シュートボクシング協会「SHOOT BOXING 2021 act.3」2021年6月20日(日)東京・後楽園ホール
▼第7試合 メインイベント 71.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限 ※ヒジ打ちあり○海人(TEAM F.O.D/S-cup2018世界王者)判定3-0 ※30-27×3、×小金 翔(フリー/第3代ZSTライト級王者)
海人はシュートボクシング世界トーナメント『S-cup2018』で優勝するなどSBの絶対的エースとして君臨、65~70kgと幅広い階級で緑川創、“ブラックパンサー”ベイノア、イ・ソンヒョン、中島弘貴、健太など国内外の強豪を次々と撃破してきた。今後は70kgを主戦場にすると決め、今年2月には日菜太を破りKNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級王者にも就いている。4月にはモハン・ドラゴンにもダウンを奪って勝利し、現在5連勝中。
現ZST王者の小金は、海人と同じ180㎝の長身を誇り、柔道出身。DEEPでプロデビュー後は、グアムのPXCや韓国のROAD FCなど海外プロモーションでキャリアを重ね、2018年10月にZSTで新王者に。現在2つの引き分けを挟んで11戦負け無しだ。MMA戦績は22戦18戦(3KO)3敗2分。
1R、ジャブからいきなり組み付く小金だがこれはブレイク。離れると海人は右ロー、右フック。インローを蹴る海人に再び組み付く小金、これもブレイクに。海人は左フックと右カーフ&右ロー。小金はジャブを打つが、海人がすぐに左フックを返す。小金が組み付くと身体を反転させて、逆に小金を投げようとする海人。
2R、ジャブとワンツーの小金に海人はワンツー&右ローで上下へ揺さぶる。組み付いてくる小金にヒジを見舞う海人だが、小金はそのまま抱えて押し込み両者の上半身はロープの外へ。右ローとワンツー、左フックを放つ海人。組み付く小金だが投げまでは持って行けず、ブレイクの後に海人をテイクダウンしてしまいイエローカードを提示される。
3Rも組み付いていく小金にヒジを合わせようとする海人。ワンツー&右ロー、そして左フック。小金は飛びヒザを出すが不発。前へ出る海人が右スレートを当てに行き、右ローを2連発。判定3-0で海人の勝利となった、
海人はマイクを持つと「今日、父の日で日頃お父さんに言うてないのでここで言わせてもらっていいですか。いつもほんまにありがとう。迷惑ばかりかけて仕事も大変な中、練習に最後まで付き合ってくれてありがとう。これから世界に行くために皆さんの力も貸してください」と、父へのメッセージと改めて“世界を目指す”ことを宣言した。
試合後、海人は「正直、やりにくかった。僕の立ち技を封じる逃げ方で、下がって、近付いたら投げを狙ってという。タックルが来ると思っていたので、ヒジとヒザを用意していたんですが首投げと腰を持っての投げできましたね。近付いて組まれてああいう展開になるとは思っていました。投げの対応はできましたがリングが滑って故意にヒザを着いているように逃げているように見られてしまった。
パワーはそんなに感じなかった。組みでも踏ん張れたので。身体はデカかったですね。不完全燃焼との一言につきます。ボコボコにして圧倒的な強さを見せるつもりだったんですが、不完全燃焼。いいところを出せなかった」と、悔しがっていた。
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▼第6試合 セミファイナル 62.5kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限○笠原弘希(シーザージム/SB日本スーパーフェザー級王者)判定3-0 ※30-29×3×古村匡平(FURUMURA-GYM/大和muaythaiスーパーライト級王者)
笠原はSB次期エース候補として期待され、2018年9月、SB日本フェザー級王座決定戦で元貴を下して王座を獲得。6月大会では前SB日本スーパーバンタム級王者・ 内藤大樹との接戦を制し、2019年9月のSB日本スーパーフェザー級タイトルマッチでは王者・深田一樹を2RKOで下して二階級制覇を達成した。2020年2月には前口太尊に大激闘の末にTKO勝ち、11月には元MMAファイターのハルク大城にも勝利。さらに今年2月にはKNOCK OUTーREDスーパーライト級王者スアレックに2RでTKO勝ちし、周囲をあっと驚かせた。
古村は幼少の頃よりムエタイを学び、父親が代表を務めるFURUMURA-GYMで本場タイからムエタイの名トレーナーを招き、弟の古村光と共に強さ磨いている。ムエタイ仕込みの強烈なミドルキック、ヒザ蹴り、パンチを武器に、今年5月22日のKNOCK OUTでは麻火佑太郎に判定勝利したばかり。西岡が優勝したKNOCK OUT無法島GRANDPRIXでは1回戦で丹羽圭介を破る番狂わせを起こし、準決勝ではバズーカ巧樹に敗れるも3位となった。
1R、古村は左右のミドルと前蹴りで距離を取る。笠原が近付いて右フックを打つと古村も同時に右フック。古村の左ローにも笠原は左ロー。古村は前蹴りとミドルで距離を取り、笠原が入ってくるところに右か左のフックを合わせる戦い方を徹底する。
2R、1Rよりも笠原が前に詰めてくると古村は首相撲に持ち込む。離れると前蹴りとミドル。笠原はジャブで近付くが古村に組まれる。古村が左ボディを打つと笠原もすかさず左ボディ。笠原の前進に前蹴りを合わせる古村だが、笠原は下がらされてもすぐに前へ出て左ボディを打つ。
3R、笠原の右ボディからの左フックにテンカオで対抗する古村。古村の前蹴り、笠原は右ボディから左フック。強打する笠原に古村は前蹴りで対抗するが、コーナーに詰まったところで右ストレートをクリーンヒットさせられる。さらに笠原は右ボディストレートから左フック。前蹴りとミドルで対抗する古村だが、コーナーに詰まって笠原のパンチをもらって組み付くため印象は悪い。どんどん前へ出て左フックを当てに行く笠原が優勢を印象付けた。
最終ラウンドが決め手となり、笠原が判定3-0でKNOCK OUTからの刺客を撃退した。
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▼第5試合 65.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限○村田聖明(シーザージム/SB日本ライト級2位)判定3-0 ※30-29×2、30-28×モハン・ドラゴン(ネパール/士魂村上塾/Bigbangウェルター級王者、元MA日本スーパーライト級王者)
村田は無尽蔵のスタミナから繰り出されるワンツーを主体とした手数を武器に、2017年9月にSB日本スーパーフェザー級王座を獲得。2階級制覇を狙い、昨年9月にSB日本ライト級王座決定戦で西岡蓮太と対戦。7Rに及ぶ大接戦の末に敗れたが、前口太尊、マサ佐藤、山口裕人、ラウェイ戦士・東修平といった国内強豪との一戦を次々とクリアーしている。
モハンはその豪快すぎるパンチで、これまで数多くのトップファイターからダウンを奪いKOを量産してきた危険な倒し屋。2013年4月のSB初参戦時には、当時エースだった鈴木博昭を1RKOで葬っている。2021年4月の後楽園大会ではS-cup2018世界王者・海人を相手に敗れはしたものの、パワフルなパンチで会場を沸かせ、フルラウンド戦い抜くタフネスさも見せた。
1R、サウスポーのモハンはさっそく左右のフックを振り回す。村田はジャブ&ロー。モハンのローに右ミドルを返す村田。うなり声をあげなから左右ストレートを出して前へ出るモハンに、村田は右の三日月蹴り。
2R、大振りの右フックを放つモハンに場内どよめき。モハンの大振りに合わせて待ちの姿勢の村田は右フック、右ストレートをカウンターで入れる。村田は自分からは右の三日月を蹴る。モハンは思い切って踏み込んでの右フックをヒットさせ、場内からは拍手が沸き起こった。フックを空振りした勢いで、転倒してしまうモハン。
3Rもモハンは左右フックを振り回す。組み付くとフロントスープレックスも狙った。ガードを固めて前に出て、声を発しながら右フックを叩きつけるモハン。愚直なまでに右フックを振るうモハンに場内から拍手が起こるが、村田はしっかりブロックしての左右ボディ。頭を下げたモハンに村田はフロントチョークを仕掛けるがこれはブレイク。さらに右フックを叩きつけるモハンに村田は左右ボディ。
最後はノーガードで村田と打ち合ったモハンだが、村田が左フックでヒットを奪って試合終了。判定3-0で村田が勝利を収めた。
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▼第4試合 SB日本ヘビー級エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R○坂本優起(シーザージム/SB日本ヘビー級2位)TKO 1R 2分30秒 ※レフェリーストップ×MAX吉田(BLUEDOG GYM/元インターナショナルマーシャルアーツ王者)
坂本は2009年11月にプロデビュー戦を行い敗れたものの、その後は12連勝をマーク。2013年4月には鈴木悟を破り、SB日本スーパーウェルター級王座を奪取した。2014年4月には小西拓槙、11月には内村洋次郎、2015年2月には長島☆自演乙☆雄一郎、6月にはT-98を破るなどSB中量級のエースとして大活躍したが、2015年後半からは黒星が増え、2020年12月に思い切ってヘビー級に転向。内田ノボルに勝利し、前戦は4月に173cm、102kgの巨漢チャンにも勝利して2連勝。戦績は32勝(6KO)16敗。
SB初参戦となる吉田はかつてアントニオ猪木が立ち上げたIGF所属の元プロレスラー。柔術にもチャレンジし、JBJJF全日本大会などで優勝した実績を持つ。柔術ではルールで認められているブレーンバスターを何度も決めたことがあるといい、「坂本戦でもブレーンバスターを出して場外に落としてやりますよ」と豪語。今回は立ち技初挑戦となり、SBでどのような戦いを見せるか。
1R、右ローを蹴る坂本に前へ出る吉田はワンツー、左右フックと積極的に攻める。坂本は右ストレートを打ち返すが、吉田は下がらずパンチを繰り出す。打ち合いとなり、坂本が右ストレートをヒット。吉田も負けじとジャブを何発も当てるが、坂本の右ストレート、右フックをまともに受け続け、最後は右フックで豪快にダウン。
立ち上がるも足がふらつき、レフェリーがストップ。同時にセコンドからもタオルが投入され、坂本のTKO勝ちとなった。
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▼第3試合 58.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限○手塚翔太(Sublime guys・GONG-GYM坂戸/SB日本フェザー級1位)判定3-0 ※30-28×2、30-27×井上竜太(Hardworker/INNOVATIONフェザー級3位)
4月大会でタイの強豪ガオパヤックに勝利した手塚が連続参戦、INNOVATIONの井上と対戦する。井上は11戦7勝(3KO)4分と無敗記録を更新中の19歳。
1R、手塚は左右へ回り込みながら右カーフキックを蹴り、井上は左ミドル。手塚は右カーフを意識させておいて、飛び込んでの左フックをクリーンヒット。余裕が出てきたか手塚はノーガードになって誘い、ワンツーを打つが、ローブローをもらって試合は中断。再開後、ジャブで下がった井上に手塚は飛びヒザ蹴り。
2R、井上は左ミドルを蹴っていき、手塚は右カーフ。手塚はパンチを打ちつつ投げも狙っていき、組むとヒザ蹴りから投げの体勢に。手塚は思い切り左右のフックを振り、井上も打ち合うが手塚の方が的確性がある。
3R、井上の左ミドルをキャッチすると手塚は投げを見舞う。手塚は左フック、左ボディ、左ジャブを連続してヒットさせ、左ミドルを蹴る井上に右フック。前に出る手塚は左右フック、左ボディ、左アッパー、バックハンドブローと多彩な技術を繰り出す、最後まで攻めて試合終了。判定3-0で手塚の勝利となった。
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▼第2試合 48.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限○MISAKI(TEAM FOREST/SB日本女子ミニマム級1位)判定3-0 ※29-28、30-27、30-25×ERIKO(ファイティングラボ高田馬場/RISE QUEENミニフライ級5位)
MISAKIはシュートボクシングの女子トップ選手で、2016年3月にプロデビュー、“猪突猛進女子”の異名通り、最初から最後までガムシャラに攻め続ける驚異のスタミナを武器に勝ち続け、2017年12月に無敗の女子高生・寺山日葵を破ってJ-GIRLSミニフライ級王座に就いた。同年7月のGirls S-cup -48kg世界トーナメントでは3位に。同年12月に寺山とのリマッチでJ-GIRLS王座を失い、2019年7月のSB日本女子ミニマム級王座決定トーナメント決勝戦で女神にまさかのTKO負けを喫し、負傷から長期欠場へ。
再起戦となった2020年8月には『REBELS』のリングでぱんちゃん璃奈とREBELS-BLACK女子46kg級初代王座決定戦を争うも判定負け。2021年2月のSBで祥子JSKを破りようやく白星を飾ったが、4月大会では対戦相手の調整がつかず寺山とのエキシビションマッチを行った。
対するERIKOは、普段は派遣OLで、ダイエット目的で3年前からキックボクシングを始めた。2019年9月の『RISE』でプロデビュー。同じくプロデビューのAKARIに序盤からパンチでの打ち合いを仕掛け、判定3-0で敗れたものの激しいファイトを展開。その後は山岸愛子に初回TKO勝ち、アリスとオンドラムに判定勝ち、山上都乃をヒザ蹴りでKOと4連勝を飾ったが、今年2月に真美に敗れて連勝はストップ。4月には紗彩に勝利して再起している。5勝(2KO)2敗の戦績を持つアグレッシブスタイルの女子。
1R、MISAKIはいきなり前蹴りを放つと左右の連打から組み付いて投げ(大腰)を見舞い、シュートポイント(1点)。MISAKIは左ボディからの左右ミドル、ワンツーで飛び込んでは投げを見舞う。MISAKIは左ボディを狙い撃ちにし、左ミドルも蹴る。ERIKOは右ストレートで応戦もMISAKIの前に出ての手数の多さが目立った。
2R、MISAKIのワンツーに組み付いたERIKOにMISAKIはフロントチョークを狙う。再び組み合うとMISAKIは大腰で2度目のシュートポイント(1点)。ERIKOは右ストレートからの左フックをヒットさせるもMISAKIは組んでの投げを狙う。 3R、MISAKIはワンツー・左ミドル。入り込むと組みになり、MISAKIが投げを狙うという展開が続く。MISAKIはワンツー、ERIKOは左フック、右ストレートを狙うがMISAKIに組まれる。MISAKIの右ローにバランスを崩すERIKOだが、ワンツーを出して前へ出る。
2度のシュートもあり、MISAKIが大差の判定勝ちを収めた。
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▼第1試合 SB日本フェザー級(57.5kg) エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限×元貴(DAB/SB日本フェザー級3位)判定0-2 ※29-29、29-30、29-30○山田彪太朗(シーザージム/SB日本フェザー級5位)
1R、ジャブ&ローの交換から始まり、互いにワンツー・左フックを放つ。手数が多いのは山田の方で、ジャブをボディに打ち、右ストレートからの左フックをヒットさせるなど手数を出して散らしていく。
2R、ジャブの突き合いでもスピードで優る山田。単発とコンビネーションを交え、距離を支配する。元貴は右ストレートで山田に鼻血を出させるが、飛び込んだところに右ストレートからの左フック、右ストレートを出したところに右ストレートをもらうなど被弾が目立つ。
3R、元貴は連打で打ち合いを仕掛けて連続ヒットを奪うが、山田の右フックを喰らって大きくグラつく。元貴に一発もらってもすぐに2~3発と打ち返す山田。再び打ち合いを挑む元貴が左フックを空振りした直後に右フックをヒット、最後は山田も打ち合って終了。
手数とヒット数で上回った山田が判定2-0で上位ランカーを破った。