弱気や恐怖も全部跳ね除けて漢を出して、僕を超えるファイターになってほしい
──そのほかの試合も今回のルールはRIZINルール。1デイトーナメントも組まれました。それを後輩に経験させたかったのでしょうか。
「正直、1デイを経験させたいという気持ちはないです。ただ1日しかない興行のなかで、ある程度、皆さんに説得力のあることをしようとすると、どうしてもトーナメントとして組む必要があったので組みました。やっぱり、いま国内で一番盛り上がっているRIZINのルールを採用することによって、よりいろんな人に見てもらえるチャンスが増えるんじゃないかと思いました」
──これまでRIZINルールを経験していない選手もいます。シビアな戦いになる可能性もありますね。
「僕は自分でファイターとしてやってきて、基本がRIZINルールみたいな感じで戦っていて、ほかの団体に出るときは、“こっちではこれやっちゃいけない”という感じで戦っていたんですね。なので、それが普通なのですが、皆もそんなに問題ないのかなと思っていたけど、それで辛いなら今回を機に見直してください(笑)」
──そのコンディションの良さを活かして、今回出場するCAVE勢(雅駿介、鬼神光司、笹川JP)の皆に稽古つけてきたのでしょうか。
「そうですね、今までスパーリングとか一切、出来なかったんですけど、今年に入って数回やって、痺れもなく、雅とかには直々に稽古つけてやってきました」
──その雅選手は、ワンデートーナメントの初っ端から強豪の風間敏臣(和術慧舟會HEARTS)との対戦になりました。
「これが事実上の決勝戦だと思うのですけど、優勝候補の風間選手に対抗するのが雅だと僕は思ってるんですけど、それがいきなり1回戦で、お互いフレッシュな状態で、お互い潰し合おうっていう、そういう互いの意思により、今回この組み合わせになったと思います」
──ほかカードも含め、CAVEの塾生がヒリヒリするようなマッチメイクをしたのは?
「雅に関しては、絶対に落としちゃいけないと思うんですよ。厳しいところなんですけど、普通に考えて雅は、DEEPにランキングがあったとしてもランキングに入らないでしょうし、それに対して風間選手はPANCRASE1位まで行っているので、タイトル戦線でどうなんだってところの選手じゃないですか。
だけど、雅は力があるだろうというのが僕の読みで組みました。彼にとっては、このトーナメントは絶対クリアしなきゃいけないんですよ。それに対して、鬼神、笹川に関しては、変な話、まだ全然誰も知らない。だから“まだ何回負けてもいいよ”と言っていて、そのなかで何かのタイミングでガラっと化けるタイミングが出てくる。特に笹川は、CAVEで始めて日が浅いですけど、最初来た時と今とでは全然違う動きをしている。結構仕込んだので、“もしかしたらいけるんじゃないか”というのが今回の試合で出るかもしれない。それまではひたすら試練を与え続け、何回負けても強い選手とやって強くなってほしい。今回も“負けていいよ”とは言わないけど“まだ道の途中だ”と言っています。負けたら引退という話じゃなく、これから強くなっていくなかで、強い選手とやっていく試合。とくに鬼神は、階級が実は一個上げているんですけど(※これまではバンタム級)、これも試練で。自分も強くなりたいから、強い相手とやるということです」
──リザーバーになったら同門対決もありのトーナメントでしたが、残念ながらリザーブマッチのCAVEの原虎徹選手と内山拓真選手の試合は、内山選手のコロナ検査陽性で中止となってしまいました。
「あれも、(雅と原で)『どっちが強いの?』と言っても、どっちも『自分が強い』というし、『じゃあやれば』と言ってたんですけど、流石に反対ブロックで組んで、やらせるのも……もしリザーバーで上がってきちゃったら(同門対決も)しょうがないとは思ってました。でもそれも無くなったので。僕の目から見てどっちかなというのは僕がトータルで見て、今回選んだつもりです。でも(原も)リザーブマッチが無くて悔しい気持ちだと思うので、どっかでチャンスがあったらまた試合を組んであげたいです」
──ジム単位でも、今回のようなボーダーレスなマッチメイクがまた見られたら、と思います。
「僕は出来ないっス(苦笑)。僕は2度とできないです。当日たくさんの人が集まってくれるのは幸せな気持ちでいっぱいで、嬉しさもいっぱい、忙しさもいっぱいいっぱいで、人生のなかで一番忙しく生きてました。頭からずっと煙が出ているような感じで、明日もきっとずっと煙出てます(笑)。ホッとする時間が無いし、アップしてから会場入りしようと思っています。スタッフ入りにされるんじゃないかと。何時起きなんだろう(苦笑)」
──あらためて「継承」の思いを。
「難しいですね……今回の1試合でみんなにバーンと継承できるとは思ってないです。最終的に目指しているものがあって、そこに向かうための試練で練習でもあります。最終的に一番になればいい。とにかくCAVEの選手は、今回、全滅が全然あり得ると思っていて、大試練を与えました。そのなかで彼らは日々の練習でも厳しくやってますし、試合のなかで、弱気になったりとか、怖いっていう気持ちとか色々あると思うのですけど、そういったもの全部跳ね除けて、それぞれが漢を出して、そして結果を出して、それが積み重なっていくことで僕を超えていくファイターになってほしいと思っております」
──ところで、メインの石渡伸太郎vs.扇久保博正戦のリングサイドには、両“女将”が揃うのでしょうか。
「プロポーズしたけど向こうはまだ“彼女”ですよ(笑)。招待してます!」