2022年3月26日(土)にシンガポール・インドアスタジアムで開催される、ONE Championship10周年記念大会『ONE X』の記者会見が、2日(水)都内にて行われた。
同大会での激突が決定した青木真也と秋山成勲が会見に出席。
MMA47勝9敗1NCの青木真也は、 2015年に78kg契約で桜庭和志に一本勝ち。ONEでも2021年1月に元LFAウェルター級(※水抜きあり前日計量の77.1kg)王者のジェームズ・ナカシマとONEライト級で戦い、1R、ネッククランクで一本勝ちするなど、階級上の選手から勝利を挙げている。2021年4月の前戦では、エドゥアルド・フォラヤンとの3度目対戦で1R 腕十字による一本勝ち。38歳にして4連勝をマークしている。
一方の秋山は46歳でMMA15勝7敗2NC。2015年11月のUFCでアルベルト・ミナにスプリット判定で敗れた後、2019年6月に3年7カ月ぶりにMMA復帰。ONEデビュー戦でアギラン・ターニに判定負けしたものの、2020年2月の前戦でシェリフ・モハメドに1R、右フックでKO勝ちしている。
2008年7月に「DREAMライト級(70kg)GP」で準優勝となった青木は、同年9月にトッド・ムーアをわずか70秒、フェイスロックでのリアネイキドチョークでタップを奪い一本勝ち。リング上で「秋山“マイケル・ジャクソン”成勲先輩、この大黒柱と試合をしませんか?」と対戦を呼びかけ、翌日の一夜明け会見でも「やらせてもらえるんであれば、僕は正々堂々と戦います」と対戦をアピール。
その時は実現しなかったが、2021年10月の「Road to ONE: 5th Sexyama Edition」でグラップリングマッチを戦った青木は、試合後、マット上で、「9月6日に俺にオファーが届きました。オイ、お前(放送席の秋山に)何で(試合を)断ったんだよ。笑いごとじゃないんだよ、何とか言えよ! 嘘を付くんじゃねぇよ」と秋山に対戦を迫り、秋山は「もちろんやらないという選択肢はない。当たり前のようにやるつもりでいるし」と答え、今回実現となった。
会見に登壇した秋山は「いろいろな想いがあり、今この壇上に立っていますが一ファイターとして尊敬すべき青木真也選手と戦えることを光栄に思い、作っていただいたONEに感謝を申し上げます。時を経てこういう状態になりましたが、いいものを見せて楽しい素晴らしい試合にできたらと思っております」と挨拶。
青木は「この試合を作ってくれたチャトリ(シットヨートンONE会長兼CEO)にありがとう」と言い、続けて「誰がこねたか、誰がついたか分からないけど、DREAMの時から加藤浩之、笹原圭一、井澤克彦、佐藤大輔がついて、こねてきたものをようやくここで形に出来るっていうのは、一つ意味のあることなのかと思っております。まぁよく形にしたと思います。当日、いいものを作れるように頑張って行きましょう」と、秋山戦を「意味のあること」と表現した。
ここで顔を合わせてどう思ったかと聞かれると、秋山は「青木選手は昔から知っている選手ですし、今ここで会ったからどうという感情はないです。いつもの青木選手といつもの私です」、青木は「何もないよ。やるだけだ」と、両者ともぶっきらぼうに答える。
事前に公開されたインタビューでは激しく煽り合ったが、秋山は「時間が経てば人はどんどん変わって行くのだと思うので、それと同じで先日とはまた違う感情でここに座っています」と言い、青木は「大丈夫だ、心配するな。本質は変わらないから」と対照的なコメント。
試合へ向けて特別な練習をするのか。秋山は「毎日同じ練習、毎日同じことですね」と変わらないとし、青木は「DDTの高木社長にいいことないかと聞いたら、掃除がいいと聞いて掃除しようと思ったですが、バルサンか激落ちくんがいいと。それで毎日バルサンたいたら喉がよくないですね」と煙に巻くような答え。
するとここで、記者席に座っていた桜井“マッハ”速人がマイクを持ち「秋山、体重落とせんの?」と絡み始める。
秋山は「まずマッハが落としなよ」と皮肉を言うと、「私が本来は一つ上の階級で、この体重というのは現時点では厳しい。水抜き無しの77kgなので。ラクかと言ったらラクじゃない」と答えると、マッハは「じゃあ、なんで青木に合わせたんだよ」と問い、「それは言ったんだけど、俺の階級に来ると重いから半分で行こうかと。そうしたら青木選手はダメだ言うことで。俺はONEの社員でありアスリートであるから……」と、両者の中間の体重にしようと提案したところ青木に断られたという。
マッハは青木に「なぜ秋山に合わせなかった」と聞くが、青木は「先輩、酔っぱらって来るなよ。帰れよ。シラフで来いよ」と苦言を呈し、「時系列で言うと、昨年4月に秋山が階級を一個下げると言ってるわけですよね。だからこの試合へ向けてじゃないんですよ」と、すでに秋山が階級を下げると言っていたと反論した。
さらにマッハが「いい試合するよな?」と問うと、秋山は「誰目線だよ。それは見といたら分かる」と答えた。
再び記者との質疑応答に戻り、フィニッシュのイメージはあるかとの質問に秋山は「しております。話せません」、青木は「フィニッシュのイメージはありますけれど、両者リングアウトじゃない? 試合までに両者リングアウトにならないようにしていきたいと思います」とやはりはぐらかしたが、最後には「ギブアップだと思います」とサブミッションで一本とるとした。
日本のファンからは大きな注目を集める対戦だが、日本以外のファンにはどうアピールしたいかと聞かれると、秋山は「日本では大変注目されていると思います。他の国からするとなんだコレ? と。でもそれは私たちには関係ないと思います」、青木も「特に気にしてないです。でもこれが俺のやりたいことだから。ジャパニーズMMAがやりたいことなので、あまり気にしてないかな」と、両者とも自分たちには関係がないこと、とした。
また、14年前になぜ秋山に対戦を要求したのかと聞かれた青木は「当時で言うと、DREAMを一から作り始めていて一番にしたい、一番だと思ってやってきたから、その中で違うと思ったからやりたいと思った。今は立場も立ち位置も全て含めてあの時とは違いますよね」と、当時の秋山に違和感を持っていたからというような理由を説明。
事前のインタビューVTRで、「(青木は)仕事を盛り上げたいだけの話でしょう。仕事なんですよ、彼は。だから薄っぺらいんじゃないですか」というような発言をした秋山。仕事でなければどんな想いで臨むのかと質問されると「普通に仕事と考えれば仕事ですし、ギャンブルと言えばバカラじゃないですかね。整理と言うか、ひとつの区切り。歴史の1ページとして両者と皆さんの心の中に刻まれる1ページだと思います」との想いを口にした。