▼第14試合 DEEPフェザー級タイトルマッチ 5分3R
○弥益ドミネーター聡志(王者:team SOS)
[2R 0分11秒 TKO]※パウンド
×DJ.taiki(挑戦者:パンクラスイズム横浜)
弥益は2018年10月27日、再戦となる芦田崇宏を相手に判定5-0で勝利し、王座奪取。様々な距離の打撃に離れ際のサッカーキック、さらにグラウンドでのドミネイトと、新たな進化も見せての完勝劇で、7連勝を決めた。今回が初防衛戦となる。
対するDJ.taikiは、4連敗から2連勝中。その間、立ち技KNOCKOUTでは町田光とも対戦し黒星ながら判定まで持ち込んでいる。2018年8月の横山恭典戦では、横山のシングルレッグを切ってバックを制するなど、よりオールラウンダーぶりに拍車をかけていた。
また、2018年12月にはハードパンチャーの石司晃一とも対戦。石司の打撃を見切り、テイクダウン狙いを切ると逆にダブルレッグを狙うなど、全局面で上回り、王座挑戦を決めた。
DJは、2004年4月のプロデビューはニュージャパンキックボクシング連盟での立ち技が先だった。同年10月にDEMOLITIONでプロ総合格闘技デビューを果たした。
2013年4月のDEEPでの前田吉朗との再戦で2RTKO勝ちを収めバンタム級王座を獲得。その後、UFC出場を目指して米国修行も重ね、2015年の「Road to UFC: Japan」ではフェザー級トーナメント準決勝で廣田瑞人に判定負け。UFC行きが途絶えた。
その後、2018年8月のDEEPでの横山恭典戦で3年10カ月ぶりの公式戦勝利。続く12月の石司晃一戦でも新鋭を相手に15分間、魂を削るような熱戦で判定勝利を挙げ、今回のフェザー級王座挑戦にこぎつけていた。
前日計量をクリアしたDJ.taikiは囲み取材で、「この試合だけに賭ける。この試合で引退してもいいと思っている」と、淡々と、しかし熱く語った。
一方の王者・弥益は「大好きだったDJ選手の記憶に残りたい、そんな気持ちがあります。格闘技ファンだった自分を越えるような試合をしたい」と語る。
2013年からプロ10勝4敗の弥益と、2004年から19勝12敗7分のDJ。格闘技に真摯に向き合う両者の“MMA”の引き出しとそれを実行するハートが問われそうなメインイベントだ。
1R、サウスポー構えのDJ、詰めるDJに弥益は空間を大きく使い左右に回る。しかし、詰めていくDJ。開始20秒、互いにシャッフルするため、DJの最初のローが金的に。中断後、再開。
オーソドックス構えから右アッパー、跳びヒザは弥益。前に出てDJの距離を潰す弥益の右がヒットする。互いに近い距離での細かいシャッフルから下がりながらのDJの左に弥益がダウン! パウンドも弥益はゴングに救われる。
2R、先に詰めたDJ。弥益を金網に詰めると左右の連打。しかし、金網に詰まりながらも弥益は右フック!足を止めての打ち合いのなか、 DJが崩れ落ちると、弥益はパウンド! ヒザ立ちまで立つDJだが、後ろを向いたところに連打を受け、レフェリーが間に入った。弥益は、DJ.taikiに初めて判定以外の黒星をつけたファイターとなった。
弥益「今日は日曜日なのにお越しいただきありがとうございました。DJ選手は自分が格闘技が好きになった頃から活躍している選手で、自分の手が届くような選手じゃなかったです。これで格闘家の仲間入りしたでしょうか。気が向いたら自分もチェックしてみてください。DJ選手、ありがとうございました。大好きです」
▼第13試合 DEEPバンタム級 5分3R
×大塚隆史(T GRIP TOKYO)
[2R 1分40秒 リアネイキドチョーク]
○トレヴィン・ジョーンズ(Vida Brazilian Jiu-Jitsu)
元DEEP2階級王者(バンタム級&フェザー級)の大塚隆史が、現PXCバンタム級王者トレヴィン・ジョーンズ(グアム)と対戦する。
初来日のジョーンズは、MMA11勝6敗。現在PANCRASEで活躍中で山本美憂のコーチも務めるカイル・アグオンにPXCで2勝1敗と勝ち越している強豪だ。
2016年11月のアグオン戦のスプリット判定勝利後は、韓国のTFC、ロシアのACB・ACAで戦い2勝2敗。前戦はACAでロシアのメディ・バイドュラエフを相手にギロチン・チョークで勝利している。
サウスポー構えで、PXC時代にはケージに詰めての大きな打撃・ヒジ打ち等を見せていたが、近年のACAでは対戦相手に合わせてしっかり距離を保ち、カウンターのギロチンで一本勝ちするなど、クレバーな試合運びが特徴的だ。後半にも強いスタミナを持ち、アグオンのケージレスリングにスイッチからのバック、横三角絞めを見せるなど、組み技においても切り返し技を得意としている。
12月のDEEPで赤尾セイジを相手にケージレスリングできっちり判定勝ちしている大塚にとってはワールドクラスの実力を再び示す機会となりそうだ。
1R、オーソドックス構えの大塚にサウスポー構えのジョーンズ。長い左インローはジョーンズ。圧力かける大塚にジョーンズは右ローも。しかし続く蹴りはローブローに。
再開。左インローはジョーンズ。大塚は前足にシングルレッグからテイクダウン。すぐに立つジョーンズに詰める大塚は左で差して押し込むとテイクダウン! クローズドの中に入れるジョーンズはオーバーフック。スクランブルからの立ち上がり際を大塚はバックに回り後方に崩す。立とうとするジョーンズを再び回した大塚はバックから足を巻いてチョークを狙うが、一瞬身体伸びたところからジョーンズはヒザ立ちまで戻す。
2R、ジョーンズのワンツー、右ミドルを掴んだ大塚が軸足を払いテイクダウン。しかし、すぐに立つジョーンズをがぶる大塚はがぶりきれず! 頭を上げてそのままボディロックテイクダウンしたジョーンズがマウント、バックに回り4の字ロックからリアネイキドチョークを極めた。
大金星を挙げたPXC王者ジョーンズは「日本のマーシャルアーツに敬意があります。こんなハードな展開になってしまいましたが、今回の機会を与えてくれてありがとうございます」と挨拶した。
▼第12試合 DEEPバンタム級 5分3R
○水垣偉弥(Sonic Squad)
[判定3-0]※29-28×3
×昇侍(トイカツ道場)
UFCで活躍した“メジャーリーガー”水垣偉弥のDEEP初参戦(5月12日・ニューピアホール)が決定。ストライカーの昇侍と対戦する。
修斗からケージフォースを経て、WEC、UFC、ACBと海外を主戦場としてきた水垣が日本で戦うのは3年半前のUFC日本大会以来。国内プロモーションの試合に出場するのは2008年12月の「ケージフォース9」以来、実に10年5カ月ぶり。DEEPには初参戦となる。
UFC5連勝の記録を持つ水垣は、2017年からACBに参戦。2連敗後の前戦2018年5月「ACB 87」で当時13勝1敗のピエトロ・メンガを相手に初回にダウンを奪われながらも粘り強いファイトで逆襲し判定勝利、復活を遂げていた。
対する昇侍は2017年8月のGRACHANで4年ぶりに復帰。3勝1敗と調子を上げて、2019年3月に6年ぶりにDEEPに復帰したが、石司晃一にテイクダウンを奪われた末に2R TKO負け。それでも終盤の打撃戦に持ち込む姿には鬼気迫るものがあり、水垣との試合に再起をかける。
「ストライカー対決」と呼ばれるが、近年の水垣は相手の打撃を被弾しない遠い間合いからの飛び込み、左右から両脇を差してのテイクダウン、あるいは打撃を誘っておいてのシングルレッグでのテイクダウンと、試合巧者な部分も見せている。一方の昇侍は、勝負所のラッシュでもしっかり上下に散らす打撃を有効に使い、パンチのみならず強い蹴りも持っているのが強みだ。
「もう一度北米MMA、UFCに挑戦するための仕切り直し」の舞台としてDEEPを選択した水垣。「日本で闘ってきた誇りと意地をもって決死の覚悟で水垣偉弥を倒しにいく」という昇侍。苛烈な打撃戦も泥臭い試合もこなしてきた両者の試合は、それぞれのMMAの歴史をぶつけあうような試合になるか。
1R、ともにオーソドックス構えから。ローは昇侍。水垣はボディロックからテイクダウン。亀の昇侍は水垣のオパウンドの間に立つが、ボディロックを外さない水垣がもう1度、テイクダウン。立つ昇侍は四つに持ち込む。金網を背にする昇侍。離れ際に水垣は左右振るが、昇侍も左を当てる! 二度ダブルレッグに入る水垣はついにテイクダウン。インサイドからパウンド、鉄槌を突く。腰を切る昇侍を逃がさない水垣。パウンドに昇侍はラバーガードで固める。金網に押し込んで左右のパウンドは水垣。昇侍もガードし決定打は許さない。
2R、しっかり相手を見てワンツーは水垣。昇侍は右の跳びヒザもかわした水垣がボディロックテイクダウン! 亀からスイッチを狙う昇侍にボディロックからテイクダウンは水垣。しかし立つ昇侍はヒザ蹴りを効かせて離れるとスタンド勝負に。しかし水垣は左ジャブを当て返しの右も。右ロー返す昇侍に打撃の打ち終わりに水垣はダブルレッグテイクダウン! みたび立つ昇侍のスタンドバックを取る水垣は力強く回すと、ヒザ打つ昇侍と正対。ジャブ、ワンツーを打つ。
3R、グローブタッチ。ワンツーから左ボディは水垣。右ロー空振りの昇侍。さらに左フックもダッキングでかわし左右で前へ。右で差してボディロックから回してテイクダウンは水垣。しかし立つ昇侍は首相撲ヒザ! 四つに持ち込む水垣。スタンド。昇侍の右前蹴りがボディに。しかし前進を止めない水垣が押し込む。細かい左右を突いて前に出る水垣。シングルレッグ、ダブルレッグと休まない水垣は最後の拍子木にダブルレッグテイクダウン! すぐに立つ昇侍を追いかけてゴング。
判定は29-28×3の接戦で水垣が勝利。水垣はマット上で、「マイクを握ることがほとんど無いのですが、昇侍選手、強かったです。ほんとうにありがとうございました。試合っていいですね。元気も気力もあったのに、事情があって1年間、試合ができませんでした。一番キツかったですけど、こうしてDEEPで試合ができることを感謝します。まだ、上をね。北米の、UFCに挑戦したい気持ちがあるので、時間があったら応援してください」とコメント。
敗者の昇侍も「世界に誇れる水垣選手と戦えて、レベルが低いとみられるのが嫌で必死に戦いましたが届きませんでした。いまONEとかいろいろありますけど、僕はこれからも日本のリングを守っていきます」と挨拶した。