左ミドルキックをミットに蹴り込む壽美。今までの全てをこの一戦にぶつけると意気込んだ
2021年4月23日(金)東京・後楽園ホール『Krush.124』にて、「第5代Krush女子フライ級王座決定トーナメント」の決勝戦(王座決定戦)を真優(月心会チーム侍)と争う壽美(NEXT LEVEL渋谷)が13日(火)都内所属ジムにて公開練習を行った。
壽美はKHAOSとKrushで3連勝をあげて2019年8月にヨセフィン・ノットソンと対戦したが、判定で敗れた。12月のK-1初代女子フライ級王座決定トーナメントのリザーブマッチでは真優に判定勝ち、2020年6月のKrushでNA☆NAに判定勝ち。そして11月のK-1で女王KANAを破る大番狂わせを演じ、一躍脚光を浴びる存在に。今年1月のトーナメント準決勝では芳美に勝利して決勝へ駒を進めた。戦績は10勝(2KO)4敗。
公開練習では元WMCインターコンチネンタル女子スーパーフライ級王者グレイシャア亜紀の持つミットに、左フックのダブル、左ミドル、前蹴り、ヒザ蹴りなどを放って行った。
「追い込みの真っ最中でけっこう疲れていて。でも疲れているということはちゃんとできているってことだと思って。金曜日までやり切ってベストコンディションでリングに上がれる準備が着々と進行中です」と、疲れていると言いながらも笑顔満開の壽美。
準決勝の芳美戦を振り返り、「本能むき出しになりすぎて冷静さにかけてしまったので、準決勝の前に自分が見れたのでそこから反省点を見つけて学ぶことが多かったので練習につながりました」と、反省点が見つかった試合だったという。
いろいろなことを試しながら戦っているようにも見えたが、「自分としては相手の顔ばかり狙っていた気がして。ジムでやっていた練習が何割出ただろうって感じでした」と不満の様子。今は「ただやるだけじゃなく、こなすだけじゃなく、頭を使ってやる練習もしています。気持ちが大事なのでどれだけ自分に厳しくできるかがリングに現れるので、王者になるために妥協のない毎日を過ごしています」と自分に厳しくしている。
真優については「気持ちが強くて前へ出てきて、前蹴りが嫌な印象がありました。でも前回の対戦は1年以上前で別人が来ると思っているので、新たな人と戦う気持ちです。、自分も全部成長していると思います。あの時の自分はいません。別人」と、お互いに別人になっているとの評価。
「真優選手のことを一番に考えているけれど、勝って王者になると常にベルトのことを考えています。アマチュアの時から憧れていたベルトなので想いは大きいです。凄い緊張とかもあるけれど、そこも含めて自分は王者になりたいんだなって思いますね」と、Krush王座にはかなりの思い入れがあると力説する。
「格闘技を本気でやると決めた時から絶対に王者になると決めました。今回ベルトが懸かっているから頑張るんじゃなく、前から王者になりたい気持ちでやって来ました。最初は親にも反対されてしまっていたんですが、応援してもらえるようになって、格闘技をやると決めたからには、中途半端は絶対に嫌。本気でやると決めたんです。だから今までの全部を出そうと思っています。絶対に王者になりたい」
そのためのイメージトレーニングは欠かさず、「いろいろな勝ち方をイメージしています。走っている時にこうやってこうやって勝つってイメージしながら走っています。寝る時もイメージしています。負けるイメージは絶対にしない。勝ってインタビューを受けているところや、喜んでいるイメージばかりしていますね。もう100戦100勝はしています(笑)。1日中考えていますね」とスーパーポジティブだ。
それこそ「マイクで喋っているところまで考えています。とにかくみんなに感謝を伝えたい。ここまで来るのにジムの人たちも家族も友だちも応援の力が凄くて。思いっきりリングの上でバーンと感謝をしたいです」と、勝利のマイクまでイメージできているという。
「王者って強いだけじゃなく、人としてもキラキラしている。温かくて優しくて、壽美と話すと元気もらえるよねって、そう思ってもらえる王者が理想とする王者。ジムの先輩も王者だったからこそ、自分もこうなりたいと思って。強いプラス心だと思っています。人間として心も成長できたらと思っています」と理想の王者像を語る。そう考えるのはジムの先輩たちの姿を見てきたから。
「グレイシャアさんを始め先輩方、みんなで凄い親身になって考えてくれるので、そういう面でも自分一人で勝ちに行くんじゃなく、周りが素晴らしすぎて。サポートしてくれるから、そういうのが大きいです」
その中で、かつてKrushにも上がっていた先輩の紅絹が3月28日に引退を表明した。そのことについて聞かれると、それまでニコニコしていた壽美の目から涙が溢れ出た。
「あの日、紅絹さんと約束したんです。私が絶対に王者になるからって。紅絹さんは『私は引退だけど壽美が王者になる姿を見ていたい』って言ってくれて…だから王者になると決めました」
真優はトーナメント開始時に「自分はこの4選手の誰よりも一番華がある」から王者にふさわしいと言い放った。そのことについてどう思うかと聞かれると「華はいらない。私は強さと心だと思っています」ときっぱり。
そして「私が格闘技を始めてからやり続けてきたことをリングで爆発させて勝って、必ずベルトを巻きます」と力強く宣言した。