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【UFC】「コロナ感染で吐血の王者ヴォルカノフスキーがフィジカルで勝ちきれないような試合になったら、オルテガの試合になる」(高阪剛)=9.25『UFC 266』

2021/09/24 15:09
 20201年9月25日(日本時間26日)米国ネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナにて、『UFC 266』が開催される。  今大会のメインイベントは「フェザー級タイトルマッチ」アレクサンダー・ヴォルカノフスキーvs.ブライアン・オルテガ。さらにヴァレンティーナ・シェフチェンコが5連勝中のローレン・マーフィーを迎えうつ女子フライ級タイトルマッチも組まれている。  このダブルタイトルマッチの見どころをWOWOW「UFC-究極格闘技-」解説者としても知られる“世界のTK”こと高阪剛氏に語ってもらった。 今回ばかりは蓋を開けてみないとわからない(高阪) ――『UFC266』のメインイベントは、ヴォルカノフスキーがオルテガを迎えうつフェザー級2度目の防衛戦です。この試合のポイントを髙阪さんはどう見ていますか? 「この試合は、タイプ的に対照的な二人の戦いですよね。王者ヴォルカノフスキーは、どちらかと言うと、いわゆる“ゴリゴリやる”タイプ。フィジカルが強くて、自分からどんどんプレッシャーをかけていき、たとえ打たれてもどんどん前に出てきたりする」 ――UFC屈指のタフガイですよね。 「一方のオルテガは、自分からバンバン前に出ていくタイプではないんですけど、カウンターの打撃でしっかりとダメージを与えることができる。また、小技を使って相手を前に出させないような技術を駆使して、タイミングとチャンスを見計らって、倒しにくる。そういうクレバーなタイプの選手ですね」 ――オルテガはもともと柔術家ですが、前回は昨年11月、コリアンゾンビ(ジョン・チャンソン)の打撃を封じて、持ち味を出させなくしてフルマークの判定勝ちを収めましたから。そうなると今回は、闘牛とマタドール(闘牛士)のような戦いになりそうですね。 「まさにそういうイメージですね。ただ、オルテガに関しては、ちょっと懸念材料もあります。カウンターを当てるのがすごくうまいんですが、これまでの試合を見ると、カウンターさえも取らせないくらいのプレッシャーを受けると、ちょっとモロさが出ていたんです。(2018年12月の)マックス・ホロウェイ戦なんかは、まさにそういう試合でした」 ――壮絶な一戦でしたが、最終的には打撃でボコボコにされてのドクターストップ負けでした。 「だからヴォルカノフスキーはどれだけプレッシャーがかけられるか、オルテガはそれをいなしながら、ポイント、ポイントでしっかり打撃を当てられるかでしょうね。ただ、もしオルテガが勝つとしても、KO勝ちはちょっと難しいと思うんですよ」 ――ホロウェイの強打を浴びてもどんどん前に出てきたヴォルカノフスキーがKOされる姿は、あまり想像しにくいです。 「前回、ヴォルカノフスキーはホロウェイとの再戦で2度ダウンしているんですよね。1ラウンドに右ハイキック、2ラウンドはアッパー。どちらもフラッシュダウンしてるんですけど、ヴォルカノフスキーはダウンしながらも、パニックになることがないんです。これは相当屈強なメンタルの持ち主なんじゃないかと思いますね」 ――あの後半めっぽう強いホロウェイが、後半攻め込まれて逆転負けを喫したくらいですからね。 「だからオルテガのKO勝ちというのは、よっぽどいいタイミングで打撃を当てるか、ヴォルカノフスキーがミスしないかぎり、なかなか難しいと思います。それはオルテガ陣営も当然わかっているだろうから、しっかりポイントを取って、判定勝ちを狙ってくるんじゃないかな。それも、なんとかテイクダウンして、グラウンドでコントロールすることで各ラウンドのポイントを取りにくるんじゃないかと思うんですよ」 ――オルテガは、もともと生粋のグレイシー柔術家ですからね。ホリオン・グレイシーの息子、ヘナー・グレイシーの弟子で。 「オルテガは柔術家らしく、グラウンドで餌撒いて最終的に極めにいく。それがダメなら、すぐに自分の安全なポジションに戻るという寝技をしますからね。だから、そうやってオルテガがグラウンドで常にいい状態を保つことができれば、チャンスは広がっていきますけど、ヴォルカノフスキーのフィジカルは、それをも潰していくんじゃないか、という気がするんです」 ――ただ、ヴォルカノフスキーにも懸念材料があります。本来、このフェザー級タイトル戦は3月に予定されていたのが、ヴォルカノフスキーが新型コロナウイルスに感染したため延期になりました。本人曰く、けっこう大変だったそうで、ひどいときは大量の吐血をしたらしいです。 「じゃあ、いつものヴォルカノフスキーと同じような仕上がりかどうかは、蓋を開けてみたいなわからないかも。でも変な話、それによってこのタイトルマッチは、より面白くなりましたね。両者がこれまでどおり万全なら、正直、ヴォルカノフスキー有利だと思っていましたけど、ちょっとこれでわからなくなりましたから」 ――たいぶオルテガに勝機が傾いてきましたか? 「ヴォルカノフスキーのプレッシャーが少しでも弱まるなら、オルテガはだいぶ有利になります。オルテガは、腕をたたんだ状態からジャブなどで手を出して、距離で相手を惑わすことができる。だからアッパーとかが入りやすいんですよね。ジャブという自分の距離を保つ打撃があるからこそ、距離を詰めてきた相手にカウンターのアッパーもいれることができる。ジョン・チャンソンとの試合でもアッパーを何度か出していましたが、得意技なんでしょうね」 ──死角から入れる打撃がうまいですよね。アッパーにしてもバックエルボーにしても。 「体の入れ替えだったり、相手に対して微妙に外側にポジションを取ったりするのもすごくうまいんですよ。そういうことも含めて技術力が高いので、ヴォルカノフスキーがフィジカルで勝ちきれないような試合になったら、また面白くなる気がします」 [nextpage] シェフチェンコのプレッシャーを、マーフィーがいかに細かい技術でいなして、自分の形でテイクダウンを奪うことができるか ──続いてセミ・メインイベントでは、女子フライ級の“絶対王者” ヴァレンティーナ・シェフチェンコに、5連勝中のローレン・マーフィーが挑戦します。この一戦はどう見ていますか? 「マーフィーは、フェイントや細かい動きを多用して、相手をだんだん疲れさせて自分の攻撃につなげていく。またグラウンドのトップキープが強いので、寝かせてそこからさらに削るということを頭に入れて試合をしている選手だと思いますね」 ――とくにフライ級に転向後は、テイクダウンからの寝技で試合を優位に進めることが多いです。 「やはりバンタム級から階級を落として、フィジカル負けしなくなったことで、テイクダウンが容易になったことも、マーフィーが連勝を続けている秘訣のひとつでしょうね」 ――ただ、今回は相手が王者シェフチェンコです。 「そうなんですよ。タイトル戦に出てくるような選手は、それぞれトップランカーたちを倒してきた強みを持っているんですが、それがはたしてシェフチェンコに対して通用するのかどうか。正直、女子フライ級タイトルマッチというのは、すべてそうなってますよね」 ――立ってよし寝てよし、全局面で強さを発揮する選手ですから。 「シェフチェンコはもともとキックボクシングの世界王者なので、そもそも打撃が強いんです。相手がその強い打撃を嫌って下手に組みつきにいこうものなら、簡単にテイクダウンを奪うんですよ」 ――柔道やサンボの経験もあるので、払い腰とかでぶん投げたりしますよね。 「相手は自分の形でテイクダウンを奪いにいくのではなく、打撃のプレッシャーを嫌がって組みにいってるから、それがシェフチェンコにとっては、すごくやりやすいんだと思います。だからこの試合も、マーフィーがいかにシェフチェンコのプレッシャーを細かい技術でいなして、自分の形でテイクダウンを奪うことができるか。活路を見出すとしたらそこかなと思いますね」(取材/文・堀江ガンツ) ◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC266 in ラスベガスWタイトルマッチ&ニック・ディアスvsロビー・ローラー』 9月26日(日)午前11:00[WOWOWライブ]※生中継(WOWOWオンデマンドでライブ配信)https://wod.wowow.co.jp/content/088893 9月27日(月)深夜0:15[WOWOWライブ]※リピート(WOWOWオンデマンドで同時配信) 【出演】解説:高阪 剛、堀江ガンツ実況:高柳謙一 生中継前後に出演陣のYouTube配信『スタジオ裏トークUFC266』YouTube「WOWOWofficial」 WOWOW番組オフシャルサイト UFC 266 2021年9月25日(日本時間26日)米国ネバダ州ラスベガスT-モバイル・アリーナ ▼UFC世界フェザー級選手権試合 5分5Rアレックス・ヴォルカノフスキー(豪州)22勝1敗(UFC9勝0敗)ブライアン・オルテガ(米国)15勝1敗(UFC7勝1敗) ▼UFC世界女子フライ級選手権試合 5分5Rヴァレンティーナ・シェフチェンコ(キルギス)21勝3敗(UFC10勝2敗)ローレン・マーフィー(米国)15勝4敗(UFC7勝4敗) ▼ミドル級 5分5Rニック・ディアス(米国)26勝9敗(UFC7勝6敗)ロビー・ローラー(米国)28勝15敗(UFC13勝9敗) ▼ヘビー級 5分3Rカーティス・ブレイズ(米国)14勝3敗(UFC9勝3敗)ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)12勝2敗(UFC6勝2敗) ▼女子フライ級 5分3Rジェシカ・アンドラージ(ブラジル)21勝9敗(UFC12勝7敗)シンシア・カルビーヨ(米国)9勝2敗(UFC6勝2敗) 【プレリミナリー】 ▼バンタム級 5分3Rマルロン・モラエス(ブラジル)23勝8敗(UFC5勝4敗)メラブ・ドバリシビリ(ジョージア)13勝4敗(UFC6勝2敗) ▼ライト級 5分3Rダン・フッカー(ニュージーランド)20勝10敗(UFC10勝6敗)ナスラット・ハクパラスト(アフガニスタン)13勝3敗(UFC5勝2敗) ▼ヘビー級 5分3Rシャミル・アブドゥラヒモフ(ロシア)20勝5敗(UFC5勝3敗)9KO/TKOクリス・ドーカス(米国)11勝3敗(UFC3勝0敗) ▼女子フライ級 5分3Rロクサン・モダフェリ(米国)25勝18敗(UFC4勝6敗)タイラ・サントス(ブラジル)17勝1敗(UFC2勝1敗) 【アーリープレリム】 ▼ライト級 5分3Rウロシュ・メディチ(セルビア)7勝0敗(UFC1勝0敗)ジェイリン・ターナー(米国)10勝5敗(UFC3勝2敗) ▼ミドル級 5分3Rニック・マキシモフ(米国)6勝0敗(UFC0勝0敗)コーディ・ブランデージ(米国)6勝1敗(UFC0勝0敗) ▼ウェルター級 5分3Rマシュー・セメルスバーガー(米国)8勝3敗(UFC2勝1敗)マーティン・サノ(米国)4勝2敗(UFC0勝0敗) ▼フェザー級 5分3Rジョナサン・ピアース(米国)10勝4敗(UFC1勝1敗)オマール・モラレス・フェレール(ベネズエラ)11勝1敗(UFC3勝1敗)
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