キックボクシング
インタビュー

【ONE】アンディ・サワー最後の挑戦へ「このトーナメントが自分のキャリアの最終章。ベルトを獲れなかったら引退するだろう」=10月15日(金)生配信

2021/10/13 11:10
【ONE】アンディ・サワー最後の挑戦へ「このトーナメントが自分のキャリアの最終章。ベルトを獲れなかったら引退するだろう」=10月15日(金)生配信

シュートボクシング、K-1 WORLD MAX、RIZINなどで活躍したサワーがついにキャリアの最終章を迎える (C) ONE Championship

 2021年10月15日(金)シンガポール・インドアスタジアムにて開催されるオール立ち技の大会「ONE: FIRST STRIKE」。ONEフェザー級キックボクシングワールドGP1回戦では、アンディ・サワー(オランダ)と元K-1世界王者のマラット・グレゴリアン(アルメニア/ベルギー)が対戦する。


 サワーは長くシュートボクシングで“守護神”として活躍。世界トーナメントS-cupで2002・2004・2008・2012と4度優勝、K-1 WORLD MAX世界一決定トーナメントでも2005・2007と2度優勝を果たしている。2015~2017年にはRIZINでMMAにも挑戦し2勝3敗の戦績を残した。ONEには2018年10月から参戦するも2連敗、2019年の「ONE Super Seriesキックボクシング・フェザー級ワールドグランプリ」は欠場。2020年12月に2019年3月のONE日本大会以来の試合となったジャン・チャンユ(中国)で、ほぼ一方的な展開の判定3-0で勝利した。戦績は161勝(98KO)21敗1分。

 対するグレゴリアンは、2015年の「K-1 WORLD GP スーパー・ウェルター級初代王座決定トーナメント」1回戦で山崎陽一、準決勝で牧平圭太、決勝でジョーダン・ピケオーにKO勝ちと、3試合連続KO勝ちで優勝を果たしている。2018年2月には、Kunlun Fight 69 - World MAX 2017の準決勝でジニアス・ズエフに判定勝ち、決勝でスーパーボン・バンチャメークにKO勝ちして優勝した。そして、2019年5月『Glory 65』において、シッティチャイ・シッソンピーノンと5度目の対戦。グレゴリアンが判定勝ちでライト級王座を獲得している。2020年12月のONE初参戦ではイヴァン・コンドラチェフ(ロシア)に先制のダウンを奪われるも2RでKO勝ちした。戦績は64勝(33KO)11敗1分1無効試合。


 新旧K-1の70kg級王者対決となる。両者は初対戦。

 なお、大会の模様は、2021年10月15日(金)の午後9時30分より、ABEMA 格闘チャンネルONE公式アプリにて生配信される。

今はこれが新時代です。新しいK-1 MAXですね

――前回のジャン・チャンユ戦は、それまでの2戦と何か違うことをしましたか。また、それはなんでしょうか。

「まず初めに、僕をここに呼んでくれてありがとうございます。あの試合での勝利は肩に重くのしかかっていたものが降りた、そんな気分でしたよ。何か違うことをしたかって言うと、マインドセットの部分ですね。気持ちの面がしっかりできると、身体はそれに従ってポジティブに動きますから。逆も然りです。マインドセットがしっかりしていないと、おかしなことになってしまいますから。」


――このワールドグランプリに向けての率直な気持ちをお聞かせください。

「(メジャータイトルを獲得する感覚は)とても感動的ですし、強烈です。もちろんやみつきになります。こういう感覚を味わうには、ただやるだけ、やってみるしかない。ベルトを獲れなかったら引退するだろう。100パーセント。もし勝てたら再び世界の頂点ですよ」

――マラット・グレゴリアンと対戦すると聞いた時はどういう思いでしたか。

「ふぅ~、という感じでした。僕は来年40歳になります。そんな自分が若くてイキがいい男マラットと戦おうとしているんです。自分に問いかけましたよ。“OK、自分はどの道、これまでの人生で簡単なことなんてして来なかった。人生最大の挑戦を避けたこともなかった。人生においても、このスポーツにおいても”。これまで自分が戦ってきたファイター、倒してきた男たちの名前を思い出せば、マラットと戦わない訳がないですね。おお、マラットか。タフな試合になるな、厳しくアグレッシブな試合になるだろう、そう思いましたよ。でも楽な道は歩みませんから、やってやりますよ」


――今年で39歳で、このワールドグランプリでは最年長での出場です。

「そう、今年で39歳です。でも、今の自分を見てほしいですね。まだ最高のファイターや、若いライオンのように覇気のあるファイターたちと同じくトップレベルで戦っているんです。まだそういうやつらと競ってるんです。調子もいいし、自分が強いと思っていますよ。もう既に自分が最高だということを世界に見せつけましたが、もう1度やってやる、そんな気持ちです。とにかく、自分の格闘技人生の中でもう一度挑戦する。そして、一生レジェンドになって、次世代の子供たちのお手本になりたいと思いますね。今の時代、みんな凄いスピードで人生を送っています。そしてすぐにチャンピオンになりたがる。でも、そのためには一生懸命やらなければならないと言うことを忘れていると思います。本物の努力なしには、本物の実績はついてこない。だからそこをやって欲しいですし、こういうことをアピールしたいです」


――黄金期を戦ってきたレジェンドが、次世代の選手マラットとの対戦です。マラットは “イッツ・マイタイム”とコメントしていましたが、そのことについては何か思うことはありますか。

「もちろん彼が今の世代のファイターです。だって僕はもうすぐ引退目前まできていますから。彼が言っていることはある意味正しいですよ。ただそれは、これまでの対戦相手に勝利を渡してきたようなやり方をマラットにするという意味ではありません。僕はこのトーナメントが自分のキャリアの最終章であることを理解していますし、それに僕が発する一言一言がファイターとして最後の言葉になることも分かっています。そして、今僕がやっていることが、何か普段とは違うなという感覚があります。スピリチュアルと言えば良いでしょうか。自分の強さを感じます。今何歳であろうと関係なくて、これまで自分が成し遂げてきたこととかも関係なく、そしてマラットが過去に積み上げてきたことも関係ありません。全ては今週金曜日に起きるわけですから」

――マラット・グレゴリアンを相手に自分がアドバンテージと感じるのはどんな部分でしょうか。

「僕はもう色んなことを達成してきましたから、自分や家族以外に対して何か証明するなんてことはありません。今僕がやっていることは、自分のゴールのため、自分が良いなと思うことをするため、自分が正しいと思えるように、そのためにやっています」

――マラットのパワーにはどう対応しますか。彼はかなりスタミナがありますよね。

「僕にもガスタンクはありますよ。これまでスタミナが切れたことなんてないし、勝利への気持ちが切れたこともありません。厳しい試合でも耐える凌ぐためのパワーをいつも持っていますから。これはガチンコ勝負ですから、花火がぶち上がりますよ。ゲームをするためにやっているのではないし、この試合だって逃げません。この9分間のためにここにいるんですから」


――チーム・サワーとしてのこの試合に向けてのプランは何でしょうか。

「“フリーダム”ですね。チームや準備してきたことをこう言う言葉で表すのは少し違和感を感じられるかもしれませんが。自分に対して自由でいること、トレーニングでもそうです。自分がやりたいことに集中すること。それが一番大事なんだと思うし、それが自分にとって一番良い準備をさせてくれるし、良いファンとキャンプを過ごさせてくれるし、試合のために魂を込められる。ちょっと変に聞こえるかもしれませんが」

――ハングリー精神を保ち続けられる理由は何ですか。

「これが難しいもんですよ。とにかく、どう向き合うかが全てです。人生で何を手にしたいのか、今ここにいるのは何のためか。ファイターのアンディ・サワー、一人の人間としてのアンディ・サワー、その裏側にあるものは何か。それは自分を成功に導くために充分なものなのか。それは今週金曜日に起きることへの問いかけですね」


――ONE Championshipの世界タイトルはどんな意味を持ちますか。キャリアの最終章にどんな意味をもたらしますか。

「終わりなきストーリーです。それは全てを意味するでしょう。扉を閉じるものになるかもしれませんが、またそれは別の扉を開けると言うことです。自分の目の前に、あるいはその先に沢山の扉があったとしても、それは僕が再び何かをするために色んな機会を与えてくれる、たくさんの自由を与えてくれるものでしょうね」

――次のステップでイメージしているのはどんなことでしょうか。

「恩返しです。恩返しって何かって? 僕にはゴールがあるんです。僕はきっと “Ikigai”(生き甲斐)みたいなものを見つけました。それは明確で、色んなことが関わっています。今の自分には人生での目的があり、それを達成しようとしています。一人の人間として、父親として、夫として、家族として、そして他の人にとっても良いお手本でいたいです。今自分の気持ちの中にある次のプロジェクトとして、しっかり達成していきたいですね」

――このトーナメントには世界最高峰のファイターが揃いました。これは過去最大級でしょうか。一番タフなものとも言えますか。

「難しい質問ですね。過去にも素晴らしいイベント、立派なトーナメント、良いファイターたちと戦ってきましたから。ONE Championshipのこの取り組みもとても素晴らしいものです。この時代では最大級でしょう。世界最高レベルのキックボクシングです。僕は過去にK-1 MAXを経験してきましたけど、今はこれが新時代です。新しいK-1 MAXですね」


――K-1とONEのトーナメントでの違いは何でしょうか。

「一晩に3試合することですね。それが一番に思い浮かぶことです。一晩に3試合なんて究極ですよ」

――そういう試合はONEでも見てみたいですか。

「もしONEが考えてくれるなら面白いですね。一晩に3試合、ダメージ、怪我、痛み、ものすごいドラマですよ。本当に色んな感情が一晩で溢れ上がってきます。だから、今になっても多くの人があの時代のことを話しているのでしょうね。色んなドラマが生まれて、試合には色んな気持ちや感情が入りますから。あれは本当に最高でしたよ」

――ONE Championshipもキックボクシングに力を入れていますよね。

「最近は本当にたくさんの新しいファンがいると思います。このトーナメントはキックボクシングの世界一を決めるものですが、最近のキックボクシングはお洒落な、本当にファッショナブルなものだと思います。健康のため、お年寄りから若者も、お金持ちでもそうでなくても、多くの人がキックボクシングを練習することができます。そして、今のONEには最高の中の最高のファイターが揃っています。それは、キックボクシングが何なのか、どんなスポーツなのかを見せるための最高のお手本になると思います」

――このトーナメントで最も危険だと思うファイターは誰でしょうか。

「全員が危険でしょう。全員がこのワールドグランプリを制覇して、最高の称号を得るために普段以上に必死ですから。そして全員が本当にハングリーな男たちです。そして過去が証明しているように、優勝候補だって言われているファイターが優勝するとは限りません。全員がトーナメントを勝ち抜くチャンスがあることを忘れてはいけません」

――ONEの立ち技では、女子選手の活躍も著しいです。どのように見ていますか。

「素晴らしいですね。これまでずっと男のスポーツと言われていましたが、実際のところあらゆることにおいて女性たちの方に多くのチャンスがあります。それは素晴らしいことです。アグレッシブだとか華があるだとかは関係なく、人としてそこに立ち、一瞬のために全てを尽くす。試合までのキャンプも、準備も全てにおいて。そして、9分間で全てを出す。男子女子、若かろうが歳をとっていようが関係なく、階級が重くても軽くても、そんなのも関係ないんです」

――ロッタンとデメトリアス・ジョンソンが混合ルールで12月に対戦しますね。

「その試合があるって聞ききましたが、本当にやるんですか? ワーオ、それは新しい変化ですね。気に入りました」


――今大会のメインイベント、ペトロシアン対スーパーボンについては何かありますか。

「この試合は楽しみですね。僕は今でも、ジョルジオは史上最高のパウンド・フォー・パウンドのキックボクサーだと思います。だから彼が勝つと思います。でもスーパーボンも興味深いですよ。彼がどうやってジョルジオを倒すのか興味がありますね」

――マラット・グレゴリアンにコメントはありますか。

「僕にとって最後の試合の1つになるかもしれません。共にしっかり準備をして花火をぶち上げよう」

――日本にはたくさんのファンがいます。アンディに憧れた次世代のファイターも沢山います。何かメッセージはありますでしょうか。

「もし完璧が存在しないとしても、それを目指して努力を惜しまないでください。そうすれば学び続けられます。学び続け、常に心をオープンに、決して傲慢にならずに、攻撃的にならずに。健康第一で、そして誰に対してもスポーツマンらしく。そうすれば成長できるはずです。それが大切なことです」

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