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レポート

【PANCRASE】“稲垣組祭り”神田T800周一に勝利した三村亘「人間の根っこを見せたい」。中村勇太をKOした20歳の“スーパールーキー”木下憂朔は高木健太と対戦へ「海外も視野にベルトが欲しい」

2021/07/28 17:07
【PANCRASE】“稲垣組祭り”神田T800周一に勝利した三村亘「人間の根っこを見せたい」。中村勇太をKOした20歳の“スーパールーキー”木下憂朔は高木健太と対戦へ「海外も視野にベルトが欲しい」

(C)PANCRASE大阪

 2021年7月18日(日)大阪・コレガスタジオにて、『PANCRASE 大阪大会』が開催され、メインイベントでパンクラス大阪稲垣組の“お祭り男”三村亘と、“組みMMA”の神田T800周一が対戦した。

▼メインイベント バンタム級 5分3R
〇三村 亘(パンクラス大阪稲垣組)
[判定3-0] ※30-27,29-28,30-27
×神田T800周一(パラエストラ広島)

 三村はMMA12勝3敗2分。2018年7月の岩佐和哉戦の判定勝利後、DEEPで瀧口脩生にドロー、2019年4月にMG眞介に判定勝ち、2019年7月には、現在RIZIN参戦中の獅庵にもスプリット判定勝ち、さらに11月に土肥潤にもスプリット判定で競り勝ち、5戦負け無しの快進撃を見せた。

 しかし、2020年12月の前戦で同門の金太郎がギックリ腰で欠場した代わりにPANCRASEに緊急参戦し、サイモン・オリベイラに1R ギロチンチョークで一本負け。2020年3月の「PANCRASE 313」で関原翔と対戦予定も欠場。今回が1年4カ月ぶりの再起戦でランキング入りを目指す。

 対する神田は緊急参戦。当初、花レメ紋次郎TK(リバーサルジム新宿Me,We/6位)が三村と対戦予定だったが、花レメが負傷により欠場。神田が三村と対戦することになった。

 神田は、PANCRASEでプロデビュー後、地元・広島にUターンしたのを機に修斗、GLADIATORに参戦。MMA10勝10敗1分で、2019年に2連勝も、2020年は2月にGLADIATORバンタム級王座戦で竹本啓哉に判定負け、10月の前戦では、2年8カ月振りにPANCRASE参戦も、ジェイク村田に判定負けしている。

 1R、サウスポー構えから中央を取り、先に左ミドルを打っていく神田。バックステップでかわす三村も右ミドルを蹴り返す。そのまま触りに行く三村。神田は右アウトサイドロー。三村は右インローを当てる。

 詰める神田の右をかわす三村。右ミドルハイをガードの上に当てて、左からワンツーの右をヒット! 腰を落とした神田のすぐの立ち上がりに左も当ててボディロックテイクダウン! そのまま覆いかぶさり左のパウンドを連打する三村に、神田はディープハーフから両足を戻して首を抱き寄せてパウンドを防ぐ。

 下からキムラクラッチを組む神田に、腕を抜く三村は、右で小手に巻きパスを狙いつつ右でパウンドを落とす。腰を抱き両足を束ねた三浦に、背中を見せて立とうとする神田。三村はバックに乗り4の字に組むが、腰をズラした神田が正対へ。糸通しを狙った三村は下になりクローズドガードで残り30秒を凌ぐ。3者10-9で三村を支持。

 2R、右の後ろ蹴りを当てる神田。その打ち終わりに右ミドルを返す三村。組む神田は両差しで押し込むが、突き放し際で三村はヒジ。神田はその脇を潜り、バックテイク。背後からヒザを突き、引き込みを狙うも、三村は倒れず。正対して四つに組むと右で突き放す!

 神田も左ハイを繰り出し組みへ。そこに右ストレートを合わせる三村。左で差して押し込む三村に右で差す神田が前方に崩し、ここは上体を立てる三村がコーナー背に。ブレーク。

 スタンドで右ミドルを当てる三村。頭から組みに行く神田を突き放すと右ストレート、さらに右の前蹴りを腹に突く。「来い」と手招きする三村に神田も左の蹴りは空振り。神田は左まぶたをカットし出血。「有効な打撃によるもの」とのアナウンス。三村も右まぶたを腫らす。ドクターチェック後、再開。

 左ミドルを当てて前に出る神田に左フックを振る三村。前がかりになる神田にダブルレッグに入るが、差し上げる三村は四つに持ち込み、小外がけテイクダウン! ハーフから細かいパウンド狙いも、ここは神田も巧みに足を効かせてガード。3者10-9で三村を支持。

 3R、右目を腫らした三村に蹴りで飛び込む神田。左右を振り左で差して押し込む三村は、またも小外がけテイクダウン! 早々に上を取った三村に、神田はキムラ狙いも外して正対する三村はインサイドから左足でまたぎ神田のキムラ狙いを外してハーフから背中を着かせて右で脇差しニアマウントへ。

 パウンドに背中を見せた神田のバックに回り両足をフック。4の字に巻き直したところを神田は正対。立ち上がる三村を押し込み、残り1分で体を放し、左ミドル、ストレートで打ち合いに。左ストレートを当てて前に出るが、三村はコーナー背にクリンチ。距離を潰す三村は最後にシングルレッグに入ったところでゴング。

 判定は、有効打を当てテイクダウンも奪った三村が3-0(※29-28, 30-27×2)で勝利。稲垣組の法被を羽織り、代役で参戦した神田と、周囲に感謝の言葉を述べてると、リング上で金太郎らチームメイトと記念撮影に収まった。

 1年7カ月ぶりの復帰戦に勝利した三村との一問一答は以下の通り。

地方大会だけど心では負けてない。やっていることは同じやぞ、と

──激闘、でしたでしょうか。

「そうですかね(苦笑)。こんな感じになると思ってました。やっぱり1Rで蹴りの距離が当たって、これは打撃が当たるなと思って、相手が足を動かしたら右を出そうと思っていたんで、それが綺麗に当たって、その後のフックとかも当たっていたんですけど、ちょっとあそこで仕留めたかったですね。そこで神田選手、折れなかったんで、そこらへんはベテランの意地を感じました」

──試合前のフェイストゥフェイスでは「打ち合おう」と声をかけていたのが印象的でした。

「自然に、試合中もちょっと喋りかけてて、煽りVでも『KOしてやる』と神田選手が言っていたんで、真っ向勝負やったら、俺も打撃で行かんとと。メインイベントですし、師匠が稲垣さんなので、昔の格闘技には、いまのMMAに無くなったもんもあると思うんですよ。ああいう人間臭いもんがあっても、お客さんは面白くなるかなと僕は思っていて、スポーツとはひとつ違うところを僕は見せたいと」

──対戦相手が変わってのメインでしたが。

「前田(吉朗)さんからも『周りのことは考えるな』とは言われましたが、どうしてもフィニッシュがしたかったんで、完全決着したくて力んで、最後はバテました。神田選手はフィジカルも強かったんで、危ない場面はなくても頑張ってきましたね。彼が“頑張るマン”なんじゃないかと(笑)。子供の頃から心が見える、焚きつけてくれる選手が好きだったんで、技術とか抜きに」

──メインでどんなことを伝えたかったでしょうか。

「格闘技をもっと知ってほしい。こんなにも熱い世界があることをもっと知ってほしい。緊張感や恐怖とか、生きている実感とか、そういうのは今の日本に欠けているのかなって。意識の一番根っこのところに“綺麗にやる”とかよりももっと人間の根っこを見せたい。“コイツら普通じゃない、こんなこと真似できんな”ということをしたい。だから普通に“よろしくお願いします”じゃあ、僕は面白くないんですよ」

──今後の目標は?

「前田吉朗さんとか、北方大地、金太郎とか、こういう名前がズラリと並ぶ稲垣組で俺もおるぞというところを見せたいですね。それはジェラシーとかではなくて、大阪大会でも面白い試合を見せられるぞ、と。RIZINでも面白くない試合は面白くないし、地方大会だけど、心では負けてない。やっていることは同じやぞと。欲を言えば、いま観に来てくれている人たちをもっと大きな舞台に連れていきたい。場所はどこでもいいです。いまいる普通の選手とは一味、違うけど、絶対また見たくなる、“三村亘がいるんだったら、ちょっと観に行こうかな”という選手にもっとなるんで、僕から目を離さず、応援、よろしくお願いします」

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