2021年4月25日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2021 vol.2』の第2試合KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級3分3R延長1Rで対戦する、濱田巧(team AKATSUKI)と酒井柚樹(TEPPEN GYM)のインタビューが主催者を通じて届いた。
濱田はREBELS軽量級のトップ戦線で活躍し、2019年8月の『K.O CLIMAX 2019』では蓮沼拓矢からバックハンドブローでダウンを奪って勝利。ひとつの引き分けを挟んで6戦負けなしと絶好調だったが、10月の『KNOCK OUT×REBELS』で国内トップクラスの実力者・大崎孔稀に惜敗して連勝がストップ。2019年12月にはREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者・老沼隆斗のタイトルに挑戦して善戦したが判定で敗れた。2020年8月に白幡裕星に敗れ、タイトル戦線から一歩後退したが今回からBLACKルールでタイトルを狙う。9勝(4KO)7敗1分。
「キックボクシングはあと数戦」と表明している濱田だが、その真意は? そして、そんな中で今回の試合にはどんなモチベーションで臨むのか?
「お客さんあってこその試合『濱田の試合は他の誰の試合よりも面白い』と思わせます」
──今回、対戦決定の際のコメントで「キックボクシングは、もうあと何戦かしかやりません」という発言がありました。これは?
「まだちゃんと発表はしてないんですけど、MMAに挑戦したいと思ってまして。だからキックはあと何戦かということですね」
──そうなんですか。その理由は?
「もっと総合的に強くなりたいと思っていて、使える技の多いMMAが実戦的に強いんじゃないかと。変な話、リング外で戦った時にはMMAの技術の方が使えるんじゃないかと思って、ちょうど1年ぐらい前からパラエストラ柏と松戸に行かせていただいてるんです」
──そうなんですね。
「MMAをやっていると新しい技を覚える感覚が引き金になって、格闘技を始めた頃のことを思い出して楽しくなっちゃって。それで本格的に挑戦したいなと思うようになりました。来年には試合に出られたらいいなと思ってます」
──先ほど「リング外で戦った時」という言葉がありましたが、それはストリートファイトということですか?
「はい。自分は体が小さいので、ケンカとか売られた時に……まあ、本当にやりはしないんですけど、そういう時に対抗できるような強さを身につけたいなと思って。何でもできる人間になりたいと思ってて、MMAだけじゃなくてジークンドーだとか、そういうのもいろいろやってみたい、いろんな技を覚えたいと思って」
──実際、キックはあと何戦ぐらい出場するつもりですか?
「ハッキリ決めているわけではないですけど、少なくとも今年いっぱいはキックを頑張ります。その後は、状況次第によっては分からないですけど。今はとにかく、一戦一戦を大事にしていきたいですね」
──そうなると、今回の試合についてはどういうモチベーションでしょう?
「今言ったように一つひとつの試合を大事にするということで、勝ち負けも大事なんですけど、熱い試合をしたいなと思ってます。いい試合をして、宮田プロデューサーに『また濱田を使いたい』と思わせる試合をしたいですね。ベルトがほしいという気持ちもあるので、チャンスがあるなら獲りにいきたいと思います」
──ただ、現在は3連敗中ということになりますが。
「そうですね。まあ、自分の試合ができれば満足はするので、連敗ということ自体はそこまで気にはしてないんですけど。でも結果は大事だし、応援してる人に勝つ姿を見せたいというのはあります」
──そして、このところ試合間隔が空いてますよね。今回の試合が8ヵ月ぶり、その前も8ヵ月空いていて。
「そうなんですよ。ちょこちょこ試合のお話はいただいてたんですけど、コロナの状況もあったり、いろんな都合で流れちゃったりして。特にケガとかはないし、やりたかったんですけどね。タイミングさえ合えば、2~3ヵ月に1回ぐらいのペースでやりたいなとは思ってます」
──勝ち星的にも、早く試合をして払拭したいというところでは?
「はい。コロナで練習にも影響が出てたりしてたんですが、今はしっかりやれていて、準備は万端なので」
──今回は酒井柚樹選手との対戦です。印象は?
「もちろん以前から知っていました。以前はまっこムエタイ所属で『REBELS』にも出ていたので、いつかはやるかなと思っていたんですが、移籍して他団体に上がるようになったので、もう対戦の機会はないのかなと思ってて。だから対戦のオファーが来たときはちょっと驚きました。小柄ですけど、前に出て戦ういい選手だと思ってます。彼となら面白い試合を作れそうだなと思って、受けさせていただきました」
──なるほど。
「対戦相手にはリスペクトを持って試合するようにしてるんですよ。ナメて試合をすると相手のいいところも見えないし、返り討ちに遭う可能性もあるので。今回も相手の強さをしっかり認めて、練習や対策に取り組んでます。リスペクトなしでは強くなれないので」
──どう戦ってどう勝ちたいですか?
「作戦とかは特にないんですけど、試合をする時に心がけていることがあって。それは、必ず盛り上がる試合をするということなんです。お客さんをどう楽しませるかということを意識して戦っています。興行というのはお客さんあってのものだと思うし、そのお客さんが求めるものを提供しなきゃいけないので、常にノックアウトを狙って、前に出て戦ってます」
──今回もそういう試合をすると。
「お互い守り合ってる試合なんてお客さんは面白くないし、『濱田の試合は他の誰の試合よりも面白いな』と思ってもらえるのが一番ですね。今回もお客さんを意識して、いい試合を見せられるように戦います」
──team AKATSUKIの良太郎代表からは、この試合について何か言われていますか?
「いえ、特にはないですね。僕の好きなようにやればいいという感じです。相手選手の映像などを見て、『こうしてくるから、こうしよう』というような話はしてるんですけど、ある程度は僕が決めて、そこに代表がアドバイスをくれるという形になってます。ある程度、自分で考えて戦ってます」
──では今回の試合で、一番見てほしいポイントは?
「動きがどうとかじゃなくて、『コイツ、ガンガンいくな』『熱い試合をするな』と思ってもらえたらいいと思ってます。僕自身を見てほしいというか、攻める姿勢、気持ちを感じてもらえたらいいですね。その上で、今回は必ず勝った姿を見せたいと思います」
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酒井はムエタイをベースに持ち、ジュニア時代には那須川天心、武居由樹、西京春馬・佑馬と対戦。RISEを主戦場として2020年9月にはWPMF世界スーパーフライ級王者・片島聡志と引き分け、12月には5冠王の鳩とも引き分けている。戦績は6勝(1KO)10敗3分。
TEPPEN GYMに移籍して約2年、基礎から鍛え直されたという酒井は、勝ち星からはしばらく遠ざかっているものの、確実な手応えを感じているという。今回、初参戦の『KNOCK OUT』で日々の努力を開花させることはできるか?
「何が何でも勝つ。勝った時の、あの最高の瞬間を再び!」
──今回、『KNOCK OUT』には初参戦ですよね。
「はい。『REBELS』には4年ぐらい前に出てたんですけど、『KNOCK OUT』には初めてになります」
──今回は濱田巧選手との試合ですが、印象は?
「基本に忠実な選手ですよね。その中で、たまにバックブローを打ったり」
──ご自分としては、どう戦おうと?
「終始自分のペースでやりたいですね。今は濱田戦に向けての対策というより、自分に足りないものを補うような練習を心がけています」
──直近2試合はドローで、しばらく勝ち星からは遠ざかっていますよね。その中で考えていることは?
「自分が思っているのは、『面白い試合をしたい』とかそういうことじゃなくて、変な話つまんない試合になっても、勝ちにいきたいということですね。前回も前々回も、『何が何でも勝つ』というつもりでやってはいたんですけど、勝ちたいという度合いが少し足りなかったのかなと思って」
──TEPPEN GYMに移籍されて2年近く経ったと思いますが、主戦場が変わったりする中で、移籍してからの一番の変化はどういうところでしょう?
「本当に基本的なところから見てもらったというか、直されたというか。変な話、ワンツーから直されたんですよ。本当に基本って大事だなと思って、教えてもらったことを一つひとつクリアしていってます」
──その指導は那須川会長から?
「会長からだったり天心からだったり、あとタイ人のトレーナーもいるので。選手同士でも意見交換をしたりしてます。その中で自分のジャブ一つにしても、顔に打ったり胸に打ったりとか、いろんな種類を学んで奥深さを感じたりしています」
──では、けっこう根底に近いところから変わってきた感じなんですね。
「そうですね。一からというよりはゼロからという感じで。前のジムでも一生懸命やっていたつもりだったんですが、TEPPENに来て、以前は相当甘かったんだなということを痛感しました。練習量もそうですけど、格闘技に対する考え方だったり、練習以外での過ごし方だったりとか、そういう部分からすごく変わりました」
──酒井選手が移籍されたのは、いろんなところからTEPPEN GYMに選手が集まったタイミングでしたよね。それは大きな刺激になったのでは?
「はい。強い選手ばっかりだったので、同じ空間で一緒に練習していると、すごくいい刺激になります。意見交換一つにしても、メチャクチャためになるなと思います」
──その成果が、そろそろ開花する時期?
「じゃないと困るっすね(笑)。自分でもだいぶ手応えはありますし、前回の試合も結果的にはドローだったんですけど、『自分で思ってたよりはできるんだな』と思えて、少し自分に自信が持てました。もっと足りないものを補ったり、いいところを伸ばしていけば、まだまだやっていけるなと。自分を信じるしかないんで」
──そういう感触の中で『KNOCK OUT』という新天地に乗り込むのは、いい流れですね。
「はい、自分でもちょうどいいタイミングだと思います。自分はもう失うものは何もないし、上がるだけなので」
──では今回の試合の、一番のテーマは?
「『自分に勝つ』ですかね。試合は自分との勝負だと思ってるんで。そのためにも、1回1回の練習で、スパーリングでも1ラウンド1ラウンド、相手にだけじゃなく自分にも負けないという思いで臨んでいます」
──階級とルールについてはどう考えていますか?
「自分の適正体重は51kgなんですよ。前回は53kgでやってたんですけど、今回は52.0kgということで」
──今回はスーパーフライ級で52.0kgリミット。『KNOCK OUT』ではその下のフライ級が50.5kgに設定されていますね。
「だから本当は51kgでやれるのがいいんですけど、そのあたりの階級が盛り上がるように試合をしたいと思いますね。ルールで言うと、自分はヒジも首相撲もあまり好きではなくて、それがない方が自分自身も楽しめる感じです。だから今回のBLACKルールはちょうどいいです」
──今回の試合で見てもらいたいところは?
「自分の試合を見て、『勇気づけられた』とか『熱くなった』とか、何かしらプラスに捉えてもらえたらと思うんですよね。そういう試合ができて勝てれば最高です」
──今回は特に、リング上で勝つ喜びを得たいという思いが強い?
「メチャクチャ強いですね。勝つために練習するのは当たり前ですけど、それだけじゃなくて、勝つために毎日の全てを過ごしてるんで。試合まで追い込みとかキツいですけど、やっぱり勝った瞬間の、喜びもありますけどプレッシャーから解放される感じ、みんなから『おめでとう』『おめでとう』と言われるあのやりとりがたまんないですね。キツい時はあの瞬間を想像しながら乗り越えているので、そのために、勝ちたいと思います」