろんあります。逆にずっとこっちも待っていた相手なので、そういう意味では、恋焦がれたじゃないですけど、告白されて意識しちゃった相手といざ対面したみたいな感じです。まあ、いよいよだなという感じです」
――格闘技の深さや広さ、そういったものをより求められる試合になるのでしょうか。
「先ほども申し上げたんですけど、格闘技に本気で向き合ってる対戦相手と試合をするというのは、自分としてもいろいろ思うところもありますし、食ってやろうという気持ちももちろんあるんですけど、逆に後ろめたい気持ちも(ある)。自分みたいな片手間でやってるやつがいいのかなという気持ちももちろん生まれますし、いろいろ複雑な感情はあるんですけど、結局リングに立ったら、そういうことは関係なしに“ただ勝ちたい”という気持ちが沸いてくるのが毎回なので、今回も速攻倒したいなと思います」
――先ほど「相手の反応よりも先に自分が動く」と。前回のベイノア選手との試合では、思ったよりも、“ドミネーター”のステップがあまり見られなかったような気がしました。あそこにはどんな意図がありましたか。
「あの試合で後手後手になっちゃったのは、打撃の選手というところで、ちょっと自分の打撃を試してみたいという、ちょっと性格的にわりと“喧嘩してやりたい”気持ちが強くなっちゃう、それが優先的に出てしまって、あんな結果になりましたし、周りにも怒られたので、今回はその自分の性格をいかに抑えられるかも鍵かなと思います」
――ところで、牛久選手と斎藤選手の再戦が決まりましたが、牛久選手とも対戦している弥益選手から見て、どういう試合になると予想しますか?
「これって1回目の試合のときも話をしたんですけど、見せていない引き出しがどのくらいあるかだと思うんです。お互い試合で出してない引き出しをどれだけ試合で出せるか。元々のスタイルがすごく真面目で実直なMMAの2人だと思うので、そういったところをどれだけあなたは持っていますか、という引き出しが鍵になる試合だと思います。そこをお互いが、試合をやっていない期間どれだけ追加されているかが鍵になるかなと思います」
――その意味で、弥益選手にとって、前回の試合で出していない引き出し、前回からの積み上げというのはいかがですか?
「なんだろう。積み上がってるのかな(苦笑)。格闘技を頑張り続けている、好きでいられているということは、自然と積み上げだと僕は思っているので。だから、好きでいられていることがすごく幸せだなと、最近より思えるようになってきました」
――萩原選手にはまだ何か隠している引き出しを感じますか?
「もちろん打撃のレパートリーもまだ持っていると思いますし、さらに増やしている最中だと思います。グラップリングという組みの部分ですね。けっこうご存じの方も多いと思うんですけど、岩崎正寛選手という、柔術も本当にテクニカルなファイターの方のところでグラップリングを見ていただいているというふうに伺っていますし、自分は岩崎さんと一時期ずっと練習させていただいていたので、自分の手の内は大体バレてるなという気持ちはありますし、弥益戦用の対策ももちろん引き出しとして持っていると思いますし、それとは別に、オーソドックスなMMAとしての組みという引き出しも今増やしている最中で、一戦一戦、できることは増えているなじゃないかなと思っています」
――対する弥益選手のほうにも引き出しはありますよね。
「あると信じています。自分で期待しています」
――正直まだまだ萩原選手には負けないという自信もありませんか?
「自信というか、負けたくないと思ってます」
――ひとつ視聴者からの質問です。たぶん受験生からだと思いますが、「ドミネーター選手は理系出身ですか、文系出身ですか?」という質問と、「おすすめの勉強方法を教えてほしい」と。
「まず理系でした。学部も生物学を専攻していまして、それで修士までいきました。おすすめの勉強法というか、モチベーションをいかに意識するかだと思うので、勉強して受験を終わらせることを最優先にするんじゃなくて、その先にどんなことをしたいかとか、勉強じゃなくてもいいと思うんですよ。大学行って何かをしたいとか、俺だったら“格闘技やってやろう”って密かにずっと思いながら受験勉強してたので、“その先をいかにリアルに見据えられるか”、それによって勉強のモチベーションを得られるかが大事なのかなと思っています」
――最後にファンへメッセージをお願いします。
「ファンいますか?(笑) 今回の試合、自分のところに来るRIZINファンの方のメッセージとかで、“(弥益も萩原も)どっちも好きです”という声がけっこう多いなと個人的には感じていて。そういう試合ってすごく幸せなことだなと思っていて、どっちも勝ってほしいし、どっちも負けてほしくないというファンがけっこういらっしゃるということが、すごく──もちろん向こうありきの試合ではあるんですけど──ありがたいことだなと思います。そういう試合もまた格闘技の醍醐味かなという感じがしているので、ぜひ勝ったほうも負けたほうも、その後も含めて、楽しんでいただければと思います。試合前、試合中、試合後、全て存分に楽しんでいただけると思います。よろしくお願いします」