2021年東京五輪レスリング男子フリースタイル125kg級で金メダルを獲得し、マット上で勝利のバックフリップを披露した米国代表ゲーブル・スティーブソン(21)について、Bellatorのスコット・コーカー代表が契約に向けて交渉していることを明らかにした。
金メダルを獲得したスティーブソンは当初、自身のTwitterアカウントで、UFCのダナ・ホワイト代表とWWEのビンス・マクマホン会長兼CEOの両者に手を振る絵文字を投稿し、将来の転向を示唆していた。
8月13日(日本時間14日)の「Bellator 264」の大会後の会見で、コーカー代表は、「これだけは言えるが、我々はすでに彼のマネージメントと連絡を取っている」と語った。
「スティーブソンはあと2年ほど学校生活が残っていて、戻ってレスリングをしたいと思っていることは知っている。話はしているけど、彼は今、本当にレスリングをしたいと思っているようだ」と早期のMMA転向は否定。
しかし、2004年アテネ五輪レスリング米国代表のダニエル・コーミエーを「Strikeforce Challengers」から育成したコーカー代表は、「もし彼がMMAに来たいのであれば歓迎する。我々のようにレスリング選手を育てるところはなく、私たちはそれが一番得意だと思う。彼にとって、Bellatorは素晴らしい“ホーム”になると思う」と、ピュアレスリングからのMMA転向に最適な団体だとアピールした。
すでにMMAエージェントであるデイブ・マーティンと契約していることが伝えられているスティーブソンは、元UFC王者、そしてWWEレスラーでもあるブロック・レスナーとも交流を持っている。
一方で、ダニエル・コーミエーは、スティーブソンについて、現地のラジオで「ブロック・レスナー方式」を提案。「スティーブソンはまずWWEで活躍して株を上げた方が良い」とも語っている。
2017年世界ジュニア選手権120kg級優勝のスティーブソンは、米国で他の選手が取った出場枠を国内予選で勝って奪取。東京五輪フリースタイル125kg級決勝では、2017~19年世界王者のゲノ・ペトリアシビリ(ジョージア)と対戦。
「試合で見ている人を楽しませたい」と語っていた通り、開始早々にシングルレッグから片足を持ち上げて軸足を払ってテイクダウンに成功。一時は相手のシングルレッグからバック、ローリングを許し8-5で逆転を許したものの、残り6.5秒から、スタミナ厳しいペトリアシビリをいなしてヒザを着かせると右に回り、相手の左肩を制して越えてバックテイク。2Pを追加し、残り0秒のブザーとともに逆転の金メダルを獲得。マット上で勝利の125kgのバク宙を披露。大舞台で驚異の身体能力とショーマンシップを見せていた。
【この選手にも注目】東京五輪97kg級決勝で、2016年リオデジャネイロ五輪王者同士が3度目の対戦。86kg級王者だったダゲスタン出身のアブデュラシド・サデュラエフが米国のカイル・スナイダー(米国)を6-3で破り、2階級にわたって連覇を達成した。両者は2017年と2018年の世界選手権決勝でも対戦。初戦はスナイダーが勝ち、2回目はサデュラエフが勝利していたため、今回でサデュラエフが勝ち越しとなる。サデュラエフは86kg級と97kgで4度の世界選手と、2度の五輪を合わせて6度の世界一。