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インタビュー

【RIZIN】矢地祐介、王者サトシは「幻想が凄いけど、全然、穴はある。勝利の鍵は心を折ること」

2021/12/23 20:12
 2021年12月31日、さいたまスーパーアリーナで開催される『Yogibo presents RIZIN.33』で、ライト級(71.0kg)王者・ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術)が持つベルトに挑戦する矢地祐介(フリー)が23日、公開練習を行った。  この日、矢地はキックボクシングでパーソナルの指導を受けている宮川峻トレーナーが持つミットに、サウスポー構えからワンツーなど、2分のボクシングミット打ちを披露。  サトシとベルトを賭けたタイトルマッチが決まったことについて、「だいぶ“階段飛ばし”でラッキーだなと感じた」としながらも、王者について「幻想がすごいけど、全然穴はある。相手がやりたいことは決まっているので、その勝ちパターンにハマらないように、極められないで勝ち切るイメージは出来ている。(勝利のポイントは)相手の心を折ることに尽きる」と語った。  矢地とサトシは、2020年8月9日の『RIZIN.22』以来の再戦。初戦は、サトシがテイクダウンからマウントを奪い、1R、パウンドでTKO勝利を収めている。  サトシ戦後、大原樹理にもスプリツト判定で敗れ、どん底を経験した矢地だが、KRAZY BEEから独立し、ロータス世田谷の八隅孝平代表に師事。2021年6月に当時の修斗王者の川名TENCHO雄生に判定勝ちすると、9月に現DEEP王者の武田光司も撃破。国内王者相手に連勝し、復活を遂げた。  2連敗から2連勝のいま、いきなり王座戦に臨む迷いが無かったか? と問われた矢地は、「やった! という思いとともに多少は……だいぶ“階段飛ばし”でタイトルマッチだな、というのは思ったんです。自分的にはこれまで課題があった試合がたくさんあったので、それを一つひとつ試合で解消してレベルアップしていきたいという気持ちもあって、足りないところだらけなので、それを確認する意味で一個一個段階を踏んでベルトまでたどり着ければと思っていたんですけど」と、逡巡はあったという。  しかし、「チームと相談した結果、何も失うものはないという判断で喜んでお受けしました」と、王座戦のチャンスを掴みに行くことを決めた気持ちを語った。 「勢いに乗っている? そういう感覚は特になくて、やっと格闘技の試合の仕方が分かってきたというか、“ああ、こういう風にして勝つのね”というのが分かってきたというか」と苦笑する。  プロ34戦にして、環境の変化で開眼したするなら、それはいかに矢地のポテンシャルが高いかも表している。八隅ヘッドコーチのもと、自身の動きや技術を「第三者の目線」から見てもらうようになった。 「それが大きいです。場面・場面での対応の仕方とか、ここでこういうのを出すんだとか、ここでこの武器を出すとか、そういうのを全部整理してもらって、もともと僕もいろんな武器を持っていたので、その出し所とか使い方を整理して教えてもらったという感じです」  前戦は、得意の関節蹴りを当てながらも、その打ち終わりに組み付かれ、背中を譲ることを避けたことで、マウントからパウンドアウトされた。 「ミスというか……そもそも全部、準備が出来ていなかったというか。もちろん振り返えるとたくさんあるんですけど、頭が固かったですね。いまは試合の作り方、ゲームメイク、作戦、要所要所での対応だったり、攻撃の仕方とかはもう圧倒的に別人だし、組み手の数がとても増えているので、どんな状況でも何をすべきかがしっかり頭に入っている状態です」という。 [nextpage] 相手がやりたいことが決まっていて対策しやすい  サトシは強力な柔術の軸を持っている分、その戦い方は寝技に持ち込む動きに特化している。そこに、隙があると矢地陣営は見ている。 「十分、対策も弱点も見つけられていますし、どういう風に攻めるのか、それを試合でどこまで出来るのか、相手も対策をしてくるので、その反応との出し合い、戦い合いになるのかなと思います。 (サトシは)寝技に特化している分、逆に対策はしやすくて、俺が相手だろうが誰が相手だろうが、相手がやりたいことは決まっているので、その勝ちパターンにハマらないように、ということかな。  弱点? 圧倒的にひとつあるのと、やっぱりああやって勝ってきているんで幻想が凄いですけど、全然、穴はあるし、戦えないことはないなと思います。要所要所で強いですけど、対策は出来て、掴みどころの無かったものが、チームで考えてだいぶ形になってきています」と自信をのぞかせる。  ロータス世田谷で行われるプロ練習にも引き続き参加し、寝技師・青木真也からもアドバイスを受けている。動画では、青木から三角絞めの対処を確認する姿が映し出されている。青木とボンサイ柔術は、2006年3月の「PRO JIU-JITSU X Grand Prix 2006」で、青木がサトシの兄マスコス・ソウザにポイント2-0で勝利した縁もある。  極められない自信を問われた矢地は、「もちろん得意技に対処することを重点的にやってきました。極められない自信は……やってみないと分からないですけど、極められないように全力を尽くしますし、そのための練習をやってきていますし、極められないで勝ち切る、というイメージは出来ています」と、関節技・絞めの防御のみならず、相手に極めさせず、ジリ貧に追い込んで「勝ち切る」パターンも想定済みだ。  勝負のポイントは「相手の心を折る」こと。 「そこに尽きると思います。相手の勝ちパターンにハマらずに、相手の嫌なところ──相手が“おかしいな、おかしいな”と思う回数を増やせれば、おのずと勝ちは僕の方に転がってくると思うので、そこですね」  3年ぶりの大晦日参戦。2019年は12月29日にさいたまスーパーアリーナで上迫博仁を相手に逆転のサッカーボールキックを決めた。 「大晦日……誰もが憧れる舞台、嬉しいですよね。勝ってどんどんステップアップしていきたい。やっぱり対外国人に限らず、強い選手と戦って、自分が苦手とされるような選手と戦って勝って、自分の価値とRIZINの価値を高めていきたいです」  好きな言葉は「全力疾走」だという。「常に全力で何事も」をモットーに、“お祭り男”から「キャラを作らない、素でいる」自分となり、懸命に自身をアップデートしてきた。  2021年の漢字を問われ「新」の一文字をあげた矢地。「新しい環境になって、新しいトレーナー、新しいチームメイト、最後に新チャンピオンっていうことで」──“シン・ヤッチくん”は王者として2022年を迎えることが出来るか。
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