2021年5月7日(日本時間8日)、米国コネチカット州モヒガン・サン・アリーナにて「Bellator 258」が開催され、試合後の会見でスコット・コーカー代表が「堀口恭司vs.セルジオ・ペティス」のダブルタイトルマッチの可能性、負傷TKOに終わったパトリッキー・フレイレとピーター・クイリーの再戦などについて語った。
メインイベントのBellator世界バンタム級選手権試合では、挑戦者セルジオ・ペティス(米国)が、シャープな打撃を駆使して5R判定の末、フアン・アーチュレッタ(米国)を撃破した。
新王者としてベルトを巻いたペティスは、ケージの中で堀口恭司を指名し「Bellator vs. RIZINの代表としてホリグチと戦いたい。2つ目のベルトを獲る絶好の機会だ」と前王者にして、現RIZIN王者の堀口恭司との、ダブルタイトルマッチをアピールした。
試合後の会見でコーカー代表は、ペティスのタイトル初防衛戦について問われ、「とりあえず彼には勝利の余韻にもっと浸る権利がある。今後、きちんとチームと相談して考える」としながらも、具体的な挑戦者について「堀口恭司(29勝3敗)だったら凄い。マゴメド・マゴメドフ(18勝1敗)だっていい、多くの選択肢がある。(アーチュレッタとの)リマッチの可能性だってある」と回答。
ペティスがケージの中でアピールした、堀口が持つRIZIN王座とのダブルタイトルマッチについては、「いまクロスプロモーションが出来ていない理由はたったひとつ。COVIDだから。なんらかの光明が差したら実現したい」と、新型コロナウイルスの感染状況次第ながらも、前向きに検討することを語った。
日本ではRIZINバンタム級GPの開催が控えているが、Bellatorバンタム級戦線も、新王者のセルジオ・ペティスを筆頭に、アーチュレッタ、この日も一本勝ちしたパトリック・ミックス(写真上)、UFC以前のピョートル・ヤンと1勝1敗のマゴメドフ(写真下)、この日ジョシュ・ヒルに勝利し、16勝1敗としたラフェオン・スタッツ、ジェイムス・ギャラガーら強豪が名を連ねている。
バンタム級戦線をコーカー代表は、「それはもう、どんどん出来るね。マゴメドフもいるし、今日のメインの2人、そこに堀口が加わったら大変なことだ。若い才能が上がってくるチャンスも考えて、トーナメントをやるかというのは未定だけれど──というのもトーナメントは他の階級にいま注力してるからね」と、フェザーとライトヘビー級に加えて、3階級目のトーナメント開催は否定したものの、今後の展開に期待を寄せた。
ライト級では、RIZINライト級GP決勝でトフィック・ムサエフに敗れて以来の再起戦となるパトリッキー・フレイレ(ブラジル)が出場し、アイルランドのコナー・マクレガーと同門のピーター・クイリーと対戦した。
カーフキックを効かせてテイクダウンも奪うなど、試合を優勢に進めていたパトリッキーは、クイリーの下からのヒジを受けて出血。そのままドクターストップとなったが、コーカー代表は、「ファン目線に立てば試合が止まるのはがっかりだけど、あのドクターストップは正しかった」と、ジャッジを評価。
試合後、クイリーはパトリッキーの実弟でフェザー&ライト級王者のパトリシオへの挑戦をアピールしたが、「パトリシオにはフェザー級GP決勝でのA.J.マッキー戦が待っているし、クイリーは再戦ということになるだろう。試合が止まるまでのスコアカードも加味すればそれが妥当だ」と、試合を支配していたパトリッキーとの再戦が濃厚とコメントしている。
また、コメインイベントとして開催された「ライトヘビー級ワールドGP準々決勝」では、元UFC世界ライトヘビー級王座挑戦経験を持つアンソニー・ジョンソン(米国)と、元UFC世界ミドル級コンテンダーのヨエル・ロメロ(キューバ)が対戦する予定だったが、ロメロの欠場により、代役としてジョゼ・アウグスト(ブラジル)が緊急参戦。
鳴り物入りで登場したAJが、1Rにアウグストの左フックでダウンを奪われるピンチに陥るも、2Rに左ストレートKOで逆転勝ちした試合での評価を求められたコーカー代表は、「AJはロメロを対戦相手としてずっと対策を練って練習してきたファイターだ。突然代わった相手との試合だけを見てどうこう言うのはフェアではないよ」と、UFC移籍組に見られるBellatorジッター的なものではないと擁護した。
また、目の負傷で欠場したロメロは、ライトヘビー級GPから外れたため、UFC時代のミドル級での試合を望む声もあるが、「ロメロがミドル級でやれるなら、ファン目線だったらゲガール・ムサシ(現ミドル級王者)との試合を見たいけど、まだ全然考えてはいない。ゲガールとの試合を組むのは、ロメロが何試合かして戦績も見ないといけない」と、慎重な姿勢を見せた。
そして、ヘビー級では、6月25日の「Bellator 261」でティム・ジョンソンvs.ワレンティン・モルダフスキーのヘビー級暫定王座決定戦が行われることが発表された。
モルダフスキーは2020年8月の「Bellator 244: Bader vs. Nemkov」でロイ・ネルソンに判定勝ちして以来の試合で現在5連勝中。RIZINでも3勝1敗の戦績を残している。対するジョンソンは、2020年10月の「Bellator 248: Kongo vs. Johnson 2」でシーク・コンゴに判定勝ちして以来の試合で現在3連勝中だ。
ヘビー級の暫定王者が決まるなか、新型コロナウイルス感染の入院から回復したエメリヤーエンコ・ヒョードルは、4月16日に愛弟子ワジム・ネムコフの試合に帯同し、元気な姿を見せており、引退への最終章について、コーカー代表は「ヒョードルの試合は秋になる」と語っている。
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◆Bellator世界バンタム級新王者セルジオ・ペティス「Bellator対RIZINの代表としてホリグチと戦いたい。2本目のベルトを手に入れる絶好のチャンス」
「兄のアンソニー・ペティスの前で世界タイトルを獲得したことは素晴らしい気分さ。この仕事を始めてからずっと、彼は僕のことを『最高の選手の一人だ』と言ってくれていて、ついに彼に加えて自分のベルトを手に入れることができたのは素晴らしいことだよ。夢が叶ったような気分だ。この機会と試合を提供してくれたファン・アーチュレッタアに心から感謝します。あなたはタフなアスリートであり、偉大な父親です。
打ち合いの中で自分が優位に立っていることは分かっていた。彼はいくつか良いショットを打ってきたけど、僕のショットの方がもう少し綺麗に、もう少し強く当たっていることは分かっていた。僕はとても計算高く、冷静だった。彼は『嵐が近づいていて大波がくる』と言っていたけど、私はここにいて、今夜は水の中にいた。僕は流れに身を任せていた。僕の夜だった。
ラフェオン・スタッツは偉大なアスリートであり、偉大な父親であることも知っている。彼は素晴らしいチームメイトで、この試合の準備を手伝ってくれた。ラウフェオンのおかげで、僕のテイクダウン・ディフェンスは完璧だった。彼は家族を養わなければなくて、もう一人子供が生まれようとしている。同じチームにいるからといって、誰かのチャンスを奪うつもりはない。ラフェオンには常に愛情を持っていますが、それ(同じバンタム級で対戦)が必要なことであれば仕方のないことだと思う。
それに、ホリグチも呼んで戦いたい。Bellator対RIZINの代表になりたい。アンソニーは2本のベルトを持っていて、僕も2本目のベルトも手に入れる絶好のチャンスだからね」
◆アンソニー・ジョンソン「ネムコフは完全無欠の男、昔の技術で彼を試すのが楽しみ」
「“家に帰ってきた”と感じたよ。これが自然であり、自分がすべきことだと感じた。(団体が変わっても)違和感はなかった。僕のことはご存知でしょう。僕はここに出向き、本気でスイングし、本気で全力を尽くす。
(ワジム・ネムコフとの試合は)凄い戦いになるだろうね。僕はネムコフが好きだ。彼はその戦いをもたらしてくれる。彼は完全無欠だ。サブミッションもできるし 倒すこともできるし、打撃もできる。あの男にできないことはない。昔の技術で彼を試すのが楽しみだ。俺たちはまだ古いものを持っている。簡単に新しいものには手を出さないからね」
◆ピーター・クィーリー「パトリシオは、俺が弟(パトリッキー)にしたことに敬意を払わなければならない」
「苦しかったけど、俺のことを知っているだろう? 俺を殺すためには、俺をここから出す必要がある。もし、俺をキックで止めようと思っているのなら、別のプランが必要だ。それはないだろう。
“これが俺の愛するものだ ”。俺は戦いたい、本当の戦いを。だからこそパトリッキーと戦いたかったし、次は彼の弟(パトシリオ)と戦いたいんだ。全ては一つだ。俺とパトリシオで、SBG vs.ピットブルチームの因縁に決着をつけようじゃないか。それが唯一の方法なんだ。彼はトーナメントでAJ(マッキー)に勝つと思うよ。彼に幸あれ。そして、彼は俺を相手にベルトを守るべきだ。これを最後に決着をつけよう。彼は、俺が弟にしたことに敬意を払わなければならない。そして、もし彼がその後、俺と戦いたくないのであれば、俺は彼に対する敬意を失うことになるだろう」
◆マイケル・“ヴェノム”・ペイジ「タフでも命中させることができなければ何の意味も持たない」
「彼はタフな男だ。彼を本当に尊敬している。とてもタフで若い男だ。彼は必ず戻ってくる。100%そう思っている。おそらくまた会うことになるだろうし、違う戦いになるだろう。僕はタフな相手には慣れている。タフな選手は、狙ったところに当てられてこそ実力を発揮する。強さとは、命中させることができればすべての意味を持つが、できなければ何の意味も持たない、それが僕のすべてだ。
僕が誰を欲しがっているかは、誰もが知っている。僕が求めているのは、ひとつの贖罪の戦いです。彼は常に言い訳をしている。今の僕には、彼(ドゥグラス・リマ、6月11日にヤロスラフ・アモソフを相手に防衛戦)の名前を呼ぶことにさえ興味がない。みんな彼のことを知っている。我々は会うことになるだろうね」