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【ONE】ジンナンが三浦彩佳の投げを完封、6度目防衛。仙三がKO勝ち、“永久寝技地獄”上久保周哉はONE6連勝! ハビブの練習パートナーのイザガクマエフが一本勝ちで「キル・アオキ」と対戦要求

2022/01/14 20:01
 2022年1月14日(金)、シンガポール・インドアスタジアムにて「ONE: HEAVY HITTERS」が行われた。  メインでは「ONE女子ストロー級世界タイトルマッチ」が行われ、王者ション・ジンナン(中国)に、同級4位の三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A)が挑戦。5Rの判定は、三浦の投げを防ぎ、打撃でポイントアウトしたジンナンが3-0で勝利。6度目の防衛に成功した。 ◆仙三ほか3選手がパフォーマンス・ボーナス獲得!  ONEは今後の全ての大会において、優秀なパフォーマンスを披露した選手に対し「パフォーマンス・ボーナス」を支給することを発表。  各大会で最小1名・最大5名まで支給することとし、その額は1人あたり5万米ドル。支給対象者は、勝者だけでなく敗者の中からも選ばれることがあり、どれだけ優れたパフォーマンスを見せたかが重要視される。  チャトリCEO兼会長は「“優秀なパフォーマンス”の選定基準としては、ONEがアスリートに求める、常に戦いをフィニッシュさせようとする積極的な姿勢です」としている。  既にこの「パフォーマンス・ボーナス」支給は、2021年12月に開催した大会『ONE:Winter Warriors』から実施され、最初の受賞者として、激闘を繰り広げたダギ・アサラナリエフ(トルコ)とティモフィ・ナシューヒン(ロシア)の両選手が選出され、2021年のONE MMA部門の年間最優秀試合(ファイト・オブ・ザ・イヤー)にも輝いた。  今大会では、 激勝した池田仙三、ザイード・イザガクマエフ、そして敗者のエカテリーナ・ヴァンダリーバの3人が5万ドルを獲得している。 [nextpage] 「ONE: HEAVY HITTERS」全試合詳報 【メインカード】 ▼第8試合 ONE世界女子ストロー級(※56.7kg)タイトルマッチ 5分5R〇ション・ジンナン(中国)56.40kg, 1.0018[判定3-0]×三浦彩佳(日本)56.45kg, 1.0160※ジンナンが6度目防衛に成功  メインイベントはONE女子ストロー級世界タイトルマッチ。王者ション・ジンナン(中国)に同級4位・三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A)が挑戦する。  三浦は中学入学後から柔道を始め、高校時代に埼玉県大会で優勝したほか、数々の大会で優勝を収めた。22歳でMMAに転向し、2014年5月プロデビュー。DEEP JEWELS、PANCRASEを経て2019年2月からONEに参戦し、3連勝も2020年2月にストロー級(※56.7kg)で対戦したティファニー・テオ戦で初黒星。2021年5月に58.3kg契約でハイアニ・バストスに1R2分58秒、キーロックで勝利して再起を飾った。  王者ジンナンは2018年1月にティファニー・テオとの王座決定戦でTKO勝ちして初代ONE女子ストロー級世界王座に就くと、ラウラ・バリン、サマラ・サントス、アンジェラ・リーに勝利し、2019年10月には1階級下のONE世界女子アトム級王座戦でアンジェラと再戦。5R リアネイキドチョークで敗れている。2020年10月にテオとの再戦を判定勝ちで4度目の防衛、2021年9月には柔術世界王者ミッシェル・ニコリニを判定で破り5度目の防衛に成功しているストロー級の“絶対女王”だ。 強いハートで組んできたニコリニの寝技をことごとく凌いだジンナン相手に、三浦は得意の首投げから袈裟固め&腕がらみ「彩佳ロック」を極めることが出来るか。  三浦はタイトルマッチ決定に「タイトルマッチが決まった時、“遂に来た”という気持ちでした。チャンピオンのジンナンは何度も防衛をしていてとても強い選手ですが、TRIBEの仲間と共にたくさん練習をしたりアドバイスをもらったりしてきました。前の試合後からずっとジンナン選手と戦う準備をしてきました。この試合ではねちっこく勝ちに拘り、やることをやりたいと思います」と、研究を重ねて勝ちに徹すると意気込む。  日の丸を背に入場ゲートで、いつもの投げキッスをしてから花道を進んだ三浦。長南亮代表とフィストバンプを重ねてからケージイン。続けて王者ジンナンが登場。中国らしく花火のなか花道を行く。セコンドは、かつて三浦のセコンドにもついた、現在はEVOLVE MMAの澤田龍人がベルトを持って逆コーナーで帯同。  コールに三浦は右手を挙げて咆哮。ジンナンは笑顔を見せてからライトニングボルトのポーズ。  1R、ともにオーソドックス構え。先に中央を取る三浦は、ジンナンの左足を掴んでシングルレッグから押し込み、右手で左手を引手に取り、左手で奥襟、首を掴むも、ジンナンは腰を押して腰を合わさせない。  下にタックルに入ったジンナンが切るとスタンドに。ジンナンのヒザ蹴りを浴びながらシングルレッグから金網まで詰める三浦だが、腰を押してジンナンは大外刈の動きを見せる。  オーソから左の蹴りはジンナン。フェイントを見せながら後ろ蹴り! 金網まで下がった三浦だが、ジンナンはボディストレート。今度は後ろ廻し蹴りのジンナン。三浦はダブルレッグも切る。前足の蹴りはジンナン。左右のボディ打ちから前に。さらに右オーバーハンドも三浦はブロッキング。  2R、詰める三浦は右を振るフェイントから足を手繰りに。しかし切るジンナンは距離を取り、左ジャブ、ワンツーの右を振ったところでカウンターのダブルレッグへ。  金網で詰めてクラッチを組む三浦だが、足を広げるジンナンは左で差し上げ、四つに。腰を押さえに来るジンナンに、左で首を巻きに行く三浦だが、突き放すジンナン。  左から右はボディを突くジンナン。「下がるな」の声にニータップを狙う三浦。ジンナンの左フックはパーリング。右足にロー。ジンナンは右ボディストレートを狙う。右オーバーハンドから前に出るジンナンは右ロー! 右手を頭にガードをつけている三浦に、ジンナンは前蹴りで尻餅を着かせる。  3R、先に詰めてダブルレッグに入る三浦。ジンナンは左腕を差し入れ切るが、すぐに追う三浦はダブルレッグから左で首をつかみ、右手でもロックし、首投げへ。これを剥がしたジンナン。  三浦は右の前蹴りからダブルレッグへ。ここも足を広げてクラッチを組ませない三浦は、再び首投げの形に。ジンナンは腰を押して突き放す。右ボディストレートのジンナン。ワンツーの右オーバーハンドも三浦は肩で受ける。 ジンナンの左をかわして足を手繰りに行く三浦はダブルレッグを切られると、シングルレッグへ。ここも差し上げたジンナン。突き放し際で引き手は外さない三浦はまたも首投げセット狙いから、ダブルレッグへ。両足を広げスプロールするジンナン。三浦はヒザ蹴りに合わせて組むがゴング。  5R、左右を突いて距離を潰して組む三浦。シングルではなくダブルレッグへ。しかし差し上げるジンナン。足を入れて大内・小内刈もあるが、崩すスペースが無い。ジンナンのダブルレッグを切る三浦。ジンナンは左ボディフック。  三浦の左ローには左ストレートを返す。左ジャブから右を振ったところに組みに行く三浦。しかし距離を取り始めたジンナンは遠い。左右から右ミドル。声を上げたジンナンに、三浦も声を返し前足にシングルレッグへ。しかし切るジンナン。 「1分あったら極められる行け、出し切れ」の長南代表の声に、打ち合いにも行く三浦だが捕えることは出来ず。  ジンナンの打撃を大きく被弾はせず、得意の首投げのみならず、ダブルレッグ、シングルレッグにもトライした三浦だが、ジンナンはことごとく投げをカット。打撃では遠間からのジャブ、前蹴りで三浦をポイントアウトし、判定3-0で、ジンナンが勝利。6度目の防衛に成功した。 [nextpage] ▼第7試合 ムエタイ キャッチウェイト66.45kg 3分3R×セーマペッチ・フェアテックス(タイ)65.65kg, 1.0087[1R KO]○タワンチャイ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)66.45kg, 1.0214  セーマペッチは7チャンネルTVマッチを主戦場とし、2017年頃からは海外選手との戦いが主流となる。ONEには2018年7月から参戦。2019年11月にONE Super Seriesムエタイ世界バンタム級タイトルにも挑戦したが王者ノンオーに4RでKO負け。  2020年のバンタム級(※65.8kg)ムエタイトーナメント準決勝でロートレックを判定2-0で降したが、怪我により決勝戦を欠場。代わってロートレックが敗者復活で決勝へ進出し、クラップダムを判定3-0で破って優勝した。そのクラップダムとは2021年4月に対戦し、初回KOに破っている。前戦は2021年11月にリッテワダにヒジ打ちによるTKOで敗れた。  タワンチャイは地方で試合経験を積んだ後、14歳でルンピニースタジアムに上がった。2018年にはクラップダムを3度破り、同年のルンピニースタジアム・オブ・ザ・イヤーとタイ国スポーツ局ファイター・オブ・ザ・イヤーなど4つの年間MVPを受賞。  シントンノーイ、ヌンラーンレック、センマニー、モンコンチャイ、フェラーリらにも勝利を収め、2021年5月にONE初参戦。ショーン・クランシーをハイキックでKOに葬った。長身を利したフィームー(テクニシャン)で、近代ムエタイでも1、2を争う実力者&人気選手。2021年8月に本来バンタム級のタワンチャイがフェザー級に階級を上げ、シッティチャイとの夢の対決に臨んだが判定2-1の僅差で敗れた。  1R、両者サウスポーから強い左ローを蹴り合う。タワンチャイはタイミングのいい前蹴りでセーマペッチを何度も突き放す。ワンツーからの左ミドルを蹴るタワンチャイに、すぐさまセーマペッチも右を返す。タワンチャイの前蹴りでセーマペッチは大きく吹っ飛ばされる。  左ハイから距離を詰めての右フックからの左フックでダウンを奪うタワンチャイ。さらに速いパンチを連打して、右でセーマペッチのバランスを崩すと左ストレートを打ち抜いて2度目のダウンを奪う。セーマペッチは立ち上がるも足が大きくフラつき、レフェリーがストップ。  普段は兄弟のように仲がいいという両者。TKO勝ちが宣せられると、タワンチャイはすぐに年上のセーマペッチに駆け寄り、ダメージを気遣った。 [nextpage] ▼第6試合 ONEライト級 5分3R×ジェームズ・ナカシマ(米国)76.25kg, 1.0124[2R 2分17秒 ダースチョーク]〇ザイード・イザガクマエフ(ロシア)76.80kg, 1.0018  2021年10月にONEへの参戦が発表された、ハビブ・ヌルマゴメドフの練習パートナーであり友人でもある、ザイード・イザガクマエフ(ロシア・19勝2敗)が、ジェームズ・ナカシマ(米国・12勝2敗)とのライト級マッチでONEデビューを果たす。  2009年の全米大学レスリング王者のナカシマはMMA12連勝から、2020年11月にONEウェルター級でキャムラン・アバゾフ、2021年1月にONEライト級で青木真也相手に一本負けで、2連敗中。  対するイザガクマエフは、ここまで19勝2敗。この試合に向けて、ヌルマゴメドフは「ザイードは15年以上前から僕のトレーニングパートナーであり、彼は幼い頃から僕の父親(アブドゥルマナプ)から指導を受けている。長く一緒に練習しているから、ファイトスタイルが僕と似ている選手だよ。グラップリング、レスリング、クリンチ、身体の使い方、似ているところはたくさんある。彼は僕より少し身長が高く、素晴らしいボクシング技術やヒジ・ヒザのスキルも持っている選手だ」とのコメントを寄せている。  1R、サウスポー構えのナカシマ。オーソドックスのイザガクマエフは左ロー。そこにカウンターの右を狙うナカシマ。さらに重い左インローを当てる。  サウスポー構えになるイザガクマエフオーソに戻すと、ナカシマは左ミドル! 2度目の左ミドルハイを掴んだイザガクマエフだが、ナカシマは足を抜く。  右から入るナカシマ。しかしイザガクマエフは左カーフを当てる。ワンツーで詰めるナカシマはなおも左インロー。イザガクマエフもインローを返し、右ボディストレート。しかしかわすナカシマは左インロー! さらにワンツー。  イザガクマエフは左ロー。ナカシマのワンツーの詰めにイザガクマエフはダブルレッグテイクダウン! 押さえながらナカシマの立ち際にバックからチョーク狙いも、ナカシマもすぐに正対し外す。  2R、前に詰めたナカシマに早々に長い手でシングルからダブルレッグテイクダウンのイザガクマエフ! 立ち上がるナカシマにボディロックで崩すと、脇の下からリストコントロール。  すぐにバックマウント&パウンド。正対するナカシマに4の字ロックからパウンド。足を解き、左脇に頭を潜らせると、肩固め、ナカシマが半身になるとリアネイキドチョークの組み方で肩固め、あるいはチョークを極めた!  レスリング巧者のナカシマをケージMMAでドミネート、最後は肩固め(公式はダースチョーク)に極めたイザガクマエフは、ONE初勝利。MMA20勝2敗をマークすると、試合後、エディ・アルバレス、青木真也との対戦をアピール。特に青木に「キル・アオキ」と2度、口にすると、チャトリCEO兼会長に5万ドルのボーナスを要求した。 [nextpage] ▼第5試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R○スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)56.65kg, 1.0120[判定2-1]×エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)56.70kg, 1.0132  スーパーガールは同じくONEで活躍しているワンダーガール・フェアテックスの妹。2020年2月の『RISE GIRLS POWER 2』に初来日しており、キム・スヨン(韓国)に強烈なワンツーで判定勝ちを収めた。同年9月にONEに初参戦するとアルゼンチンのミラグロス・ロペスに初回KO勝ち。試合はそれ以来となるようだ。  エカテリーナは女子大生時代にモデルも務め、“世界一美しいキックボクサー”として話題となったベラルーシの女子キックボクサー。16歳でムエタイを始めると、17歳で国内ムエタイ王者となり、2009年にはWMF世界王座を獲得。  2010年にはアマチュアムエタイのIFMA世界王座、そして2011年にはヨアナ・イェンジェイチックを破り、WKNの世界王座も獲得した。ONEには2019年10月に初参戦したが、ジャネット・トッドにKO負け。2021年4月にもジャッキー・ブンタンに判定で敗れている。戦績は58勝(16KO)9敗1分。  1R開始から前に出て攻めるのはスーパーガール。至近距離で打ち合うとスーパーガールの右ストレート、左フックがヒットする。  スーパーガールの左にエカテリーナはヒジを合わせようとするが、スーパーガールは退かずに前へ出る。ケージを背にする場面が多いのはエカテリーナ。顔面、ボディへ右を放つスーパーガールは振りが大きくなる。  2Rも右を顔面とボディに放ちながら前へ出るスーパーガールに前蹴り、左ミドルで対抗するエカテリーナ。飛び込んできたスーパーガールのにヒジを合わせたエカテリーナが左右フックの猛ラッシュを仕掛ける。  棒立ちとなってフックを浴び続けるスーパーガール。さらに右フック、右ヒジで畳みかけるエカテリーナ。しかしスーパーガールは倒れない。両者とも息があがった状態となり、見合う時間が長くなる。その間にも強い右を打つスーパーガールにエカテリーナも前蹴りとジャブで応戦。  3R、スーパーガールは顔面前蹴りでエカテリーナをのけ反らせ、蹴りを出しながら右でボディを狙う。エカテリーナも右と右ヒジで迎え撃ち、前へ出るスーパーガールを前蹴りで突き放す。  前に出る気持ちの強さを見せるスーパーガール。エカテリーナもペースをとられないように貰いっぱなしにはならない。  意地を見せつけた両者の勝敗は判定に持ち込まれ、2-1で前に出続けたスーパーガールの勝利となった。スーパーガールは笑顔を輝かせ、エカテリーナは“信じられない”という顔で両手を広げた。 [nextpage] ▼第4試合 ストロー級 5分3R〇池田仙三(日本)56.35kg, 1.0191[3R 2分00秒 KO] ※左ボディ×エリピツア・シレガー(インドネシア)56.30kg, 1.0031※ジェレミー・ミアド(フィリピン)は欠場  メインカードに出場する仙三は、2020年12月以来の試合。MMA12勝6敗1分で、前戦ではリト・アディワン戦の右ヒジ負傷からの再起戦で中国のリャン・フイを相手に激闘の末、判定勝ちも、1Rに右拳を骨折。今回も怪我から1年1カ月ぶりの復帰戦で2連勝を狙う。  仙三は、当初フィリピンのジェレミー・ミアドと対戦予定だったが、ミアドが新型コロナウイルスの影響で欠場に。第1試合でロビン・カタランと対戦予定だったMMA4勝1敗のエリピツア・シレガー(インドネシア)と今回、対戦することになった。  ONEストロー級には、王者ジョシュア・パシオに次いで1位に澤田龍人とレネ・カタランを破ったボカン・マスンヤネ、2位に9月にパシオに敗れた猿田洋祐、3位に11月にリト・アディワンを肩固めで極めたジャレッド・ブルックス、4位にアディワンとアレックス・シウバにスプリット判定勝ちしている箕輪ひろば、5位にシウバがつけている。仙三は2連勝でランキング入りへと近づけるか。  1R、左右スイッチしながらにじり寄る仙三。低い構えで出どころが分かりにくい左ジャブから入る。シレガーも左のかけ蹴り。しかし仙三は右のカーフキック!   シレガーのダブルレッグをがぶりを切り、金網に詰めて離れる仙三は、左右から左ボディをヒット! そこに右で差して組むシレガー。突き放す仙三。  仙三が右を振ったところにシングルレッグで組んで四つから仙三の右足を掴んで払い投げたシレガー。仙三が向き合って立とうとするとヒザを突く。  立ち上がる仙三。右ストレートにまたもシレガーはダブルレッグから持ち上げテイクダウン。シングルレッグで立ち上がる仙三は、つかつかと近づき、左右を振る。  2R、歩いて前に出る仙三。しかしそこにシレガーも右ストレート! スウェイする仙三は詰めて連打するが、またもそこにカウンターのテイクダウンはシレガー。すぐに立つ仙三は詰めて右を強振するが、スリップで手をマットに着く。  立ち上がる仙三は肩で息をするシレガーを詰めて打撃も、足が揃ったところでシレガーはダブルレッグテイクダウン。サイドからヒザを突くと、仙三が半身になったところでリアネイキドチョークへ! 組まれたヒジを押し上げる仙三は脱出! なおも前に出ると左アッパーは金的に。  再開。シレガーのダブルレッグ、シングルレッグを凌ぐ仙三はいったん崩されるが、頭をマットに着いて耐えると、詰めて左ヒザを当てるもゴング。  3R、詰める仙三。右のクロスを合わせる仙三。シレガーのシングルレッグを差し上げ切る仙三は前へ! 左ボディを当てるとシレガーは後退。しかしシングルレッグへ。頭を押さえる仙三に、ダブルレッグで尻まで着かせるが、足を抜いた仙三は左ボディ! 後退したシレガーになおも右アッパー、左レバー打ちを決めると、シレガーは左手を前に出してストップの仕草。仙三がなおも左を突いたところでレフェリーが間に入り、仙三を突き飛ばして離した。  試合後、仙三は、「強かったですね。危なかったです。いつもと同じでとにかく必死で戦いました。ボディは狙ってました。得意なんで。まぐれかもしれないけど、最後はツイてました」と苦笑。 「ラッキーじゃない」とミッチ・チルソンから声をかけられ、インタビューを締められると、「最後、ちょっといいですか?」と言った仙三は、サークルケージの中央で「かめはめ波」を叫んだ。 [nextpage] ▼第3試合 ライトヘビー級 キックボクシング 3分3R×ベイブラット・イスアエフ(ロシア)96.10kg, 1.0136[1R 0分31秒 KO]※左フック○ヤニス・ストフォリディス(ギリシャ)101.80kg, 1.0083  イスアエフは2021年10月大会でボグダン・ストイカ(ルーマニア)と対戦。ダウンの応酬となる激しい試合を制してONEでの2連勝を飾った。ストフォリディスは“ヘラクレス”の異名を持ち、今回がONE初参戦。  1R、ジャブとローを出し合った両者。イスアエフがワンツーを打って左フックを繰り出すと同時に、サウスポーのストフォリディスも左フック。一瞬早くイスアエフの左フックが当たるが、ストフォリディスの左フックがカウンターでヒット。  両者はじけ飛ぶように後方へ倒れたが、立ち上がったのはストフォリディスのみ。劇的なダブルノックダウンで、ストフォリディスが秒殺KO勝ち。重量級の醍醐味を発揮した。 [nextpage] 【リードカード】 ▼第2試合 ストロー級 5分3R〇ティファニー・テオ(シンガポール)56.30kg, 1.0014[2R 3分45秒 リアネイキドチョーク]×メン・ボー(中国)56.70kg, 1.0083  テオはMMA9勝2敗。ミッシェル・ニコリニ、三浦彩佳相手に2連勝も、2020年10月にション・ジンナンに判定負けでストロー級王座獲得ならず。  メン・ボーはMMA17勝5敗。MMAデビュー戦で現UFC世界ストロー級王者のジャン・ウェイリーに勝利し、ONEでも強いフィジカルと右の強打を武器に3連勝(MMA7連勝)後の2021年9月のアトム級GP1回戦で、リトゥ・フォガットに判定負けで敗退。今回はストロー級での再起戦となる。  ともにオーソドックス構え。地元の声援を背に左右で先に詰めるテオ。しかし組みを切るメン・ボーはカウンターの右! 互いに右カーフの打ち合い。ワンツーで出るテオにメン・ボーはカウンターの左! さらに左カーフキック。テオの右オーバーハンドからの組みを切る。  右ハイを2度打つテオに、右を当て、左右の連打で詰めるメンボー。しかし、そこにカウンターのダブルレッグテイクダウンはテオ! バックテイクから足をかけたところでゴング。  2R、右から左のメン・ボー。右ミドルのテオにカウンターの右を当てる。かい潜りダブルレッグからボディロックテイクダウンはテオ! 立ち上がるメン・ボーをなおも崩して左手をリストコントロールして右手で鉄槌! さらにサイドを奪い、後ろ手にメン・ボーを縛り、頭にヒザ蹴り! メンボーが片ヒザ立ちになったところにバックから右足をかけてリアネイキドチョーク! メン・ボーがタップした。 [nextpage] ▼第1試合 バンタム級 5分3R〇上久保周哉(日本)64.90kg, 1.0014[3R 4分36秒 リアネイキドチョーク]×トロイ・ウォーゼン(米国)65.80kg, 1.0207  リードカード第1試合に、ONE5戦無敗の上久保周哉が登場。4月に対戦予定だったトロイ・ウォーゼンと対戦する。4月の前戦では試合前日に急遽、ミチェル・チャマール(米国/グアテマラ)との対戦に変更。1Rから上久保がテイクダウンを奪い、コントロール。柔術黒帯のチャマールのバギーチョークに固められたものの、2Rにもボディロックからテイクダウン、バックを奪い、見事リアネイキドチョークを極めている。  上久保は当初対戦予定だったウォーセンについて「レスリングだけじゃないのはもちろん、柔術に限らず組技をしっかりやっている。ユサップ戦もウォーセンが勝っててもおかしくなく、テイクダウンされてしっかり両脇取られて抑え込まれているのに、パンチ一発も被弾せずに立ち上がるなど素晴らしい技術を持っている。自分の立ち位置と実力を知る上で基準となるとても強い選手」と高く評価している。  7勝2敗のウォーセンは、2021年4月に元UFCのジョン・リネカーに1R カウンターの右で敗れたものの打ち合いにも強さを見せている。上久保が1位のリネカーやランカーとの距離を測る上でも重要な一戦となる。  1R、走って中央に詰めた上久保はシングルレッグから片足を両足で挟むと、ウォーゼンはキムラクラッチで崩す。右足は離さない上久保は、左足の踵も掴み尻を着かせる。  金網背に上体を立ててスイッチからバック狙いのウォーゼン。サイドバックからパウンドも、右足、さらに左足も束ねた上久保が背中を見せて立とうとしたところにバックテイク。両足をかけるが、落としたウォーゼン。  しかし上久保も左足の踵を左手で掴んでおり、ウォーゼンの右足を両足で挟む。シングルレッグを引き出して、その際でマウント、立ち上がるウォーゼンの背中に乗って、スタンドで4の字ロックの上久保! ウォーゼンは背後にスラムし、ゴング。  2R、またも中央を取る上久保。ウォーゼンの蹴り足を掴むが、ウォーゼンは足を抜く。左フックを掻い潜り、ダブルレッグは上久保。ウォーゼンはがぶりで両足をスプロール。スタンドバックに着くと、ハイクロッチからテイクダウン、バックへ。  ここで左足首を掴んでいる上久保はウォーゼンに両足をかけさせず、足を引き込み、ウォーゼンの尻を着かせると、バック狙い。右手を股間に差し込みスイッチを狙うウォーゼン。立ち際にバックテイクを狙うが、正対するウォーゼン。またもスタンドバックにつくが、ここも足首を掴んでいる上久保はフックさせず、上久保が正対し左を振って金網に詰めてダブルレッグテイクダウンを奪ったところでゴング。  3R、左右から左を突き上げ左で差して崩してバック狙い。足を手繰るウォーゼンの腕を手繰り腕十字へ。ヒジを抜いたウォーゼンはバックへ! 4の字を組むと、スタンドバックに背負った上久保はいったん金網背に座って、4の字ロックの足を上げて外して腰をズラして正対!   押し込むウォーゼンに腕取りから前へ! ギロチンチョークのウォーゼンから首を抜き、上を取った上久保! ヒザを突きながらバック、リアネイキドチョーク狙いで引き込み、左腕を顎下に巻き、右手でゲイブルグリップ(インディアングリップ)で組んで引き寄せ、フェイスロック気味にチョークを極めた!
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