大田拓真「このルールでも面白いんだよということを、この2人だったら見せられる」
──昨年から試合が決まったり流れたりが続きましたが、やっと試合に集中できるという状況なのでは?
「そうですね。ずっと流れちゃっていたので、追い込んでいたのに試合はできないというのがあったんですけど、逆にそれが続いたおかげでずっといい練習ができていたというのもあります。そこにちょうど小笠原戦のオファーをいただいたので、『これはやるしかないな』と思って、お願いしました」
──一昨年からコロナ禍の影響で大会が中止になったりもありました。今回も半年ぶりの試合になりますが、やはり試合が空くのはつらいですよね。
「弟(WBCムエタイ日本統一バンタム級王者・一航)やジムの選手たちは試合してましたからね。ツイッターとかでみんなが試合してるのを見ていて、『試合したいな』というのはありました」
──今回は小笠原瑛作選手との一戦です。昨年7月に一度決まっていた対戦ですが、あの時点で対策などはできていた?
「はい。だから今回は、あの時に練習していたことの延長線上で考えているという感じです」
──改めて、現時点での小笠原選手の印象や警戒する点は?
「うまくて何でもできるという印象ですね。警戒は……自分はもともと、『この選手はこれが強いからそこを警戒しよう』というのはなくて、全部を警戒しています」
──小笠原選手はスピードが代名詞のように言われていますが、そこについては?
「速いと思います。ただ、そこは映像だと実際のところは分からなくて、対面してみないとという感じなので、試合してみてどう感じるかですね」
──大田選手は5Rの試合が多いイメージがありますが、今回3Rの試合はどうですか?
「いえ、5Rはタイトルマッチぐらいで、最近は3Rの試合の方が多いですね。なのでそこは問題ないと思います」
──普段の練習では、5Rの戦い方を想定してはいないんですか?
「そうでもないですね。自分たちはけっこう相手に合わせるというか、向こうが1Rからくるならこっちも…と。相手が警戒してくるなら、しっかりこっちも見て作っていくという感じで、ラウンド数でこうしよう、ああしようというのはそんなにないです」
──ムエタイ色の強いジムで、実際ムエタイのタイトルも持っているのでそう見てしまいがちですが…。
「練習もスパーリング中心でガツガツやってますし、そうでもないんですけどね(笑)。まあ、自分はけっこうしっかり見て判断したいタイプではありますけど」
──小笠原選手は仕掛けも速いタイプですが、そこは?
「確かにそうですね。ただそこも、リング上でどんな感じなのか、というところですね。向こうがけっこう最初からくるのであれば、自分もやっていかないとなと。見てるだけじゃマズいので。そのへんも試合の展開によります」
──また今回は57kg契約での一戦です。小笠原選手は55kgの王者で、今回は階級を上げて臨む形になりますが、そこは気になりますか?
「いえ、特には。1階級ぐらいだったらパワーがそんなに違うということもないでしょうし。自分もアマチュアの頃とかプロデビューしたての頃は、階級が上でも『やっちゃえ!』って感じで対戦していて、試合でもそんなにパワー差を感じたことはないので。小笠原選手に対してパワーで有利とかは思ってないです」
──ご自身にとっての、この試合のテーマは何でしょう?
「首相撲もあってヒジありという、ムエタイに近いルールの試合だし、小笠原選手もこのルールをベースにやってきているので、ちょっとそれには負けたくないなっていう気持ちはあります。ベースが同じだからこそ、勝ちたいなという気持ちですね」
──『KNOCK OUT』のリングに乗り込むという点ではいかがでしょう?
「ムエタイに近いルールをやっているリングなので、ずっと出てみたいなと思ってました。強い選手もたくさんいますし、注目もされているので、今回このリングに上がれるのはけっこう楽しみにしています」
──継続参戦ということになると、『KNOCK OUT』のフェザー級は選手層も揃ってきている感じですが……。
「もし小笠原選手に勝って、スケジュールが合うのであればやらせていただきたいなというのはありますね。ヒジなしのBLACKルールでも全然抵抗ないですし」
──そうなんですか? これまでヒジなしの試合はほとんどないですよね?
「これまでは1回だけ(2021年1月のRISE)なんですけど、抵抗はないです。というか試合ができなすぎて、とにかく試合がしたいんですよ(笑)。今回もオファーをもらって、まず『出たい!』と思ったので。2月に試合をするはずで追い込みもできていたので、いつもよりは試合までの期間は少し短かったですけど、断っている余裕はないなという感じで。強い人とやらせてもらえるなら、誰とでもやりたいという気持ちが強いです」
──そこにつなげるためにも、今回の試合は重要ですね。勝ち方はどんなイメージを?
「もちろんKOもしたいんですけど、テクニックで圧倒したいという気持ちが強いです。今まで見てきて、小笠原選手はテクニックが冴えているので、それを封じ込められたら圧倒感が出るかなと思うので。その上で倒せたら、自分的にはすごくいい勝ち方だなと思います」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこですか?
「2人ともムエタイベースでやってきているので、このルールでも面白いんだよということを、この2人だったら見せられると思ってるんですよ。パンチでの倒し合いも面白いと思うんですけど、首相撲の技術や蹴り合いなどを楽しんでもらって、これも面白いと思ってもらえたらいいなと思います」