RENAの打撃も「怖くはない」
コロナの影響もあり、山本は約1年間、RENAも1年2カ月間、実戦から離れている。
「私もRENA選手も一年くらい試合から離れていますし、この間に、2人ともいろんなことを練習して成長していると思います。RENA選手はやっぱりストライキングに長けている選手だと思いますけど、MMAとしてのオールラウンダーな選手にもなってきている」と、互いに前戦とは“別人”だという。
その上で、山本は「自分のペースで戦うこと。RENA選手も絶対にBRAVE(ジム)の宮田(和幸)くんのところでレスリング対策をしているでしょうし、一本を取りたいと言っているくらい、寝技も練習していると思うので、そのグラップリングもストライキングも“どれだけ潰していけるか”ですね。相手の動きも見て、それに対する対策は練りましたけど、一番は“自分を出すこと”が大切だと思います」と、勝負のポイントを語る。
RENAとの第1戦は、山本が先にテイクダウンを奪ったものの、立ち際にRENAの左を浴びて、足を手繰ったところをがぶられ、ニンジャチョークを極められた。
スタンドから始まるMMAに置いて、山本にとって必ず向き合わなけれなならないのは打撃だ。
コロナ禍のなか、グアムにいる夫のカイル・アグォンと「毎日、コミュニケーションを取り」、KRAZY BEEでは、10月23日の大会でDEEP JEWELSストロー級王者の伊澤星花を打撃で苦しめた強豪パク・シウや軽量級の男子選手たちと練習を積んできた。
山本は、RENAの打撃も「怖くはないです。とくにパク・シウ選手の打撃は相当なので。それに対応しています。みんなチームメイトを勝たせたいという気持ちは、どの選手も一人ひとり、試合のときにあるので、そういう気持ちが伝わってきます。だからもう容赦はないですね。(練習で)厳しければ厳しいほど、リングの上では作れると思うので」と、タフな環境のなかで、打撃も磨いてきたという。
試合発表後、インスタグラムに「約束はちゃんと守るから!!」と投稿した。「約束」は、RENAに一本負けした直後、いまは亡きKIDとかわした、ものだ。
「私はあの時は、わけが分からなくてブッ飛んでいましたけど、やっぱり姉が目の前で負けるところを見て、すごく辛かったと思います。あのとき一番悔しかったのは、弟のKIDで、リングの中で負けた瞬間、リングを下りる前に、まだリングの中にいるときに、『やり返すぞ、次は絶対に勝てるから』って言ってくれたから」と、リヴェンジを誓う。
カード発表時の会見でRENAは、山本姉弟のその決意が「怖かった」と言い、「いつか再戦をやるだろうと思っていました。山本美憂さんにも負けられないし、KIDさんにも負けられない」と、2人と戦う覚悟を語っている。