酒井はムエタイをベースに持ち、ジュニア時代には那須川天心、武居由樹、西京春馬・佑馬と対戦。RISEを主戦場として2020年9月にはWPMF世界スーパーフライ級王者・片島聡志と引き分け、12月には5冠王の鳩とも引き分けている。戦績は6勝(1KO)10敗3分。
TEPPEN GYMに移籍して約2年、基礎から鍛え直されたという酒井は、勝ち星からはしばらく遠ざかっているものの、確実な手応えを感じているという。今回、初参戦の『KNOCK OUT』で日々の努力を開花させることはできるか?
「何が何でも勝つ。勝った時の、あの最高の瞬間を再び!」
──今回、『KNOCK OUT』には初参戦ですよね。
「はい。『REBELS』には4年ぐらい前に出てたんですけど、『KNOCK OUT』には初めてになります」
──今回は濱田巧選手との試合ですが、印象は?
「基本に忠実な選手ですよね。その中で、たまにバックブローを打ったり」
──ご自分としては、どう戦おうと?
「終始自分のペースでやりたいですね。今は濱田戦に向けての対策というより、自分に足りないものを補うような練習を心がけています」
──直近2試合はドローで、しばらく勝ち星からは遠ざかっていますよね。その中で考えていることは?
「自分が思っているのは、『面白い試合をしたい』とかそういうことじゃなくて、変な話つまんない試合になっても、勝ちにいきたいということですね。前回も前々回も、『何が何でも勝つ』というつもりでやってはいたんですけど、勝ちたいという度合いが少し足りなかったのかなと思って」
──TEPPEN GYMに移籍されて2年近く経ったと思いますが、主戦場が変わったりする中で、移籍してからの一番の変化はどういうところでしょう?
「本当に基本的なところから見てもらったというか、直されたというか。変な話、ワンツーから直されたんですよ。本当に基本って大事だなと思って、教えてもらったことを一つひとつクリアしていってます」
──その指導は那須川会長から?
「会長からだったり天心からだったり、あとタイ人のトレーナーもいるので。選手同士でも意見交換をしたりしてます。その中で自分のジャブ一つにしても、顔に打ったり胸に打ったりとか、いろんな種類を学んで奥深さを感じたりしています」
──では、けっこう根底に近いところから変わってきた感じなんですね。
「そうですね。一からというよりはゼロからという感じで。前のジムでも一生懸命やっていたつもりだったんですが、TEPPENに来て、以前は相当甘かったんだなということを痛感しました。練習量もそうですけど、格闘技に対する考え方だったり、練習以外での過ごし方だったりとか、そういう部分からすごく変わりました」
──酒井選手が移籍されたのは、いろんなところからTEPPEN GYMに選手が集まったタイミングでしたよね。それは大きな刺激になったのでは?
「はい。強い選手ばっかりだったので、同じ空間で一緒に練習していると、すごくいい刺激になります。意見交換一つにしても、メチャクチャためになるなと思います」
──その成果が、そろそろ開花する時期?
「じゃないと困るっすね(笑)。自分でもだいぶ手応えはありますし、前回の試合も結果的にはドローだったんですけど、『自分で思ってたよりはできるんだな』と思えて、少し自分に自信が持てました。もっと足りないものを補ったり、いいところを伸ばしていけば、まだまだやっていけるなと。自分を信じるしかないんで」
──そういう感触の中で『KNOCK OUT』という新天地に乗り込むのは、いい流れですね。
「はい、自分でもちょうどいいタイミングだと思います。自分はもう失うものは何もないし、上がるだけなので」
──では今回の試合の、一番のテーマは?
「『自分に勝つ』ですかね。試合は自分との勝負だと思ってるんで。そのためにも、1回1回の練習で、スパーリングでも1ラウンド1ラウンド、相手にだけじゃなく自分にも負けないという思いで臨んでいます」
──階級とルールについてはどう考えていますか?
「自分の適正体重は51kgなんですよ。前回は53kgでやってたんですけど、今回は52.0kgということで」
──今回はスーパーフライ級で52.0kgリミット。『KNOCK OUT』ではその下のフライ級が50.5kgに設定されていますね。
「だから本当は51kgでやれるのがいいんですけど、そのあたりの階級が盛り上がるように試合をしたいと思いますね。ルールで言うと、自分はヒジも首相撲もあまり好きではなくて、それがない方が自分自身も楽しめる感じです。だから今回のBLACKルールはちょうどいいです」
──今回の試合で見てもらいたいところは?
「自分の試合を見て、『勇気づけられた』とか『熱くなった』とか、何かしらプラスに捉えてもらえたらと思うんですよね。そういう試合ができて勝てれば最高です」
──今回は特に、リング上で勝つ喜びを得たいという思いが強い?
「メチャクチャ強いですね。勝つために練習するのは当たり前ですけど、それだけじゃなくて、勝つために毎日の全てを過ごしてるんで。試合まで追い込みとかキツいですけど、やっぱり勝った瞬間の、喜びもありますけどプレッシャーから解放される感じ、みんなから『おめでとう』『おめでとう』と言われるあのやりとりがたまんないですね。キツい時はあの瞬間を想像しながら乗り越えているので、そのために、勝ちたいと思います」