2021年9月20日(月・祝)神奈川・横浜アリーナ『K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~よこはまつり~』にて、スーパーファイトの -61kg契約3分3R延長1Rで芦澤竜誠(Dragon Fish)と対戦する卜部弘嵩(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)が公開練習を行った。
今回弘嵩が公開練習を行ったALONZAは弟・功也が経営するジム。K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST所属の弘嵩だが「今は基本的にここ(ALONZA)で練習していて、他のジムの選手に来てもらってスパーリングもやっています」と現在はALONZAを拠点に練習を続けている。
この日の公開練習として行った2分1Rのミット打ちも、ミットを持っていたのは功也だ。「僕のキャリアになったら自分で何をやらなければいけないか自分で分かるし、(功也には)相談をするぐらいです」と語っていたが、「今のところ調整・仕上がりは順調です」と弟と共に進めている調整に手応えを感じている。
弘嵩が試合をするのは昨年12月のK-1両国大会での才賀紀左衛門戦以来、約10カ月ぶりのリングとなる。この試合では計量オーバー、そしてローブローによる反則決着と弘嵩にとっては消化不良の結果に終わってしまった。「いろんな人に迷惑をかけちゃって、ものすごく反省しました。今回は前回からの復帰戦ではあるので、リング上でしっかりやってきたことを証明しなきゃいけないと思いますね」と気持ちも新たにしている様子。「いつまで懺悔の気持ちでやらなきゃいけないのかというところもあるので、気持ちは切り替えていますよ」と前回の試合を引きずることもなく、久々の試合に向けてモチベーションも上がっているようだ。
今回の復帰戦に向けて練習への取り組み方も変えた。「今まで試合前に怪我をすることが多かったんですね。だからまず怪我をしないようにすること。今は練習の後にケアを必ずやっているんですよ。これはセットです。今日も予約しているんですけど、基本的に練習とマッサージの繰り返しです」と、体のケアに力を入れるようになったことが一番の大きな変化だ。
これまで体のケアに時間を割くことが少なかったという弘嵩だが、現在は32歳。「体重も落ちづらくなっていますし、怪我すると減量にも影響する。走れなくなっちゃうと体重は落ちないし、いろいろ困ることが多いので、怪我しないように気をつけています」と、若い頃とは違って怪我による弊害も実感した。「練習では質の濃い練習をしているので、毎回ケアをしっかりやる。ケアをしっかりすることで毎回練習で100%出せるし、それは意識的にやっていますね」とコンディショニングが練習の質を高めていることを強調していた。
練習への取り組み方を変えることによって、自分自身にまだ伸びしろがあることも発見できた。「衰えている部分もあるかもしれないけど、伸びている部分はたくさんあるし、総合的に見たら僕は強くなっていると思う」と、進化の手応えもあるようだ。
対戦相手の芦澤に関しては「K-1の選手の中でも特殊な選手、独特な雰囲気を持った選手だなと思います」と語った弘嵩。「面白い試合もするし、いい選手だと思います」と評価していたが、それ以上に興味があるのがやはり自分自身が現在進んでいるファイターとしての方向性だ。
「今回は前回の試合に比べて調整の段階で変えたところがたくさんある。だから僕にとって再出発であって、それが良いほうへ行くのか悪いほうに行くのか分からない段階」と、今後のキャリアがどうなるかの分岐点になると見ている。それでも「良いほうに行くと思います」と、確信めいたものを感じている。
今回はサポートに回る功也も「動きは良さそうです。キレも出ているし、パワーもあるし、スパーリングで良い感覚ができているんじゃないですかね」と太鼓判を押す。7月からはALONZAのプロ部門が本格的にスタートし、「今はスケジュール的なところも把握できるようになりました。『こういう相手とスパーリングやろうか』とか、コンスタントにコミュニケーションが取れていますし、外から(スパーリング相手を)呼んだほうが緊張感が出ますからね」(功也)と、ジムの体裁が整い始めたのも弘嵩にはプラスになっているようだ。
そのうえで弘嵩の好調の要因を「自分で納得のいく練習ができるようになったんじゃないですかね。自分のやりたいように練習できるのが一番ストレスがないし、僕が『ここでこういう練習入れようか?』と提案はしますが、基本的には本人がやりたいようにやってます。練習の質を下げないように甘くはしないですけど、納得のいく練習ができているのが大きいと思います」と語った功也。「今までの経験もあるし、それを生かして味のある試合ができると思います」と、兄の復帰戦に期待を寄せていた。