あの時の約束は、絶対に守ります
RENAは今回の試合を「最終章へ向けて、この試合で勝つか負けるかでだいぶ人生が変わってくると思うので、ここはリベンジさせずに、私も華やかに試合をしていきたいと思います。来年へ向けて絶対に負けられない」と、もう一度女子の格闘技の起爆剤にしたいとし、引退を予定している2022年へ向けて負けられないと語っている。
選手生活を30年以上も続けている山本にとっても、現役の時間が限られていて、1日、1日が引退に近づいていると明かす。だから「今できる自分を思いっ切り、後悔はしないように、という思いは強い」という。
「明らかに20代、30代の選手に比べて、年齢的に言ったら、引退に近いのは私の方だと思うので、ほんとうに一戦一戦を全力で思いっ切り、これが最後だと思って戦っています」
その瞬間は、次かもしれないし、もっと先かもしれない。ひとつだけたしかに感じているのは、MMAで引退して「もう一度」は出来ないだろう、ということだ。
「レスリングでは、自分の気持ちが“ああ、もう満足”と思えば一線を退くんですけど、“またやりたい”と思えば戻ってくるという引退と復帰を繰り返しました。
でも、MMAは、さらに打撃が加わった危なさ、危険度を伴うので、そう簡単にフラッと戻って来れるようなものだと思っていません。MMAの場合は、自分が“これでもう十分”と思ったときには、それが最後だと思います。MMAはいろんな選手がいて、やらなきゃいけないこともたくさんあるから、それを全部“やり切る”のはたぶん、すごい時間がかかるんですよ。それまで私はやるのはとうてい無理なので、自分のなかで“ああ、もうほんとうに楽しかった。次の人生に行ける”と満足したとき、怪我した場合を除けば(引退は)そのときですね。だからそのときは思いっ切り笑顔でリングを降りていると思います」
RIZIN参戦のオファーを受けたのは、弟のそばで過ごしたいという思いもあった。カナダから帰国し、初めてオープンフィンガーグローブを着けて、リングに上がったとき、KIDはすでにがんを抱えていた。
コーチしてくれたKIDの目の前で、首を絞められタップした。そのリング上で、当初、MMA転向を反対していた弟は、『やり返すぞ、次は絶対に勝てるから』と言い、姉もリヴェンジを誓った。
MMAデビュー戦から1勝3敗。黒星が続くなか、2018年7月に判定勝ち。KIDの病状が悪化するなか、次戦をキャンセルしようとしたが、「勝ち癖をつけろ」と言われ、アンディ・ウィンとの再戦オファーを受託した。グアムから日本に帰国し、KIDが亡くなってから12日後の試合で約束通り勝利、4連勝をマークした。
まだ果たしていない約束は、リヴェンジだ。美憂は、「ともに戦う」という。
「本人はいまここにはいないですけど、やっぱり試合のときは絶対に見ているし、一緒に戦っていると思うので、あの時の約束は、絶対に守ります。そして自分らしく戦っていきたいと思います。勝ちます」。