160kgを相手に96kgの隆の山がどうさばいていたのか
そんな大ベテランとの対戦に向け、プロハースカは、大いなるリスペクトと日本でのキャリアを背に戦うつもりだ。
プロハースカは27日、自身のSNSに、日本の相撲のまわしをつけた稽古の模様を公開。「隆の山俊太郎」ことパヴェル・ボヤルとの相撲稽古に励む姿をアップした。
隆の山は、100kgに満たない体重で幕内にまで上ったプラハ出身の元力士。柔道の腕前を買われてプラハ市内の相撲クラブにも通い、2000年の世界ジュニア相撲選手権大会で軽量級3位に入賞。鳴戸部屋に入門し、2011年11月場所にて初土俵を踏むも、5年経つっても入門時の88kgから3kgしか増えず、2009年まで体重が100kgを超えることがなかったというソップ型力士。
2014年7月場所で左腕を故障し休場、12日目に引退を発表。日本国籍を取得していないため引退後は日本相撲協会に残らず母国チェコへ帰国し、相撲の指導をしていた。2011年5月場所13日目の7番相撲で188kgある天鎧鵬との対戦を「思い出の取組」として挙げている。
そんな隆の山との相撲稽古を、プロハースカは「僕は幸運にもチェコの偉大なファイターと相撲で立ち会うことができました。僕もこの競技をやってみましたが、当時の平均体重が160kgのカテゴリーで、この男(96kg)がどうやって相手をさばくのか、YouTubeで彼のハイライトをチェックしてみてください。彼の運動能力だけでなく、もっと重要なのは人柄です」と、異国の地で奮闘した隆の山の闘志に敬意を示した。
左四つ、上手投げ、柔道の大内刈なども得意とした隆の山は、プロハースカとの稽古で、脇を差して頭をつけての組みとMMAグラップリングにも通じる動きを見せているが、唯一特徴的なのは、相撲にはまわしがあるということ。プロハースカは「おそらくトレーニングに相撲を採り入れることはないでしょうけど、いい準備になります。月曜日から3週間の米国合宿に出発します」と、タイトルマッチに向け、さらなる強化に励む予定だ。
それは、元北京オリンピック男子フリースタイル55kg級金メダリストにして、元UFC世界二階級(バンタム&フライ)制覇王者のヘンリー・セフードと、同ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズとの合流だ。セフードは、「UFC270」でデイブソン・フィゲイレードをコーチし、フィゲイレードのフライ級王座奪還に尽力したばかり。
動画のなかでプロハースカは、「2月は米国での準備を考えています。ヘンリー・セフードやジョン・ジョーンズがいる場所で特にレスリングを鍛えたい。自分のレスリングを次のレベルに持っていきたい。本当に楽しみだ」と、グラップリングの猛者であるテイシェイラとの戦いに向け、組み技強化に余念が無いようだ。
「RIZINでのキング・モーとの2度の試合から、僕は完全に自分を変えたんだ。あのタイトルマッチから今に至るまで、5段階もレベルアップしている。別人と言っていい。対戦相手とは敬意をもって話したいし、個人的なレベルで話すような悪口は言わない。それは己の弱さを見せるだけだ。僕にとってのいまの大きな挑戦は、タイトル、それだけだ」
果たして、元RIZIN王者のプロハースカは、UFC3戦目にして、念願のUFC世界王者のベルトを巻くことができるか。