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【ムエタイ】なぜムエタイの殿堂は“女人禁制”を解いたのか、日本人女子選手の挑戦も歓迎

2021/07/12 13:07
【ムエタイ】なぜムエタイの殿堂は“女人禁制”を解いたのか、日本人女子選手の挑戦も歓迎

今までのイメージを一新し、近代的なスタジアムに生まれ変わった新ルンピニーで女子の試合がついに解禁される(JPMC山根千抄代表のInstagramより)

 約500年の歴史を誇るタイの国技ムエタイの歴史が大きく変わろうとしている。ムエタイ2大殿堂のひとつであるルンピニースタジアムにて、史上初の女性選手によるダブルタイトルマッチが行われることが決定したのだ。

 ルンピニースタジアムはタイの国技ムエタイ専用の競技施設で、1956年12月8日に開設。タイ国陸軍によって運営され、認定する王者はラジャダムナンと並んでムエタイの最高権威とされてきた。今年2月には陸軍のスポークスマンが同スタジアムでムエタイの試合が行われなくなる可能性があることを発表し、世界中のムエタイファンが成り行きに注目していた。

 しかし、ルンピニーでのムエタイは続行が決定。陸軍の傘下にあることは変わらないが、新たに就任したジェネラル・マネージャーは非常に考え方が柔軟で、現実主義者とのことで、よりムエタイを世界にアピールするために、『GOSPORT』という企業と組み、マネージメントを行うことになった。このコロナの状況下で観客を入れての興行が出来ない中、ライブ配信の重要性を感じ、ルンピニーと『GOSPORT』が手を結んだ。

 また、世界戦略のために、今まではマネージメント担当者がタイ人のみだったが、外国人も採用。

 最新のビジョンスクリーンが設置され、ライティングも強化されてかなりイメージを一新、近代的な会場へリニューアルされた。新しいルンピニーでは、週2回試合が開催され、土曜日には3つの興行を行う予定だという。特に土曜日の試合は『GOSPORT』にてON LINEでLIVE放映される。まずはタイ語と英語のコメンテーターのみだが、直に他の言語(中国語など)での放映も開始される予定だ。


(写真)大型のビジョンスクリーンに映し出されているのは、史上初の女子マッチを行う両選手

 その新ルンピニーが改革として行ったのが、これまで女人禁制だったリング(これまでは女性がリングの上に立つことも触れることさえ禁じられていた)で、女子の試合を組むと発表したことだ。

 新GMは「今が変化の時」と考え、ルンピニーをもっと世界にアピールするために、またルンピニーの評価をあげるために、さらにムエタイを発展させるために、今の世の中の流れを汲んで、女子のムエタイのタイトルをルンピニーで開催することに決めたという。

 女子もタイ・スポーツ庁のムエタイのルールに沿い、あらゆる階級のルンピニースタジアム認定タイトル戦が行われていく予定。まずは17日のWBCムエタイとルンピニー王座のダブルタイトル戦がルンピニーでの 女子の史上初の試合になる(7月12日よりバンコク首都圏は新柄コロナウイルスの影響によりロックダウンとなったため延期の可能性が高い)。

 既にいくつかの女子タイトルマッチも予定されており、ミニフライ級ダブルタイトル戦に続いてはスーパーフライ級のルンピニーとWBCムエタイのダブルタイトル戦として、タイ人女子ナンバーワン選手であるLommanee Wor.Santai (タイ) とフランスのナンバーワンだというMyriame Djedidi (FRA) が対戦することも決まっている。今後もルンピニーとWBCムエタイは協力体制で試合を行っていくようだ。

 女子選手にとっては、男子にしかなかった最高権威であるルンピニースタジアムが認定する王座と、WBCムエタイの世界タイトルを手にできるビッグチャンス。ルンピニースタジアムの新GMは、日本の女子選手もタイトルに挑戦は可能なのかとの問いに「日本には素晴らしい選手がいるので、もちろん日本人女子選手にもルンピニーのリングに上がって欲しい」と答えている。

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