キーホルツの打撃スキルは最高峰レベル、組み技には粗さもある
カモーシュ戦の眼窩底骨折から約11カ月ぶりの復帰戦の相手は、デニス・キーホルツ。
同じ柔道のバックグラウンドを持つが、同時にBellatorキックでもベルトを獲得するなど、打撃を効かせての一本勝ちも多い。
渡辺は、キーホルツの組み技について「オランダの柔道U-15で優勝経験もあるので、投げ技にはキレもありサブミッションの思い切りが良い選手だと思います」と、払い腰からの袈裟固め、アームロックの必殺パターンを評する。
しかし、この部分の競り合いは、渡辺にとっても望むところ。ヴェラスケス戦で序盤はタックルへの対処を見せていたキーホルツが、柔道の胸を合わせる組み手をするときに、足技も含めた渡辺の得意な投げが効果を発揮できる可能性がある。
渡辺は「思い切りが良い分、攻守ともに荒い部分もがあり、柔道の組技・寝技をMMAでもしている印象です」と、つけいる隙があると語る。
むしろ渡辺にとって、警戒すべきはキーホルツの打撃だ。
Slamm、Enfusion、Bellatorキックなどで活躍したキーホルツの打撃はパンチの回転が速く、圧力があるばかりでなく、下がりながらも当てられる見切りの良さとタイミングを誇る。パートナーはK-1でも活躍した元IT'S SHOWTIME世界ヘビー級王者のヘスディ・カラケスで、欧州でのBellatorでは負け無しだ。
渡辺は、「背は大きくない(身長160cm、リーチ168cm)ですが、踏み込みが強くパワフルで試合を終わらせるパンチを持っていると思います。圧が強く打撃スキルは最高峰レベルだと思います」と警戒する。身長167cmでリーチ168cmの渡辺はその体躯を、打撃面では活かし切れておらず、カモーシュ戦の課題をどう克服したか。ヴェラスケスが攻略したように、長い距離での打撃で前蹴り、ローキックをどう使いどう組むのかにも注目だ。
試合会場はアウェーだが、人気選手とのマッチアップが、Bellatorの渡辺への期待の表れと言ってもいい。
「前回負けてしまっているのに、ランキング上の選手と戦える事は光栄に思います。ここで勝つとタイトルマッチも近づくと思います。前回打撃で負けて、今回の相手もキックボクシングのチャンピオン。ここを越える事でファイターとして大きく成長できる大事な試合です。自分の全てを出して、やれることを全てやり、勝ちに行きます」と、渡辺は力強く語った。
果たして“ミズ・ダイナマイト”を相手に、渡辺は再起を飾ることができるか。
Bellator女子フライ級ランキング(※2022年2月1日時点)
王者 ジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)12勝0敗
1位 イリマレイ・マクファーレン(米国)11勝1敗
2位 リズ・カモーシュ(米国)16勝7敗
3位 デニス・キーホルツ(オランダ)6勝3敗
4位 渡辺華奈(日本)10勝1敗1分
5位 アレハンドラ・ララ(コロンビア)9勝5敗
6位 ヴェータ・アルテアガ(米国)6勝4敗
7位 ディアンナ・ベネット(米国)11勝7敗1分
8位 ヴァネッサ・ポルト(ブラジル)23勝9敗
9位 ディアナ・アヴサラゴヴァ(ロシア)4勝0敗
10位 ヴァレリー・ルレーダ(米国)4勝1敗