いつ負けるか分からない、でも佐々木では負けない
目指すはサトシと同じ「チャンピオン」。群雄割拠のフェザー級では上位陣が混沌としているが、なかでもクレベルは、朝倉未来の成長に注目している。
「いま牛久がチャンピオン、でもRIZINでは1試合だけ。私(の気持ち)は何も変わらない。彼が強くても心配しない。前のチャンピオンは斎藤。負けて強くなるのと弱くなる、両方のタイプがあるけど、斎藤はいまちょっとダウン(落ちている)になっているかな。朝倉は逆で、前に私に負けて、ちょっと階段上がってレベルアップしている」と、朝倉が敗戦から改善し、強さを増していると語る。
「それでも問題ない」と強気なクレベルだが、一方で、常に最善と最悪の両パターンを想定しているという。
「勝ちも負けも、いいポジションも悪いポジションも考える、それが大事。みんなたぶん勝つことだけを考える。(自分は)負けたらどうするか、ダウンしたらどうするか、それをいつも考えたら、もっと頑張れます。いつ負けるか分からない、次かもしれない。でも佐々木では負けない」
今年、私はチャンピオンになる
同番組では、ボンサイ柔術から「TRIGGER」でアキラと対戦する鈴木琢仁、原虎徹と対戦する内山拓真、さらに出稽古組として、倉本一真と対戦する加藤ケンジ(3POUND/K.O.SHOOTO GYM)や、竹内皇貴と対戦する北川裕紀(ZERO ONE GYM)、そして3.6「LANDMARK」で昇侍と対戦する鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)、ONEキックボクシング世界フライ級4位の内藤大樹(同)らとの練習風景や証言も見ることが出来る。そして幼き頃のクレベルを語る両親の姿も。
「二つ夢がある。日本で家を買いたい。トーナメントで勝って、何回か勝ったらそれが出来るかもしれない。もう一個は、自分の道場を作りたい。奥さんと子供たちが名古屋にいるから名古屋かな。自分のジムを作って、もう若くはない両親を助けたい。それがRIZINでの夢」というクレベルは、ボンサイ柔術の強さの秘密を“総力戦”だと明かしている。
「ファミリーを守ること、助けることがボンサイ柔術のスタイル。自分のことだけじゃない。互いにアドバイスしあう。1人の夢だけじゃない。みんなが大事。チームプレイになるから」と“All for one One for all”のスピリットを語る。
MMAチームとしては異例の、地方から柔術ベースで強豪選手を生み出した理由について、本誌の取材にクレベルは、「ボンサイ柔術は、千人規模とかのジムじゃなくて僕たちだけで小さいからね。一人がスターなのではなくて、お互いに助け合って、支え合っている。サトシがチャンピオンになれたのにはみんなの力もある。それは、みんなが一人ひとりのために寄り添う強さ。前回はサトシとセキネさんが試合だから、自分を助けてくれた時以上に支えようとする。僕やタクミはもちろん、他のみんなもそう。それで今度は僕とタクミとウチヤマが試合があるから逆の立場になる。お互いにリスペクトを持っているから、他の練習仲間よりも自分だけが良くなりたいと思っているのではなくて、自分たち全体で良くなりたいと思っている。例えば分からない動きがあれば秘密にするのではなく共有する。そうすることで相手も強くなって、自分もいい練習が出来る。練習仲間と一緒に強くなっていきたいと思っている。そういうチーム一丸となっていることが強さだと思う」と語ってくれた。
「今年、私はチャンピオンになる。いつか分からないけど、すぐ牛久とも出来るし、もう牛久と戦いたい。それとも朝倉か誰か分からないけど。今年はチャンスがある。斎藤でも未来でも誰でも、だいたい分かるから大丈夫。私はチャンピオンになりたい。ベルトを獲りたい。その後でGPでトーナメントで勝ちたいです」──果たして、クレベルは地元で2022年の第一関門をクリアできるか。