今回は攻撃の手を休めないようにしたい
──重森選手はこれまで4敗しかしていなくて、そのうちの一人、ラジャダムナンで敗れたタイ人のターレーグン・ポー.アーウタレーバーンサレー選手とだけリベンジマッチをして、勝っていますよね。今回、リベンジマッチという点ではいかがですか?
「リベンジマッチが少ないというのもあるんですけど……ターレーグン選手の時は、最初私がタイに試合をしに行って、現地ですごく持ち上げてもらったんですよ、TVマッチだったし。でも負けちゃって、日本に帰ってくるじゃないですか。『このままジムには帰れないな』と思って、途中で床屋さんに行って丸坊主にしたんです。それでジムに行ったら、メチャクチャ怒られました(笑)。自分自身、一つの負けとかリベンジマッチとか、あまり気にしてないようで、実は気にしてるんだと思います。だから今回も気持ちが入るんじゃないですかね。実際、今も練習の仕上がりがよくて。勝負は来週からだと思うんですけど、今の時点ですごくいいので。今年でデビューして10年なんですけど、仕上げ方とか気持ちの作り方とか、今までで一番いいと思います」
──試合のカギを握るのは何になると思いますか?
「どうですかね……自分の中では、『しつこさ』かなと思ってます。自分はわりと手数が少ない方の選手だと思うんですけど、今回は攻撃の手を休めないようにしたいです。しつこさが大事かなと」
──しつこく攻めて勝ちをもぎ取ると。
「できればそういう展開になる前に勝ちたいんですけど、そうなるプランも考えてます」
──会見やここまでの言葉もお聞きしていると、5Rじっくり使って勝とうという感じに聞こえるんですが。
「まあ、最終的にはそうなるんじゃないかなと思ってはいます。欲を言えば、1R、2Rとかで決めたいですし、常に狙ってもいるんですけど、相手も相手なので(笑)、そうなるんじゃないかなと」
──勝てば『KNOCK OUT』のチャンピオンということになります。これまでのタイトルマッチと、気持ちの上で違う部分はありますか?
「一番大きな違いは、『KNOCK OUT』では2回失敗してるというところですかね。1回目はアジアトーナメントだったんですけど、そこでボルドバートル・アルタンドルグーン選手に負けていますし、王座決定トーナメントではスアレック選手に負けているので。私は、『KNOCK OUT』以外ではタイトルマッチで失敗したことがないんですよ」
「それまでは全部、必ず1回で獲ってきましたからね。『KNOCK OUT』のベルトだけは、すごく苦労してるなあという感じですよ(笑)。最初のタイトル(新日本バンタム級)はデビューして2年目、プロ10戦目で獲っていて、気づいたらベルトがあったという感じだったんです。だから、苦労してないわけじゃないんですけど、チャンピオンになる覚悟ができるより先に獲っちゃった感じがするんですね。でも今回は完全に、『獲る』という気持ちが出来上がって、練習もしっかりできて、チャンピオンとしての実力も備わってるなという自覚もあって、その上でのタイトルマッチになるので、やっぱり気持ちは入りますね」
──もう一つ、会見では「ヒジありキックボクシングの魅力をもっと伝えたい」という言葉が印象的でした。そこにこだわりがあるんだなあと。
「そうですねえ…。今、主流と言える団体っていくつかありますけど、ヒジありではそういう団体がないじゃないですか。そこの市場は空いてるんじゃないかなと思うし、現に世界ではヒジありって人気があるし注目もされてるじゃないですか。『KNOCK OUT』はメディアに対しても活動的だと思うので、自分の中でもチャンスだなと思ってるんです。だから『KNOCK OUT』を通じて、ヒジありキックボクシング、ムエタイの面白さを広めていきたいなというのは、すごく思ってますね」
──今回も、その面白さが伝わるような試合をしたい?
「そうですね。ヒジありならではの、組み際の面白さも見せたいですし、今回は5Rあるじゃないですか。5Rならではの面白さというのも伝えられたらと思います」
──分かりました。最後に、ご自身で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「再戦というのが大きいですね。今回の大会でも再戦はこの試合しかなくて、そこがかなり面白いポイントになると思うので、私が負けてはいるんですけど、前回の試合の映像を見て復習しておいていただければと思います。そこから1年間でどうなったかが分かると思いますし、戦い方や意識をだいぶ変えて練習してきて、それが現時点でもだいぶ形になってきたというのがありますので、新しい一面にも注目していただきたいと思います」