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インタビュー

【RIZIN】扇久保博正「大晦日でどうなってもいいと思っている。井上選手が心折れて、最後、僕がチョークで極めます」

2021/12/14 20:12
 2021年12月31日に、さいたまスーパーアリーナで開催される『Yogibo presents RIZIN.33』にて、「RIZINバンタム級JAPANグランプリ準決勝&決勝」に臨む扇久保博正(パラエストラ松戸)が12月14日、パラエストラ柏にて公開練習を行った。  ヒザ立ちから始めた組み技のマススパーリングでは、グラウンドでのパスガード、マウント、下からの三角絞め、がぶりからのダースチョーク、肩固め、腕十字、リアネイキドチョークと、チェーングラップリングの動きを見せた。  GP準決勝で対戦する井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)との試合が「組み技の場面も増えることを想定してのものか」と問われた扇久保は、「そうですね、普通に動きを見せようと思って」と気負いなく語った。  2021年を漢字1文字で「痛」と評した扇久保。  2021年6月に開幕したGP1回戦では、春日井“寒天”たけしと対戦し、試合中に右拳を骨折。2回戦を考え、右手を使わずに戦い抜き判定勝ち。9月のGP2回戦では、直前までスパーリングが出来なかった状態ながら、大塚隆史を相手に判定勝ちを収めた。  今回は約3カ月半のインターバルを置いての準決勝&決勝に向け、「仕上がりはすごくいいです。パラエストラ千葉ネットワーク、自分の道場で練習し、しっかり追い込んでやれています。残りの日々も集中を切らさず、1日中アドレナリンを出して過ごします」と万全の状態で迎えたいとした。 井上のUFCフライ級出場のことは、逆恨みですね  カード発表会見では、「僕はあの時から、心の底から幸せだと思ったことはありません。5年前、僕はUFCの切符をつかみかけました。でもその夢の切符をつかんだのは当時19歳の彼(井上)でした。このトーナメントが始まってから、僕は井上選手のことしか見えていません。リングの上でやっと会えるのが楽しみです。必ず勝ちます。そしてこの4人の中で最後に笑っているのは僕です」と、5年ごしの想いを語った扇久保。  この日もあらためて、元UFCの井上との対戦について「会見で言った通り、ずっと戦いたい相手だと思っていました。UFCフライ級出場のことは……逆恨みですね」と言いながらも、2016年の「The Ultimate Fighter」シーズン24で準決勝で対戦したアレッシャンドリ・パントージャや、決勝を戦ったティム・エリオットらの試合は「全部、見ています」と、動向は追っていることを明かした。  扇久保がTUFで判定勝利したパントージャは、2021年2月に元RIZINバンタム級王者のマネル・ケイプに判定勝ち後、8月には元LFA王者のブランドン・ロイバルにリアネイキドチョークで一本勝ち。現在、王者ブランドン・モレノ、1位で元王者のデイブソン・フィゲイレード、2位のアスカー・アスカロフに次ぐ、フライ級3位につけている。  扇久保は、「ずっとフライ級では(自分が)UFCで全然、ベルトを巻けるくらいの実力があると思っています。あまりそう考えずとも、パントージャが活躍したり、TUFのメンバーが活躍していることは力になります」と語る。  そのUFCで1勝1敗で日本マットに戦場を移し、現在6連勝中の井上の試合についても「全部、印象に残っています。毎日映像を見ているので」と、頭に焼き付いているという。 井上がポイントアウトしてきたら「僕が塩漬けにして勝つ」  井上のスタイルを「相手の打撃をもらわずに、自分の攻撃を当てる、ヒット&アウェーの攻撃をしている。距離がすごく長くてちょっと面倒くさいかな」と評しながらも、「井上選手の距離ではなくて、僕の距離で戦いたいと思います」と、相手の中に入って、自身の間合いで戦うと語った。  前日に行われた公開練習で井上は、「KOや一本を狙わなくても、疲れを残さずに決勝に向けて、3Rポイントで勝つという戦い方もある」と、扇久保相手にポイントアウトする選択も可能だと示したが、扇久保は、「その展開になったら、逆に僕が塩漬けにして勝とうと思います。今まで(井上が)RIZINで戦った選手で、僕みたいな選手はいないと思うので、かなりやり辛いかと思います」と、16年選手の自信を見せた。 「グラウンドだとか打撃だとかではなく『総合』で戦う」という扇久保は、井上を極めることは可能だという。「形に入れば取れると思います。(理想のフィニッシュは)井上選手が心折れて、最後、僕がチョークで極めます」と、15分を通して井上を総合力で上回るつもりだ。 [nextpage] 朝倉海とは「前回とは違う戦いになる」  決勝の相手は「朝倉選手が上がって来る」と予想している扇久保。  2020年8月の「RIZINバンタム級王座決定戦」では、右アッパーを効かされ、左ヒザでダウン。続くサッカーキックで1R 4分31秒、TKO負けを喫した。  1年4カ月前の敗戦を「ベルトが取れなかった試合。朝倉海選手とはお互い決勝で当たれればいいなと思います。そうなれば、前回とは違う戦いになると思います」と、会場のメインの空気のなか、直前にゲームプランを変えたことで悔いを残した前戦を払拭したいと語る。  今回も準決勝を勝ち上がれば、メインイベントクラスでの戦いとなり、大晦日、地上波での生中継の可能性もある。  扇久保は「それはもうめちゃめちゃやる気になりますね」とモチベーションが高まるとしながらも、試合では「生放送とかにとらわれることなく、15年間やってきた総合格闘技を見せたいと思います」と「打・投・極・根性」を掲げる自分らしい戦いを見せたいとした。 ペティスはうまく5R用の戦い方をした。堀口は──  その先には、5年前に果たせなかった海外再挑戦の目標もある。 「ここ2年くらいずっと日本人と戦ってきたので、来年こそは強い外国人選手と戦って結果を残したいです。Bellatorなら、フライが無いのでバンタムで」と、怪物ぞろいのBellatorバンタム級戦線への挑戦も視野に入れる。  その頂きの試合では、かつて扇久保がRIZIN初参戦で戦った堀口恭司が12月3日の『Bellator 272』に出場。Bellator王者のセルジオ・ペティスに4R KO負けを喫した。  扇久保は、「堀口選手、すこし動きが落ちていたなと思います。やっぱり瞬発力、ステップとかが前みたいには踏めていないなと見ていて思いました」と、挑戦者の右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷からの復帰第2戦を語り、初防衛に成功したペティスについては、「うまく5R用の戦い方をしているなと思いました。戦ってみたいです」と、チャンピオンシップラウンドに勝機を掴んだ王者と拳を交えてみたいとした。 いろいろ掴み損ねたけど、諦めずに挑戦し続ければ必ず報われる  今大会前に、自身が作詞した『いくつもの河をこえて』をYouTubeで公開した。“多くの選択のなかで、それでも次のページに何があるかを見たい、本当の幸せはこれから作るんだと”決意を表す言葉が並ぶ。 「34年生きて来た。自分はこういう人間だということが凝縮された歌だと思います。いろいろと掴み損ねたことがたくさんあったんですけど、諦めずに挑戦し続ければ、必ず報われるんだ、ということを──応援してくれる人たちのなかにもそういう人たちいっぱいいると思うので──そういう人たちを勇気づけたいですね。再生回数がどうとかいやらしい話ではなくて、聞いて大晦日の試合を見ていただけると感情移入できるんじゃないかと」と、歌に込めた思いも語る。  16名参加のGPを勝ち残ったベスト4のなかで、唯一の30代で30戦超えの扇久保は、最後に「やっぱり、いろいろ経験してきたけど、ここでしっかり栄光を掴み取りたい。ほんとうに、大晦日でどうなってもいいと思っています。大晦日、最高の試合をするので応援、よろしくお願い致します」と、不撓不屈の覚悟を語った。
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