柔術
インタビュー

【柔術】箕輪ひろば「自分が強くなるために柔術の大会に出場しているので、王者になったから出ないという選択はなかった」=箕輪×中井祐樹

2021/08/19 13:08

「パラエストラフレンドシップサークルネットワーク」で総合の仲間を増やし、柔術でも転用した(中井)

──インターネット以前の時代ですね。

中井 その人達に「修斗のオフィシャルチームになりませんか」みたいな話をしていって、そうすると全国的にどのくらいの人が総合格闘技をやっているのか、マップが出来るんです。総合格闘技道場STFは、そういうのを始めようとしたきっかけとなった団体の一つなんです。埼玉県富士見市なんだ、とか。そういうのを一つひとつ調べていって、修斗のオフィシャルチームの案内を送ったんです。その初年度はほとんど無料にして。それを後に柔術連盟(現JBJJF)に転用したんですよ。

──そういう成り立ちだったんですね。

中井 いわゆる格闘技道場の全国マップを作ったのも私なんですよ。修斗オフィシャルジムみたいなものの礎を。全国で総合やっている仲間がこの県には何件あって、ということが分かるようになるから良いだろうと思い、作りました。「一網打尽」と言ったら非常にいやらしいけど、これで全国で地方にある総合格闘技のジムは修斗だってことになったんですよ。

──いまのように総合格闘技の団体も多くなかった頃ですね。

中井 今となっては修斗じゃないプロモーションもあるわけで。ほとんど総合格闘技がない時代にオフィシャルジムだけの力じゃ無理ってどこかで判断したんです。だから当時、全国でやってる人たちを「修斗になりませんか?」って(声をかけた)。そういうことで、みんな「修斗をやってる人」にしてしまうと、まあずるいですよね(笑)。僕はやっぱりそういう考えがあるんですよ。素人からやってるから、そうやって、素人で入ってやってきた方々が地域にもいるので、全国の人たちにオフィシャルと言ってあげたいっていう。それを基本的に後の柔術にも応用して、全部連盟に渡したということですね。「パラエストラフレンドシップサークルネットワーク」という名前でした。そうやって、パラエストラの仲間ですってしたのが始まりですね。

箕輪 めちゃくちゃ貴重なお話を聞いていますね。

中井 それで格闘技を始めた人が、キッズの時代から初めて修斗のチャンピオンになっているんですね。箕輪選手のように。箕輪選手は何歳から格闘技をやっているんですか?

箕輪 僕は12歳からですね。

──阿部先生の年代は……。

箕輪 52歳ですね。

中井 僕より一つ上なんだ。

箕輪 僕は阿部代表から全部教わっているんですけど、代表曰く「総合に必要なのは“グラップリング”じゃない。“柔術”なんだ」と言うんですよ。総合の世界は、1回レスリング&ボクシングの時代があったと思うんですが、それが今ちょうどひっくり返って柔術が注目されてるじゃないですか。代表はさすがだなって思います。

──どちらかと言うと打撃よりも柔術の方が好きな感じですか?

箕輪 まあ、万遍なくいろいろやってきて、特にどれが苦手とかはないですけど……僕は、テイクダウンして寝技で一本を極めるのがかっこいいなとは思っています。

中井 修斗チャンピオンであり、今はONEにレギュラー参戦して、2戦2勝ですよね。それでONEの元ストロー級世界チャンピオンのアレックス・シウバ選手に勝っていますからね。シウバは黒帯柔術家ですよ。

箕輪 世界選手権(※CBJJOコパドムンド王者)も優勝していますよね。

──アレックス選手は、内藤のび太選手とも激闘を繰り広げていましたね。ONEも一時期、コロナ禍で止まっていましたが動き出しました。箕輪選手はONEで世界チャンピオンを目指すことになりますね。

箕輪 そうですね。より本格的に動き出すと思います。

中井 黒帯のシウバ選手に勝っている箕輪選手が紫帯なのかよっていうのもの面白いですね。

箕輪 「黒帯に勝ったから黒帯あげよう」っていうのは、黒帯を巻いてる人に失礼だろうって。柔術は柔術で結果残して帯上がりたいです。

──リスペクトがありますね。ONEでの次戦はいつ頃を考えていますか。

箕輪 年内にもう1試合やりたいんですけど。体調面もあって試合ができない期間があったり、そのうちに世間がコロナ禍になったりっていうがあったんで、年内にもう1試合できれば。

──ではもう1度、柔術に出るチャンスもあるかもしれない。

箕輪 そうですね。本当にタイミングが合えば出たいですね。今日みたいに中井選手ともお話させてもらえましたし。僕らの世代じゃなくて、僕らを教えてくれている世代が「中井先生! 中井先生!」って、みんなそう言われているので、僕も存じ上げていたんです。そんな中井先生にSNSで(試合結果などを)拡散していただけるって、もう嬉しいとかじゃないんです。恐れ多いなって。もしタイミングがあれば、お話しさせて頂きたいなと思っていました。

中井 組んだことも直接話したこともなかったですし、そういう選手が修斗のチャンピオンとして出てくるというのが、良いですね。

──そして柔術会場で会って話せると。

中井 今の選手達には、試合に出ている時点で全リスペクトなんです。修斗のチャンピオンであり、ONEのタイトル戦線に絡んでいくであろう箕輪選手の活躍を、僕のSNSには今のMMAを見ていない人もいるので、こういう選手がいるんだということを紹介したいと思っています。まだみんなを紹介しきれてはいないですけど。

箕輪 自分のことを中井さんに知ってもらえていると思いませんでした。嬉しいです。恐れ多いですけど、やっぱり中井先生に会って、紹介してもらえたら若手選手も嬉しいと思います。発信して頂いたりして、何かの間違いじゃないかと思いました。

中井 何よりも見てもらえるのが良くて。幸いいまはYouTubeで手軽に見れるということがあるので、知ってもらえるという環境ですよね。

──柔術の練習はどれくらいの頻度で行っていますか?

箕輪 週2回ですね。打撃にレスリングに、と日々やっています。

──トライフォース赤坂にも練習に来られていますよね。

箕輪 はい。今も朝行かせてもらっています。

──STFではキッズの指導もやっておられる。

箕輪 はい。やっています。今度、僕が主催で「JSCC」というジュニア修斗のベルトを作って大会(※8月15日開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の状況により延期)をやります。キッズ達の何かのきっかけになれば良いなあと思っています。子供の頃からやっているとやはりめちゃくちゃ強いんですよね。今日、柔術やっていてもそれを決勝の岡泉選手から感じました。

──今後もぜひ柔術に定期参戦してもらって、MMAではONEのチャンピオンを目指していただき、みんなで応援したいと思います。

中井 これからも注目しています。

箕輪 ありがとうございます! よろしくお願いします。

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア