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インタビュー

【RIZIN】朝倉海、瀧澤とは「一方的な展開になる」「味わったことのない打撃を感じることになる」「テイクダウンも余裕」「決勝までに1回家に帰れるなら帰りたい」「2試合でボロボロになっても絶対に優勝」

2021/12/16 13:12
 2021年12月31日にさいたまスーパーアリーナで開催される『Yogibo presents RIZIN.33』にて「RIZINバンタム級JAPANグランプリ準決勝&決勝」に臨む朝倉海(トライフォース赤坂)が16日、所属ジムで公開練習を行った。  1Rのミット打ちを公開した朝倉は、オーソドックス構えから左右の蹴り、パンチ・キックを軽快な動きで披露した。 拳が使えない期間に蹴りを強化、レスリングにも自信  6月から開幕した16名参加のGPで、1回戦で渡部修斗をパウンドでTKO。9月の2回戦では、ボンサイ柔術のアラン“ヒロ”ヤマニハに3-0の判定勝ちを収めたが、右拳を負傷した。  公開練習後の囲み取材で、朝倉は「怪我は1カ月くらいで完全に治って、いまは問題なく、ほんとうにすごくいい練習ができています」と語る。  今回の大晦日ワンデーでのGP準決勝&決勝に向け、走り込みや縄跳び、階段を走ったり、基礎体力を大きく向上させたという。 「ラントレでは、ダッシュの日と中距離の日と分けて、30mの坂道ダッシュと、1000mを2~3本、毎回タイムを計って伸ばしていくようにしました。このトーナメントが始まってから、その量を増やしたことで、スパーリングの中でもスタミナがつきましたし、ステップも瞬発力もついたので、注目してほしいですね」  自身のYouTubeでも公開している吉成名高、BRAVE勢とのスパーリングでは、これまでも得意としていた蹴り技を多用する場面が増えている。特に、扇久保博正が瀧澤戦で効果的に使ったオーソドックス構えからの左前足でジャブのように使う蹴りが、ハードパンチャーである朝倉のなかで磨かれたようだ。 「右の拳を痛めていたのでパンチの練習ができていなくて、その期間、下半身のトレーニング、蹴りのミット打ちをしてきたので、かなり強くなりました。技術も威力も向上してたくさん使える場面があると思います」と、その変化を語る。  フィジカルに加え、もっとも強化されたのは、レスリングだ。  これまでも週に1回トライフォース赤坂で合同練習を行ってきたBRAVE勢との練習を、大晦日に向けて、もう1日、朝倉からBRAVEに足を運んで組み技を強化してきた。 それはレスリングのみならず、寝技の部分でも「テクニックを実戦のなかで、ポイント・ポイントで教えていただき、技術がすごく上がりました」という。動画では、BRAVEの強豪レスラーの原口央&伸兄弟との力の入るスパーリング動画を公開しているが、「全然、見せてもいいところしか見せていないので、隠したい部分は見せていないから全然問題ないです」と、公開していない部分にこそ、今回の進化があるとした。 瀧澤の狙ってくることは想像がつく  準決勝では、瀧澤謙太との試合が決定している。  カード発表会見のフェイスオフでは、互いに視線を外さず、緊迫した空気が流れたが「退かなかった?」と問われ、「いや、全然ないです。それはたぶん気のせいだと思う」と笑顔を見せた。  ともにMMAファイターの中では、ストライカーに分類されるが、瀧澤の打撃について、「勝負どころで勝負できる強さを持っているのかなと。下がらず打ち合えたり、攻めるところで攻められる選手」と、元谷友貴を降したように、攻めどころでの思い切りの良さを評価する。  しかし、スタンドの展開でも瀧澤とは差があるという。「多分、対戦相手が味わったことのない打撃のスピードだったり、威力を感じることになると思います。もちろん打撃で勝負しても全然問題ないと思います」  瀧澤とは、かつて練習で肌を合わせたことがある。 「結構前のことでしたが、レスリングとか寝技の練習をしていて、タックル切る反応は速かったです」と、高校でレスリング部に所属し、主にテイクダウンディフェンスを磨いてきた瀧澤の組みの印象を語るが、公開練習での「テイクダウンは取られない」発言には、「余裕だと思います」と、自信をのぞかせた。 「自分からテイクダウンの可能性も十分ありますし、試合の中でいろいろ準備している作戦もあるので、そこでいろいろ変えていきたい」という朝倉は、「結構、向こうの狙ってくることが想像がつくので、一方的な展開になると思います」と、実力差があるとした。  瀧澤と言えば、GP出場選手の公開練習ライブにログインすることで有名だが、今回の朝倉海のときには姿を見せず。 「瀧澤選手、17LIVE、見ていないですか? ダメじゃないですか。ちゃんと見てみないと」と朝倉は余裕の指摘。終盤に参加の表示があると、「俺の公開練習を見てしっかり分析しておくれ」とメッセージを送った。 [nextpage] 今回ばかりは勝ちにこだわってもいい  GP準決勝のもう片方のブロックでは、扇久保博正(パラエストラ松戸)と井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)が準決勝を争う。 「どっちを戦ってもいい。ほんとうにどっちが勝つか分からないので、両方の分析をしていますし、リザーバーの分析もしています」と、扇久保と井上のみならず、リザーバーの金太郎(パンクラス大阪稲垣組)と元谷友貴(フリー)も含め、4選手の誰が上がって来ても戦えるように想定するなど、万全を期している。  1日2試合を勝ち上がらなければ優勝出来ない過酷なトーナメントだ。最大6R・30分を心技体で乗り越えなければいけない。 「ほんとうにこればっかりは未知の世界なので……1日のスパーリング量を増やしたり、連続で(相手を変えて)回したりとか、走り込みでいつも以上に体力をつけてきました。何とかなるかなと思います。(準決勝後のリカバリーの時間は)マッサージしてもらったり、1回家に帰れるなら帰りたいです。ダメなんですか?」と、14時開始で、決勝は生中継もありうるインターバルの過ごし方についても準備をしている。  この1年「負けたら終わり」のトーナメント戦に向けて、気を張らせてきた。  元王者として、GP1回戦から出場することに逡巡はあったという。6月の開幕からYouTuberとしての活躍も調整しながら、オンとオフを切り分けてきた。 「試合前は追い込むので、試合直後は息抜きで遊ぶようにしてきました。オフがあるからこそ追い込み時期にしっかり頑張れる。正直、参戦しなかった場合がどうだったのか分からないので、GP出場が正解だったのかどうかは分かりませんが、結果的にバンタム級トーナメントが盛り上がって、日本の格闘技が盛り上がっているので、良かったかなと思います。  僕自身、ここで絶対に負けちゃいけないという思いがあるので、自分に鞭を打って練習を追い込むことが出来ましたし、結果的に強くなれたのでよかったかなと思います」と、決勝ラウンドまでを語った朝倉は、いよいよファイナルに向け、「いつも通り、相手が効いたら倒しに行くし、チャンスがあれば極めに行くし、ほんとうに今回ばかりは勝ちにこだわってもいいかなと思っています」と、フィニッシュのチャンスを逃さず、判定でも大きな負傷をせずに「勝ち上がる」ことを最優先する考えを明かした。 Bellatorトーナメントの枠は空かないですか?  2020年を「挑」(いどむ)と漢字1文字で表していた朝倉は、2021年も「挑」の年だったという。「常に挑戦、リヴェンジも挑戦なので」と、1年前に堀口恭司に敗れてからの「挑戦」が、自身を奮い立たせていたという。そして、2022年も挑戦は続く。  朝倉がベルトを奪われた堀口は、12月3日の『Bellator 272』で、Bellator王者のセルジオ・ペティスに4R KO負けを喫した。  朝倉は、「ああいう戦い方は堀口選手に有効だなと感じました。待ってチャンスを狙う。ペースは堀口選手が握っていたと思いました。2、3Rで時々バックブローを狙っていたので、危険な攻撃は感じていました」と振り返り、GP王者として、Bellator王者と「もちろん戦ってみたいです。2022年の目標は海外挑戦。海外での試合をしたい」と語る。 「大晦日後のコンディション次第かもしれないですけど……バンタム級トーナメントの枠って空いているんですかね?」と、すでに8人トーナメントのメンバーが発表された「Bellatorバンタム級ワールドGP」に割って入りたい考えを示した。  自分以外での大晦日の注目試合を「兄貴の試合(朝倉未来vs.斎藤裕)」という朝倉は、通常、セコンドにつく未来について、「セコンドはまだ検討中です」という。兄弟ともに大一番を迎えるなかで、試合順がどうなるか。海にとっても、何が起きるか分からないワンデートーナメントで、自身のチームとして乗り越える必要がある。 「2試合戦い抜くつもりですし、たぶん身体もボロボロになると思いますけど、ほんとうにどうなってもいい、身体がどうなっても絶対に優勝しなくちゃいけない」と覚悟を示した前王者。 「練習量もほんとうに増やしました。基本的なパワー、スタミナ、技術、すべて向上して強くなっているので、次の試合を楽しみにしていてください。大晦日は最高の試合を、2試合お届けします」と、最後のリングに立っていると宣言した。 ◆Bellatorバンタム級ランキング(※12月7日付)※太字がGP出場 王者 セルジオ・ペティス(米国)22勝5敗1位 フアン・アーチュレッタ(米国)25勝3敗2位 ラフェオン・ストッツ(米国)17勝1敗3位 パトリック・ミックス(米国)15勝1敗4位 マゴメド・マゴメドフ(ロシア)18勝2敗5位 レアンドロ・イーゴ(ブラジル)21勝5敗6位 ジェイムス・ギャラガー(アイルランド)11勝2敗7位 堀口恭司(日本)29勝4敗8位 ジョシュ・ヒル(カナダ)21勝4敗9位 ジョーネル・ルーゴ(米国)7勝0敗10位 キャス・ベル(米国)5勝2敗※前10位のダリオン・コールドウェル(米国・15勝5敗)は元UFCエンリケ・バルゾーラ(ペルー・16勝5敗2分)と2022年1月29日大会で対戦
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