NO KICK NO LIFE(第1部)2022年1月9日(日)東京・ニューピアホール
▼メインイベント(第5試合)宮元啓介引退試合 55.5kg契約 3分5R×宮元啓介(橋本道場/WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者)判定0-2 ※48-50、48-48、48-49〇加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)
宮元は小学4年生から空手を始め、数多くのタイトルを獲得。2010年1月、MA日本キックボクシング連盟でプロデビューし、WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者を始め、これまで6本のベルトを獲得している。志朗、内藤大樹、那須川天心、工藤政英、江幡塁など国内55kg級のトップ選手とはほとんど対戦経験があり、空手仕込みの蹴り技を駆使して国内55kg級のトップ戦線に長く君臨。2020年12月のREBELSでは小笠原瑛作に惜敗したが、2021年2月の『NO KICK NO LIFE』では加藤有吾の連勝をストップして見せた。9月のINNOVATIONでは馬渡亮太に判定負けを喫している。戦績は35勝(11KO)15敗7分。
加藤はジュニア時代から元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーライト級王者・石井宏樹の指導を受け、プロデビューすると持ち前の強打で頭角を現し、2019年12月にWMC日本スーパーバンタム級王座を奪取。2021年1月のINNOVATION岡山ジム主催興行で行われた「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント」で、元山祐希と壱・センチャイジムを破って優勝している。9連勝で一躍注目を集める存在となったが、セミファイナルに抜擢された2021年2月のNKNLでは宮元啓介に判定2-0で惜敗。その後は7月のNKNLでダウンを奪っての判定勝ち、9月のBOMではKO勝ちと再び波に乗る。戦績は18勝(9KO)4敗。
試合前にはかつて宮元と対戦した江幡塁からの花束贈呈。
1R、ガードを高く上げて前へ出る宮元。両者ローとミドル、加藤は顔面からボディへパンチをつなぎ、時折ヒジも打つ。宮元はジャブ、左フックを出しつつ右ローを蹴る。宮元はロープを背負った加藤に後ろ廻し蹴りを軽くヒットさせた。
2R、お互いに右カーフを蹴り、加藤はワンツー、宮元はミドルにつなげる。連打を出しながら前へ出る加藤の左ボディが鈍い音を立てる。ロープまで追い詰めるとヒジも打つ。パンチの被弾が目立ち始めた宮元だが、右カーフと左ミドルを蹴る。前へ出てパンチを打ち込んでいった加藤だが、宮元に右カーフを狙い撃ちにもされた。
3R、勢いよくパンチで攻め込んだ加藤に宮元は左三日月を連発。下がる加藤だがすぐにボディを交えたコンビネーションパンチ、至近距離ではヒジ。左ボディからの右フックをヒットさせる。宮元は右カーフと左三日月の両方を蹴っていく。加藤の右にアゴが上がる宮元。
4R、カーフを蹴り合う両者。加藤は左右フックから右カーフ、宮元をコーナーへ詰めて左右フック&左ボディ、さらに右ヒジ。加藤の左ボディ、右フックで腰が落ちかかる宮元だが左ストレートをうch返す。宮元は加藤のパンチを何度ももらいながら、自分も打ち返す。そしてハイキックも狙う。
5R、蹴る宮元に加藤は連打で対抗。宮元が組んでくるとヒジを叩きつける。加藤の連打でコーナーへ追い込まれる宮元だが、左ミドルで応戦して前へ出る。左右ミドルを蹴って前へ出る宮元に加藤は左フック強打。最後は足を止めての打ち合いから宮元が左右ミドルを連打して印象付けた。
そして判定はジャッジ1名がドローだったが、2名は有効打の多かった加藤を支持。判定2-0で加藤がリベンジに成功し、宮元は有終の美を飾ることは出来なかった。
勝利者インタビューで加藤は「引退試合ですけれど僕は1年前に負けているのでやり返したい気持ちでした。むちゃむちゃ強かったです。宮元選手、自分がキックボクシングを始めた頃から王者で、その人と2回も試合が出来て光栄でした。今年はヒジありもヒジなしにも挑戦しようかなと思っています」と話した。
その後、リング上では宮元の引退セレモニー。小野寺力RIKIX代表、師匠である橋本敏彦会長、道場の仲間と家族から花束とパネルが贈呈され、「終わったばっかりで頭が回らないですけれど、最後負けてはしまったんですが応援団が来てくれて嬉しいです。入門して14年間、ここまで育ててくれた橋本師範ありがとうございます。ここまで見てくれた先輩方や後輩に感謝の気持ちでいっぱいです。この試合に集中していたので後先考えてないんですが、キックから離れるつもりはないのでどこかで会うと思うので声をかけてください。今まで応援してくれてありがとうございました」と宮元は挨拶。
リング上で10カウントゴングを聞き、現役に別れを告げた。
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▼セミファイナル(第4試合)52.5kg契約 3分5R×石井一成(ウォーワンチャイプロモーション/WPMF&IBFムエタイ世界フライ級王者)判定0-3 ※47-49、47-50×2〇花岡 竜(橋本道場/KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王者)
石井はジュニアキック出身で、アマチュアでは14冠王を達成。タイを主戦場に6連続KO勝利を飾り、2017年2月にはTrue4Uフライ級タイトルを高校生で獲得。2017年6月からは『KNOCK OUT』に参戦し、2018年12月、トーナメントを制してKING OF KNOCK OUT初代フライ級王座に就いた。WPMF世界フライ級王座、IBFムエタイ世界フライ級王座、BOMスーパーフライ級王座も保持し、那須川天心に対して“西の神童”と呼ばれている。
2021年2月の『NO KICK NO LIFE』では麗也を判定3-0で破り、4月の『BOM』ではサンチャイを三日月蹴りでKO。そのキャリアのほとんどをムエタイルールで戦ってきたが、7月に『RISE』参戦。「DEAD or ALIVE 2021 -53kgトーナメント」に出場したが、1回戦で大崎一貴に敗れた。11月のBOMでは小嶋・Nor Nakusinを判定に破り、再起を果たしている。戦績は34勝(17KO)11敗2分。
対する花岡はアマチュアで28冠王を達成し、122勝20敗15分という驚異的な戦績を引っ提げて2019年春に中学卒業後すぐにプロデビュー。2020年8月の『INNOVATION』でフライ級王座認定戦を行い、勝利して無敗のまま王座に就いた。2021年2月の『NO KICK NO LIFE』で吉成士門に惜敗してプロ初黒星を喫したが、5月のKNOCK OUTでは四冠王の松崎公則に2RでTKO勝ち、7月の同大会では那須川天心や鈴木真彦らと対戦したウィサンレックからも勝利を収め、9月のトーナメントで空龍と濱田巧を破り初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王座に就いた。KNOCK OUTの11月大会では元REBELS-REDスーパーフライ級王者の老沼隆斗を初回KO。“平成最後の怪物”と呼ばれている。戦績は11勝(4KO)1敗1分。
共にジュニア時代から磨き上げたテクニックに加えて倒す技を持っており、新春早々見逃せないビッグファイトの実現となった。
1R、圧を懸けて前に出て左右ローを蹴っていくのは石井。花岡はジャブを突きながら同じく左右ロー。花岡は左右の前蹴りを多用して石井を押し戻し、右ローを蹴って右フック。石井は右の強いローを蹴る。石井の蹴り足をキャッチして転倒させる花岡。
2Rも前蹴りを駆使する花岡になかなかパンチの距離に入れない石井。逆に花岡は蹴りから右ストレート、左フックを当てていく。パンチのヒットを奪う花岡の左フックに石井が大きくグラつく。そこへパンチのラッシュを仕掛ける花岡。左フックをフェイントしての左ボディ、アッパー&フックと石井をピンチに追い込んだ。最後には意表を突く右カーフも。
3R、花岡は右カーフを蹴りつつ、左右のボディから右ストレート。石井もすかさず連打をまとめて応戦。お互いにボディを打ち、前へ出る石井は右ヒジをヒットさせる。圧を懸けてパンチで攻勢に出る石井だったが、花岡がスピードのある手数とボディ、顔面、足と攻撃を散らしていくといつの間にか石井がロープを背負っている。
4R、左右そして上中下と攻撃を散らしてスピードも手数もある花岡。右カーフもしっかり蹴る。石井はサウスポーに構えを変える。ロープを背負う石井は左ストレート、左フックのカウンター。花岡は前蹴りを混ぜながら多彩な攻撃。石井にロープを背負わせて顔面、ボディへパンチを当ててコカしも入れる。
5R、石井が近付いてくると前蹴り、右カーフ、ジャブで突き放す花岡。至近距離から意表を突く後ろ蹴りやハイキックも繰り出す。何とかパンチを当てたい石井だが花岡は頭を振りながらのスウェー&バックステップで石井に連打を許さない。花岡は飛び込んでの左右ボディから右ストレート、さらに右フック。スピードと手数、技の多彩で石井を圧倒する内容で花岡が注目の一番を制した。
花岡は勝利者インタビューで「練習でやってきたことが1Rから出せて。KOは出来なかったんですが圧勝で勝ててよかったです。もう最高です。去年負けから始まって今日も怖くて。逃げたくなるくらい怖かったんですが、師範がずっとミット持ってくれて結果で恩返し出来てよかったです。これから倒せる選手になっていくのでよろしくお願いします」と、涙仲がらに語った。
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▼第3試合 53kg契約 3分5R×藤原あらし(バンゲリングベイ・スピリット/元WPMF世界スーパーバンタム級王者)TKO 3R 2分23秒 ※セコンドからのタオル投入〇HIROYUKI(RIKIX/第6代日本フライ級王者&第12代日本バンタム級王者)
藤原は全日本学生キックボクシング連盟バンタム級王者になると、大学卒業後の2002年1月に全日本キックでプロデビュー。2004年11月に全日本バンタム級王座を獲得すると、2005年には各団体の王者が集った55kg級最強決定トーナメント『MACH 55』で優勝。2007年10月には当時日本人トップ選手を総なめにして4年間無敗を誇ったワンロップに勝利。2009年9月にWPMF世界スーパーバンタム級王座を獲得、2010年9月にWBCムエタイ日本統一バンタム級王座を獲得。国内バンタム級で最強の座に君臨し、2014年10月と2015年4月にはルンピニースタジアム王座にも挑戦したが王座獲得ならず。左ミドルキックを軸に、右ストレートとヒジ打ち、そしてローキックでKO勝ちも多い。12月22日には43歳を迎えた大ベテランだ。戦績は61勝(39KO)21敗11分で今回が94戦目。
その“レジェンド”と対戦するHIROYUKIは目の良さと身体能力の高さを活かし、打たせずに打つ試合が持ち味。時折、派手な蹴り技も見せる。新日本キックボクシング協会の第6代日本フライ級王者&第12代日本バンタム級王者。様々な団体に参戦しており、2021年7月には『NO KICK NO LIFE』でムエタイ五冠王の鳩を鮮やかなハイキックでマットに沈め、9月のBOMでは二冠王の稔之晟に判定勝ちしている。戦績は27勝(12KO)10敗4分。
1R、左ミドルを蹴っていくサウスポーの藤原に、HIROYUKIは鋭く重い右ミドル。続けて前蹴りでアゴをかち上げる。ロー&ミドルで立て直そうとする藤原だが、スピードに優るHIROYUKIが右カーフキック、右ミドルを当てていきヒジも放つ。1R終了間際、HIROYUKIは右ストレートからの左フックでダウンを奪った。
2R、HIROYUKIは右ローで藤原を派手に転倒させる。右ボディをストレートとフックで打ち、藤原が左ストレートを出そうとするとそれよりも早く右ストレート。前に出る藤原は右の縦ヒジ。藤原が組み付く際には右ヒザを鋭く突き刺す。HIROYUKIは観客席を見て笑顔をふりまく余裕ぶり。
3Rも前に出る藤原へ右を命中させるHIROYUKI。藤原の左奥足ローがタイミングよくヒットするが、HIROYUKIはワンツー、左フック&右アッパーをヒットさせる。ローを蹴り続ける藤原だが、HIROYUKIは右ハイを蹴ってガードを横にさせると飛びヒザ蹴りでダウンを奪う。藤原のセコンドからタオルが投入され、HIROYUKIのTKO勝ちとなった。
HOROYUKIはマイクを持つと「今日の対戦相手、藤原選手は43歳で僕も父親なんですけど高校生の娘さんがいると聞いて。それでも戦っているの凄いと思って。対戦してくださってありがとうございました。まだコロナの状況の中でご来場いただきありがとうございました。身体に気をつけて頑張ってください」と語った。 今大会では各試合にKOボーナス5万円が用意され、KOを逃した場合はキャリーオーバーされて次の試合へ持ち越される。第1試合と第2試合が判定だったため、HIROYUKIは合計15万円のKOボーナスを手にした。
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▼第2試合 51.0kg契約 3分3R×石井寿来(ウォーワンチャイプロモーション/WMC日本フライ級王者)判定0-2 ※29-29、28-29×2〇平松 弥(岡山ジム/イノベーション・フライ級9位)
石井は石井一成の甥っ子で、ジュニアキック出身。ジュニア時代から本場タイでも試合を重ね、2021年4月24日のNJKF岡山大会ではNJKFフライ級2位・優心から勝利を収めたが、6月の『SUK WAN KINGTHONG』では細田昇吾に判定2-0で敗れた。7月の『BOM』で天馬とのWMC日本フライ級王者決定戦でダウン応酬の末に判定勝ちし、王座に就いた。
平松は2021年7月大会のオープニングファイトで義由亜JSK(治政館)とドローとなった岡山ジム期待の選手。
1R序盤は静かな立ち上がり。平松が右三日月と右ミドルを当てに行くと石井は急にスイッチが入ったか左右フックとヒジで攻め始める。これに平松はヒジで対抗。両者のヒジが放たれるスリリングな展開に。平松の右の蹴りが目立った。
2Rも平松が右三日月と右ミドルを蹴り分けて当てる。石井は雨足のヒザを上げて前へ出ると、着地と同時に左ミドル。石井は左右ストレートで前に出るが平松は右ストレートで迎え撃つ。
3R、右ミドルで距離を取る平松に石井が左右ストレートで前に出ると、左ストレートがヒット。これを皮切りに左右ストレートで何度もアタックを仕掛ける石井がヒットを奪う。ロープを背負う場面が多い平松に石井が左ストレートを当てる場面が多く見られたが、エンジンがかかるのが遅かったか平松が判定2-0で勝利した。
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▼第1試合 50kg契約 3分3R×天馬(WSR西川口)判定1-2 ※29-30、29-28、29-30〇杉山 空(HEAT)
1Rは両者様子見。圧をかけていくのは天馬で、残り1分のところで左ストレートをヒットさせる。杉山は両脇を差してのヒザ蹴り。
2R、杉山は左へ回り込みながらの左フックと右ストレートを狙う杉山を天馬はコーナーへ追い込んでの左ミドル。回り込んで右のストレートとミドルを当てに来る杉山。
3R、動く杉山に空振りが続く天馬。飛び込んでの左ヒジを狙うが、杉山が飛び込んでの右の攻撃を当てる。距離が合わない天馬に杉山は出入りを繰り返して攻撃を当てていき、判定2-1で杉山の勝利となった。