2021年9月3日(金)にシンガポールインドアスタジアムで開催予定の「ONE:EMPOWER」で、女子アトム級ワールドGP1回戦に出場する平田樹のインタビューが主催者より届いた。
当初、5月28日に開催予定だった同大会だが、シンガポールでの新型コロナウイルス感染拡大により延期が発表されており、約3カ月を経て、いよいよ開催にこぎつけたことになる。
同大会では、女子アトム級ワールドGP1回戦が行われ、日本から平田樹が参戦、アリース・アンダーソン(米国)と対戦する。
北米Invicta FCで2勝、プロMMA5勝1敗のアンダーソンとの試合に向け、平田は「全部の試合を見た。初めて自分より大きい相手(アリースは165cm・リーチ168cm、平田は157cm・リーチ159cm)とやるのですごい楽しみ。分析する時間が長くなった分楽しく、試合までの準備期間が充実している」と、延期となった時間をプラスにとらえていると語る。
東京五輪でメダルラッシュが続いているなか、「日本中が見ているっていうことが、格闘技にはあんまりないことだなって思っちゃいました。でも、自分が世界で戦った時に、日本だけじゃなくて世界中から、もっと応援される選手になりたい」と、ライバル心ものぞかせる。 女子アトム級ワールドGPに参戦する唯一の日本人選手として、平田は「絶対負けないって意地はあるので、そこは曲げないで、ぶっ潰しに行こうと思います。一回戦、二回戦は当たり前のように勝って、決勝でもしっかり勝って、日本にベルトを持って帰ってきたい」とGPへの意気込みを語った。
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日本だけじゃなく世界中からもっと応援される選手になりたい
──試合日程が決まりました。今の率直な気持ちをお願いします。
「率直に、長かったなーという感じですね。やっとだなーって思います。でも素直に嬉しいです!」
──延期になってから再日程が決まるまで、どう過ごしていましたか。
「相手が変わることはなかったので、まだ全然嬉しいですけど。試合が無くなったわけではなかったので、“あー残念だな”とはならなかたです。でも、いつやるか分からない中で練習する、ただ練習するだけが本当に嫌で、そこだけは本当にキツかったんです。でも、試合が決まると、なんかソワソワします(笑)」
──以前のインタビューで相手のアリース・アンダーソン選手の強みは“リーチが長いことや体格だ”と、お話していましたが、延期になってしまってからの準備期間中で、何か相手に関して新たな気づきなどはありましたか。
「彼女のInvicta FCでの試合をずっと観ていて、やっぱり自分の距離を使う選手だなって思いました。なので、リーチの長い相手との練習時間を増やしたり、チームで沢山ビデオを見て分析する時間が楽しかったです。やっぱり自分は寝技が好きだから、寝技について沢山動画を観たり、寝技の練習をめっちゃしたり、そういう時間が長くなった分楽しかったですね。試合までの準備期間が充実しているなと思います」
──アンダーソン選手の弱点については?
「そんなに強いパンチが無さそうだなって全部の試合を見て思いました。距離は取ってくるけど、自分の距離を詰めて行って得意な寝技まで持ち込んで行けたら行けるだろうなと思っています。ただ、そこまでの詰め方、距離感は相手の方が上手いんだろうなって思うので。しかも、サークルケージはデカいから、どうやって逃げられるかなとも思いながら練習しています。初めて自分より大きい相手(アリースは165cm・リーチ168cm、平田は157cm・リーチ159cm)とやるんで、上手くいくかは分からないけど、すごい楽しみです」
──この試合で武器になると感じているのは何でしょうか。
「やっぱり、寝技ができるところと、打撃の勝負でも行けるような練習をしているので、どっちでも行けるかなと思います」
──平田選手はTKO勝利も一本勝ちも過去にしています。この試合に向けて特に磨いてきたことは何でしょうか。
「前回の2月の試合(Road to ONE)の時の、壁での攻撃とか打撃とかの課題が沢山残って、ヤバいこれじゃ負けるって思って。そこで気づくのじゃ遅かったけど、次の試合までには完璧にしたいって思いました。レスリングの練習をしたり、ボクシングに行ったり、キックボクシングに行ったり、出来ることは全部やろうって。前回の試合みたいには絶対にしたくないって思っていました。
前回の試合(首投げ&袈裟固めからのパウンド)みたいなのも自分らしいっちゃ自分らしいけど、それでは勝ちたくないなって思っていたので、レスリングの練習は結構しています。柔道はあまりやらないで、レスリングとグラップリングはやっているかなって思います。柔道については、本当にやりたくないなって思いながらもやってしまう。そこは殺さない方がいいよ、とは周りに言われるけど、自分的には絶対出したくないなっていう思いがあって。まあ試合にならないとこれは分からないですね」
──過去のインタビューで、アンダーソン選手が柔道の対策もしっかりしていると話していました。そういう意味でも柔道は使いたくないということでしょうか。それとももっと他に見せたいものがあるからでしょうか。
「こんなのもあるんだぞ、というのもそうですし。逆にどれだけ対策されても投げれるぞ! っていうところも見せたい。だけどそれやったら、またみんなに言われるから、心が複雑です(笑)。絶対投げれるから、って思いながら投げたい気持ちもあるけど。試合でその気持ちが勝っちゃったら投げちゃうかもしれないし、何とも言えないですね」
──この試合はどんな結末になると予想していますか。
「相手は柔術をやっているので、寝技でも極めたいなって思います。新しい技で極めたいなってすごい思うし、でも打撃でも勝負できるってところを見せたいんで。でも、寝技がいいなって今は思います」
──フィニッシュということですか?
「フィニッシュですね、今回は。早ければ早いほど良いけど、トーナメントはそんな簡単な相手じゃないと思うので。でも1Rで極めたいというのはありますね」
──プロMMA5勝1敗のアンダーソン選手は、ONEではデビュー戦で、平田選手はONE4戦目です。そこの差は感じますか。
「まあ、絶対負けないというところは絶対ですけど、相手も世界で、Invictaとかで戦っているのを試合で見ているし。でもやっぱり、日本人でただ一人出れるってところもそうだし、絶対負けないって意地はあるので、そこは曲げないで、ぶっ潰しに行こうと思います」
──日本では東京オリンピックが開催されていて、平田選手の同世代のアスリートや柔道の選手たちもメダルを取っています。そういう世界で戦うアスリートたちの活躍をどう捉えていますか。
「日本代表で出るってことはすごいことだと思う。その中でメダルを獲れば注目も浴びるし、メディアにも出るだろうし。改めてオリンピックは凄いなって思う。日本中が見ていて、SNSでも話題になってて、みんながその人を見ているっていうところが、格闘技にはあんまりないことだなって思っちゃいました。でも、自分が世界で戦った時に、日本だけじゃなくて世界中から、もっと応援される選手になりたいなって思いました。試合をしていれば自然とそうなっていくんだろうなって思います」──今の目標は?
「勝つこと、拘らず、とにかく勝つことですね」
──最後にファンへメッセージを。
「『お待たせしました』が一言目かな、と思いますが、しっかり勝って日本に帰ってきたいなって思います。一回戦、二回戦は当たり前のように勝って、決勝でもしっかり勝って、日本にベルトを持って帰ってきたいなと思いますので、応援よろしくお願いします!」
9月3日(金)「ONE: EMPOWER」
▼ONE女子世界ストロー級タイトルマッチ 5分5Rション・ジンナン(中国)王者ミッシェル・ニコリニ(ブラジル)挑戦者
▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3Rデニス・ザンボアンガ(フィリピン)MMA8勝0敗ハム・ソヒ(韓国)MMA23勝8敗
▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3Rメン・ボー(中国)MMA17勝5敗グレース・クリーブランド(米国)MMA5勝0敗※リトゥ・フォガット(インド)が欠場
▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3Rアリヨナ・ラソヒナ(ウクライナ)MMA13勝4敗スタンプ・フェアテックス(タイ)MMA5勝1敗
▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3R平田 樹(日本)MMA4勝0敗アリース・アンダーソン(米国)MMA5勝1敗
▼アトム級キックボクシングアニッサ・メクセン(フランス)クリスティーナ・モラレス(スペイン)
※全対戦カードは後日決定。※対戦カードの内容、試合順は変更の可能性あり。