シュートボクシング
レポート

【シュートボクシング】海人が強豪ムエタイ戦士にテクニックで勝利、笠原弘希・友希兄弟はKO勝ち、村田聖明も豪快初回KO

2021/09/04 22:09
シュートボクシング協会「SHOOT BOXING 2021 act.4」2021年9月4日(土)東京・後楽園ホール ▼第6試合 70.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限 ※ヒジ打ちあり○海人(TEAM F.O.D/S-cup2018世界王者)判定3-0 ※30-29×3×チャンスック・バーテックスジム(タイ/VERTEX/元ラットTVスタジアム認定ライト級王者、元ラジャダムナンスタジアム認定ライトフライ級3位)  海人はシュートボクシング世界トーナメント『S-cup2018』で優勝するなどSBの絶対的エースとして君臨、65~70kgと幅広い階級で緑川創、“ブラックパンサー”ベイノア、イ・ソンヒョン、中島弘貴、健太など国内外の強豪を次々と撃破してきた。今後は70kgを主戦場にすると決め、今年2月には日菜太を破りKNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級王者にも就いている。4月にはモハン・ドラゴンにダウンを奪って勝利し、6月は第3代ZSTライト級王者・小金翔にも完勝して6連勝中。  その海人が今回迎え撃つチャンスックは86戦69勝(12KO)17敗の戦績を持つ23歳。長身を利した首相撲からのヒザ蹴りを得意とし、元ラジャダムナンスタジアム認定ライトフライ級3位、元タイラットTVスタジアム認定ライト級王者。数年前にラジャダムナンのリングで梅野源治に勝利しているサックモンコン、現在ONEトップ戦線で活躍するセンマニーといった一流ムエタイファイターとの対戦経験がある。今年6月に来日すると、元WBCムエタイ日本統一スーパーウェルター級王者・YETI達朗を左ヒジ一発で流血に追い込み143秒でTKO勝ちした。  1R、チャンスックは前蹴りを多用して顔面とボディへ放つ。サウスポーに構えた海人は右カーフ、左右ローと下から崩して右ストレート、左フック、左ハイもヒットさせる。  2R、荒々しくヒジを放つチャンスック。海人は右カーフ、左右ローを蹴りつつ、左ストレートをクリーンヒットさせる。負けじとチャンスックは顔面前蹴り、左ハイ。そして接近するとヒジを打つ。海人はコンビネーションパンチで対抗。  3Rはオーソドックスに戻った海人。ヒジを交えたパンチのコンビネーションで揺さぶりをかけ、チャンスックのヒジはかわす。右カーフを蹴り、顔面、ボディとパンチのコンビネーション。最後は縦ヒジでカットしてチャンスックを流血させ、きっちりと差を付けての判定勝ち。  海人はマイクを持つと珍しく笑顔で「倒したかったですね。今日は自分にとって新しいことをしようと思ってサウスポーで1、2Rやったんですが、まだしっくりきてないのですいませんでした、変なことしてしまって。これから練習してサウスポーでもオーソドックスでも戦えるようにして世界を獲りに行きます」と、さらなる進化を遂げて世界を獲りに行くと語った。  大会後は「強いと思っていたけれど強かったです。もうちょっと見るタイプと思っていたんですが、ガンガン来ていたのでそこは予想と違いました。最後は気持ちが折れたと思います」と海人。  1Rと2Rはサウスポーに構えたのは「自分にとって新しい挑戦というか。サウスポーでしか最近は動いていませんでした。その中で試合で動いたらどうなるかって挑戦、新しい自分を見つけたいと思ってやってみました。2カ月間しかサウスポーでやっていないのでまだリズムや距離が完成ではない。これからはサウスポーに変えていきたいと思っているので練習します」と、これからはサウスポーで戦っていきたいからだという。  3Rはオーソドックスに戻したのは「カーフが効いていたのに倒し切れなかったのでオーソドックスに戻しました。そこで倒してしまおうと思って。オーソドックスの方がパンチをまとめやすかった」との理由。  次回12月26日に後楽園ホールで開催される『チャンピオンカーニバル』については、「できる範囲で戦いたい相手はもういない。外国人選手とやりたいですが難しいでしょうね…」と希望する相手は特にいないとする海人。  SB協会からは「タイトルマッチが並んだ場合に海人の試合がどうハマるかは分からないので、RIZINさんとも話をしているのでどちらかになります」と、RIZIN大晦日大会出場の可能性もあるとした。 [nextpage] ▼第5試合 63.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○笠原弘希(シーザージム/SB日本スーパーフェザー級王者)KO 1R 2分18秒 ※左ボディブロー×パランラック・FELLOWGYM(タイ)  笠原はSB次期エース候補として期待され、2018年9月、SB日本フェザー級王座決定戦で元貴を下して王座を獲得。6月大会では前SB日本スーパーバンタム級王者・ 内藤大樹との接戦を制し、2019年9月のSB日本スーパーフェザー級タイトルマッチでは王者・深田一樹を2RKOで下して二階級制覇を達成した。2020年2月には前口太尊に大激闘の末にTKO勝ち、11月には元MMAファイターのハルク大城にも勝利。さらに今年2月にはKNOCK OUTーREDスーパーライト級王者スアレックに2RでTKO勝ちし、周囲をあっと驚かせた。6月にはライト級に階級を上げて古村匡平を判定3-0で破り、4連勝中と絶好調。  パランラックは80戦50勝28敗2分の戦績を持つ26歳。日本での試合は一度、2016年6月に来日するとNJKFのリングでのちにWBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者となる北野克樹を相手に左ミドルキックと組んでのヒザ蹴りで完勝を収めた。  1R、序盤は両者が見合う展開。パランラックは前蹴りと左ミドル、笠原は左ジャブで様子を見る。笠原が強烈な左ボディを決めるとパランラックも負けじと強い左ミドルを蹴り返す。  笠原はジャブ、右ロー、右ストレートを打ち、パランラックは左ミドルを返す。笠原は左右フックで前へ出ると左ボディを強打。これが快音を発して決まり、身体をくの字にして倒れ掛かったパランラックに左フックをフォローしてダウンを奪う。  パランラックは悶絶し、もう立ち上がってこれないのは明らか。笠原の豪快KO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第4試合 58.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○笠原友希(シーザージム/SB日本フェザー級王者)KO 2R 2分20秒 ※3ノックダウン×ポーン・シリラックムエタイジム(タイ)  笠原は11戦目で植山征紀に敗れるまではプロデビュー以降10戦全勝をマーク。2019年6月には小笠原瑛作をヒジ打ちによるカットでTKOに破る大番狂わせを演じた。5連勝の勢いに乗って2020年7月、那須川天心の対戦相手に選ばれたが初回KO負け。再起戦では手塚翔太と大激闘の末、KO勝ちでSB日本フェザー級王座に就いた。2月の開幕戦で栗秋祥梧に完勝。4月には宮崎就斗に勝利を収めている。戦績は17勝(8KO)2敗のサウスポー。  ポーンはポンチャン・ペッノンセン、ポンちゃん・ブレイブジムなどの名で日本で試合をしているベテランのムエタイ戦士。前戦は7月の『スックワンキントーン』で福田海斗にヒジ打ちでTKO負けを喫しているが、朝陽・PKセンチャイムエタイジム、馬渡亮太といった国内ムエタイの若き実力者たちと拳を交えている。  1R、両者サウスポー。笠原が強烈な右ボディを何度も叩き込み、左ストレートもヒット。一気にラッシュをかけて顔面とボディに強打を決める笠原。  もはやダウン寸前かと思われたその時、ポーンが思い切り左フックを振り抜きこれがモロにヒット。笠原がダウンを奪われる。しかし、ダメージを感じさせない笠原は立ち上がると再び右ボディと左ストレートで攻めていく。  2Rも強烈な左右ボディで攻めまくる笠原。激しい打撃音が響き渡る。ロープを背負うポーンに笠原が猛攻を加え、右ボディでダウンを奪う。ポーンも右フック、ハイキックで反撃するがさらなる笠原の連打で身体を丸めたポーンの顔面に左ヒザを突き上げてダウンを追加。  最後はコーナーへ詰めての左右ボディ、左ストレート、左右フックで釘付けにしたところでレフェリーがストップ。3ノックダウンで笠原が逆転KO勝ちを飾った。 [nextpage] ▼第3試合 65.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○村田聖明(シーザージム/SB日本ライト級2位)KO 1R 3分00秒 ※右フック×力也(士魂村上塾/MA日本ウェルター級王者)  村田は無尽蔵のスタミナから繰り出されるワンツーを主体とした手数を武器に、2017年9月にSB日本スーパーフェザー級王座を獲得。2階級制覇を狙い、昨年9月にSB日本ライト級王座決定戦で西岡蓮太と対戦。7Rに及ぶ大接戦の末に敗れたが、前口太尊、マサ佐藤、山口裕人、ラウェイ戦士・東修平といった国内強豪との一戦を次々とクリアーしている。前回6月にはモハン・ドラゴンにも勝利。  力也はデビューから負けた試合以外はKOを量産し、士魂村上塾移籍前にはプロ僅か6戦目にしてモハン・ドラゴン(士魂村上塾)を1R35秒でKOしている強打の持ち主。今年1月には、MA日本ウェルター級王座決定戦で降籏健嗣に勝利し、17戦目でベルトを獲得している。現在6連勝と勢いに乗る村田に、現在は同門のモハンに続いて挑む形となった。  1R、左フックを打ち合う両者。何度も左フックが相打ち気味になる。村田は左ミドル、インローで意識を散らせながら左フックを打っていき、力也は左ボディを打つ。  力也が空振りしたところへ村田が右フックの返しをヒットさせてダウンを奪う。残り時間は僅かだったが、立ち上がった力也へ村田が思い切り打ち下ろすような右フック。豪快にダウンした力也は痙攣してレフェリーは即座にストップ。村田がの豪快KO勝ちとなった。  大会後、シーザー武志SB協会会長は「村田はいつも興奮して近くでボクシングをやる。手で打ち合っていて。今回は蹴りを使えと。蹴りを使えばパンチの距離が出来るのでジャストミートした。案の定上手く当たったね」と、蹴りを使って距離を作り、パンチを打ったことが勝利につながったと話した。 [nextpage] ▼第2試合 SB日本フェザー級(57.5kg契約) エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R×内藤凌太(BELLWOOD FIGHT TEAM/SB日本スーパーバンタム級2位)判定0-3 ※29-30、28-30、27-30○山田虎矢太(シーザージム/SB日本スーパーバンタム級5位)  内藤三兄弟の長男・凌太は選手層の厚いSB軽量級で植山征紀、笠原友希らとしのぎを削ってきた。他団体のリングにも積極的に出撃し、2019年1月にはDEEP☆KICK‐55kg王座を獲得。同王座は2020年2月の初防衛戦で拳剛に奪われ、同年12月のRISEでは知花デビットにKO負けを喫したが、2021年3月の『RIZIN』ではHIROKIに勝利。前戦となった7月のSB愛知大会では二田水敏幸に判定勝利している。18勝11敗3分。  対する山田は打・倒・極の全てが揃ったトータルファイターで2019年8月のプロデビュー以来4戦無敗(3KO)を誇る。内藤と対戦したHIROKIにも勝利しており、今回は30戦越えのベテランの牙城に挑む。  1R、山田がパワフルな左右フックと左ボディで積極的に攻め、右カーフを蹴る内藤を圧倒。左ボディが何度も決まる。しかし中盤を過ぎると内藤もパンチを使い始め、打ち合う場面も。  2Rも山田のパワフルなパンチが冴える。左ボディを鋭く重く決め、内藤はそこに左フックを合わせてくる。すると山田は右ボディからの左フック、さらに左ボディ。  3R、強いジャブで主導権を握る山田に内藤は蹴りで対抗するが山田も蹴り合う。山田の左ボディ、右ボディからの左フック、そして渾身の右ストレートがヒット。内藤も打ち合って右ストレートから左フックを返すが、山田のパワーと回転力が優る。山田は両手でカモンゼスチャーをする余裕ぶりで最後は右ストレート連打、さらに打ち合いに行き、判定3-0の完勝を収めた。  大会後、シーザー武志会長は「内藤君は練習はしていたんだろうけれど、オファーが遅かったので急遽だけど出てくれて。本人は練習していたと言っていたので言い訳はできないが、試合が決まって練習するのと普通に練習するのでは違うので練習が足りなかったかなと思う。山田はやっと就職して仕事をしながら通ってやっていて、これから面白い存在になるんじゃないかな」と、内藤は急遽の出場で練習が不十分だったこと、山田は今後の成長が楽しみだということを語った。 [nextpage] ▼第1試合 58.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○山田彪太朗(シーザージム/SB日本フェザー級5位)延長R 判定2-0 ※10-10、10-9×2×田渕神太(拳聖塾)※本戦の判定は28-28×3。  山田は双子の弟・虎矢太との“山田ツインズ”としてアマチュア時代から注目を集め、2019年8月にプロデビュー。5戦目までひとつの引き分けを挟んで連勝していたが、6戦目で初黒星。しかし、6月大会ではベテランの元貴から勝利を収めた。戦績は5勝(2KO)1敗1無効試合の18歳。  田渕は空手とキックボクシングを並行して行う二刀流で、キックボクシングではACCELバンタム級王座とABWバンタム級王座を獲得。昨年12月にはACCELバンタム級王座の初防衛に成功すると、今年3月のHOOST CUPではOISHI GYMのルーキー・HΛLを判定で下している。戦う場所や相手を選ばず、4月はRISEでRISEフェザー級王者・工藤政英に判定負け、7月は修斗大会内で行われた「CKC2021-54kgトーナメント」で準決勝に進出するも、優勝した寺山遼冴に判定負け。戦績は20勝(4KO)9敗2分。  両者は昨年11月に対戦したが、偶発性のバッティングでノーコンテストに終わっており、約1年10カ月ぶりの再戦で完全決着が期待される。  1R、ローの蹴り合いから始まり、田渕は右ローを狙い撃ち。序盤はもらっていた山田だが、途中からは右のカウンターを放つ。左フックの打ち合い、山田が右のカウンターから左フックをヒットさせる。さらに首投げでシュートポイント1点を奪った。  2R、お互いにジャブを多用し、山田が右ストレートから左フックを返すと田渕も同じ技で応戦して返しの左フックが先に当たりダウンを奪う。山田は反撃に行くも田渕も返しのフック、カウンターの右をもらう展開に。山田は投げを放つがポイントにはならず。  3R、右ストレートから返しの左フックで激しく打ち合う両者。その中で山田が首投げを決めてシュートポイント1点を奪う。さらに激しく打ち合い続け、右ストレートから返しの左フックの後に両者はハイキックや左ストレートも。両者被弾するが下がらず、田渕は胴廻し回転蹴りも繰り出す。  大熱戦の本戦はドロー。延長戦へ突入する。何度も投げを狙う山田だが不十分。しかし、ジャブのクリーンヒット、右ストレートで田渕の頭が大きく揺れる。印象の悪さを取り戻そうと前へ出る田渕は右ストレートを思い切り繰り出す。  両者の闘志が真っ向からぶつかり合った熱戦は山田が判定2-0で田渕を振り切った。  大会後、シーザー武志SB協会会長は「山田はガードして打つ練習をしていたのでよかった。田渕は右が下がるから左フックが当たっていた。あれをもっと狙っても良かったけれど、狙いすぎて逆にもらっちゃったね」と練習の成果が出ていたと評した。
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