文字通りの死闘を繰り広げた一馬(左)と石月。両者死力を尽くした一戦は一馬が制した 撮影/安村発
RISE 152
2021年10月22日(金)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第8試合)スーパーフェザー級(-60kg)暫定王者決定戦 3分5R無制限延長R
〇一馬(MONSTAR GYM/同級1位)
TKO 5R 0分42秒 ※レフェリーストップ
×石月祐作(KAGAYAKI/同級2位、DBSスーパーフェザー級王者、KROSS×OVERスーパーフェザー級王者)
※一馬が暫定王座に就く。
一馬は中学時代に野球で日本代表になった経歴を持ち、海上自衛隊・航空士として体力測定で全隊員中トップの成績を収めたという身体能力を持つ。早くからYouTuberとして活動していた選手で、2018年6月にはボクシングからキックボクシングにカムバックした白鳥大珠の復帰第一戦の相手を務めた(1Rで白鳥がKO勝ち)。その後は竹内皇貴を初回KO、前口太尊を3RでKO、ノラシンを初回KOと3連続KO勝ちを飾っている。1年に1~2試合しかしない“RISEのレアキャラ”でもある。
対する石月は昨年8月に自身と所属ジム初のタイトル獲得となるDBS日本ムエタイスーパーフェザー級王座を奪取。10月にはKROSS×OVER同級王座も判定勝利で獲得。二冠王となって、今年2月に約1年4カ月ぶりにRISE参戦を果たすと竹内皇貴を2RKOで葬り、6月にはINNOVATIONスーパーフェザー級王者・櫻井健から強打で2度のダウンを奪って大差の判定勝ち。現在5連勝中とこちらも波に乗っている。
当初は今大会で一馬がチャンヒョン・リー(韓国)が持つスーパーフェザー級王座に挑戦予定だったが、チャンヒョンが新型コロナウイルスの影響で来日が困難となっており、防衛戦の見込みが立たないため石月と暫定王者決定戦を行うことになった。
1R、前に出る石月がパンチを繰り出してどんどん前へ出る。右ストレートからの左フックがヒットして一馬は一瞬膝を折る。サウスポーに構えた一馬は下がりながらも左ローを蹴り、ヒザ蹴りと左ストレートで迎え撃つ。石月が一馬のお株を奪うような右三日月蹴り、どんどん前へ出る石月に一馬は下がる。
2Rはオーソドックスに戻した一馬。ジャブを伸ばし、石月が前へ出てくると右ストレート。ジャブを多用する一馬に石月は右ロー。どんどん前へ出る石月がワンツーをヒットさせ、一馬は下がりながら左ローを蹴る。ジャブで距離を取り、右ストレートを叩き込む一馬。このジャブで距離を取っての右ストレートが決まる。一馬はヒザでアゴを突き上げ、上弦ノ三日月も繰り出すが石月はもらっても下がらず前へ出る。
3Rも前に出るのは石月。一馬は右クロスを当てに行くが、石月は全く下がらず一馬をコーナーへ押し込む。石月の右フックがヒット、一馬はジャブで突き放し、左ボディを打つ。石月も左ボディを返し、一馬はボディへのヒザ蹴りと左三日月。両者足を止めて打ち合う中、石月の右ローで一馬が膝を折る。石月の左ボディ、左フックが当たったかと思えば、一馬は右ストレートを返す。両者とも手数を出してペース配分を考えていないかのような打ち合いを繰り広げる。
4R、右ローを狙い撃ちする石月に一馬は左三日月を蹴り返す。前に出てくる石月に一馬は右ストレートを狙い撃ちするが、一馬は全く下がらずに前へ出てくる。打ち合いの中でバッティングとなり、石月が左の額から流血。再開後、前へ出てワンツーを打ち込む石月だが、一馬の右ストレートで石月が後方へ揺らぐ。すかさずラッシュをかける一馬だが、石月は前へ出て来て打ち合う。石月はボディを打ち、一馬は右スレートで打ち合う。両者消耗しながらも打ち合いを続け、場内からは両者を称える拍手が沸き起こる。
5Rが始まってすぐに石月にドクターチェック。再開後、すぐに前へ出ていく石月に一馬の左フックがクリーンヒット、石月はグラつくがそれでも向かっていく。そこへ一馬の左フックがもう一度ヒットし、石月がついにダウン。ラッシュを懸ける一馬に石月はロープを背にして必死に耐えるが、一馬の左右ストレート、左フックで何度もアゴが跳ね上がる。一方的な展開となり、ここでレフェリーがついにストップ。勝者の一馬もその場で崩れ落ちる。両者精魂尽き果てた表情で健闘を称え合った。
文字通りの死闘を制した一馬は、「今日はありがとうございました。まず言いたいのは石月選手ありがとうございました。本当に強かったです。試合の内容では負けていたと思います。バッティングで反則とられてもおかしくなかったです。なのでチャンヒョン・リーからベルトを奪ったらもう一度戦ってください。次こそ反則無しで完全決着したいです。そして暫定王者と言えどチャンヒョン・リーがいつ来るのか分かりません。皆さん誰との試合が見たいですか? 王者対決とか面白くないですか? やって欲しい選手がいたらTwitterにハッシュタグを付けて書き込んでください」と、石月との再戦を誓うと共に次なる戦いへ向かっていた。