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2021年11月28日(日)神戸ワールド記念ホールにてRIZIN第3のシリーズ『TRIGGER』の開催が発表された。
RIZIN FFをサポートするPOTENTIALとの共催となる同大会のテーマは、選手たちの再生・原点回帰、新しい選手の発掘と育成、そして地域の活性化。この大会はこれまでのリングではなく、新たに制作するケージで行われるという。
これまでリングへのこだわりを見せていた榊原信行CEOは、なぜケージ導入に踏み切ったのか。
10月13日の取材で榊原CEOは、「いずれにしてもリングに拘ってきた、そこが僕らのアイデンティティであることに変わりはありません。ナンバーシリーズは変わらずリングで行い、GPもタイトルマッチもナンバーシリーズでやります」と前提を語った。
その上で、「僕らとしては新しいチャレンジのなかで、ファンの人たちにいろんな角度で楽しんでもらう幅を広げるために、ケージの中での試合もあってもいいだろうなと、常々思っていました」と変化があったことを明かした。
さらに、「世界のプロモーションを考えると、圧倒的にケージファイトが多いのは確かで、戦う選手にとっても海外のプロモーションを見据えるうえで、ケージの中での試合もしっかり体得してもらうべきだということ」と、ケージファイトが主流となった世界の情勢を見据え、日本のファイターが世界に出るときのためにも、ケージRIZINが選択肢として増えることを目的のひとつに挙げた。
ケージを採用するのはすごくいいこと(斎藤)
今回のRIZINケージ導入の発表に、選手たちも反応を示している。
現RIZINフェザー級王者で、10月24日(日)の『RIZIN.31』横浜・ぴあアリーナMM大会のメインイベントで、DEEPフェザー級王者の牛久絢太郎(K-Clann)を相手に、初防衛戦に臨む斎藤裕(パラエストラ小岩)は14日、ケージ導入について「すごくいいこと」と歓迎し、「ナンバーシリーズでもそういった大会が出るのかなとも思っています」と、ケージでの試合機会が増えるのでは、と語った。
「(『TRIGGER』は)たぶんナンバーシリーズとは別で、ということですよね。なので、どういった形で継続していくのか見えないところではありますけど、リング・ケージ論はいろんな方が言ってますけど、世界的にはユニファイドルールがひとつあるので、そういったものを採用するのはすごくいいことだと思いますし、ナンバーシリーズでもそういった大会が出るのかなとも思っています。自分はケージ・リング、どちらでも大丈夫です」(斎藤)
いずれはケージ版のチャンピオンも認定するのか、と問われた榊原CEOは、「現状では」と前置きしながら「GPやタイトルマッチを(ナンバーシリーズとは)別に作ることまで考えて神戸大会でケージを採用するわけではないです。TRIGGERというコンセプトに準ずる形で試合を組んで行く」と答えている。
ONE Championshipでは、地域によってケージとリングを使い分けており、立ち技・MMAの試合が双方で行われている。
観客にとって見やすいリングは、ファイターにとって、コーナーに相手を追い込みやすいことや、ロープを背負っても最上段のロープ上のスペースで頭を逃がすこと、ロープの間でクラッチを組むことなどが可能。一方で、相手のタックルを最下段のロープ下に足を逃がして切る反則や、リング外への逃避や転落。ロープ際で倒されないためのロープ掴み、ドント・ムーブで試合の流れが妨げられることがある。
一方で、角が少ないケージではコーナーの四隅に追い込まれることが無く、サークリングで相手の攻撃を避けることも可能だが、押し込まれてロープアドープのように上体を後方に逃がすことが出来ず、パンチを被弾することもある。
また、金網際では、テイクダウンやバックを奪う「ケージレスリング」の攻防が新たに生まれる。倒すこと・立ち上がること・その際でバックを奪うこと──リング・ケージの形状の違いによって、明らかに戦略は異なってくるのだ。
実はすでに、ケージの中でRIZINルールの試合は行われている。
2019年12月29日にさいたまスーパーアリーナで開催された「Bellator JAPAN」では、パラマウント・ネットワークにより全米に生中継された第1試合から第6試合が北米のユニファイドルールで行われたが、第7試合から第14試合まではRIZINルールが採用されており、 矢地祐介が上迫博仁を3R、サッカーキックで逆転のTKO勝利を決めている。