キックボクシング
インタビュー

【ONE】ワンダーガールを前のめりにダウンさせた“真に驚くべき”ジャッキー・ブンタン「4オンスで誰かを殴るって、気分いいね」

2021/02/27 19:02
【ONE】ワンダーガールを前のめりにダウンさせた“真に驚くべき”ジャッキー・ブンタン「4オンスで誰かを殴るって、気分いいね」

(C)ONE Championship

 2021年2月26日(金)シンガポール・インドアスタジアムでONE Championship「ONE:FISTS OF FURY」が開催され、スタンプと同門の連勝中の女子新星ワンダーガール・フェアテックス(タイ)が、スタンプを破ったアトム級キックボクシング世界王者ジャネット・トッドの練習パートナーのジャッキー・ブンタン(米国)に敗れる波乱があった。

▼第2試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R
×ワンダーガール・フェアテックス(タイ)56.60kg
[判定0-3]
〇ジャッキー・ブンタン(米国)56.35kg

 ABEMAで解説を務めた朝陽P.K.センチャイムエタイジムをして、この日「最も印象に残った」というブンタン。当初、朝陽は「女子でも巧みにヒジを使うワンダーガールに注目」していたが、そのワンダーガールを左フックで前のめりにさせてダウンを奪ったブンタンを、「出入りが凄い。相手が入って来たところをよく見てパンチを当てて、相手が来そうとなったらフェイントをかけて避けたり」と技術の高さと、ハードパンチを絶賛した。

 ABEMA解説の大沢ケンジも「ほんとうはワンダーガールを勝たせたかったんじゃないかな。ONEはこの選手を連れてきて良かったのか……」と苦笑するほどの強さを発揮したブンタン。今回はオープンフィンガーグローブのムエタイルールだったが、キックルールでも強いかもしれないの問いに朝陽は「そうですね。首相撲を見せずに勝ったので」と、キック部門での活躍も期待を寄せている。

 スタンプと同門のワンダーガールは、2020年7月のONEデビュー戦で1R KO勝利。前に出て戦うアグレッシブファイターで、組み付いてのヒザ蹴りが得意だが、タイガージムのブルック・ファレルを相手にパンチ主体の圧倒的なKO勝利を見せた。8月の第2戦ではKC カルロスもヒジ&ヒザ蹴りで圧倒して2RでTKO勝ちを収めていた。

 対するブンタンは米国・カリフォルニア州ロサンゼルス出身で、20勝5敗という戦績を引っ提げてONEとの契約を獲得。ジュニア時代には国際アマチュアムエタイ連盟(IAMTF)フェザー級王者などのタイトルを獲得し、シニアではカリフォルニア州のムエタイ王者にも輝いた。また、『SHEfights』など、1日で優勝者を決める形式のワンナイト・イベントも何度も制覇しているという。

 試合後、メディアの取材に応じたブンタンに訊いた。



──ONE2連勝中のワンダーガールを、見事に破りました。試合を終えた率直な感想をお聞かせください。

「110パーセント完璧にゲームプランどおり、戦略どおりにできました。今日彼女がどうしてくるか、全て予想通りでした。何か違いはあったかというと、前2試合から見る限り、もっと勢いよく出てきてストレートを出してくると思っていた部分はあったんだけれど、今回、彼女はちょっと慎重というか弱気だったの。とはいえ特に何も気になることはなくて、ゲームプラン通りにやっただけ」

──ワンダーガールを弱気にさせたのは、ONEデビュー戦であなたが強さを見せたからではないでしょうか。

「夢みたいで、ウォームアップルームから、自分の試合がきたという表示を確認して出てきて、入場するのがあっという間。サークルのなかに入ってグローブをタッチしたら、今度は時間がゆっくりとしてきて家にいるみたいに落ち着いたの」

──初めてのサークルケージでも落ち着いていられたと。

「サークルケージで戦うのは初めてで、ジムにもリングしかないからケージでのスパーリング自体が経験豊富ではなかった。ケージを背負ったときに後ろ足をとらわれないようにケージの中央に戻るようにするのは気をつけていたの。

 もちろんいつだってちょっと緊張はするものだけど、今回はたしかにそうだった。こんな大きな興行団体で、ジャネット(トッド)の最初の試合で(セコンドとして)ここに足を踏み入れてから、彼女がものすごい観客のなかで脚光を浴びて、多くのメディアのカメラが一気にフラッシュをたくのを見ていたから、多少の緊張はあったわ」

──ワンダーガール選手は168cmに対し、ブンタン選手は162cmで、いつもワンダーガールは対戦相手とのレングスの差を生かした戦い方をする。そういう相手を想定した誰かとトレーニングをしてきた?

「彼女が私よりめちゃくちゃ身長高いってほどの差ではないことはわかっていて、数インチ差というのは経験の範囲内だし、リーチ差だったり身長差が問題になるとは思わなかった。意識したのは、手を出すときには、片足だけでなく両足を使ってステップで踏み込むようにして手を出していくということだった。それがハマった」

──左フックはゲームプラン通り?

「まさに。両サイドからフックをチェックして、サウスポーで行ったら同じことをオーソドックスでも出す、ということを練習してきて、さっき、彼女がまっすぐ出てくると思っていたと言ったけれど、そういう状況をしっかり想定して、彼女がストレートで来るのを待ってフックをチェックするつもりだった。私のスピード、タイミング、フェイントといったものが、彼女にとって厄介で、私の手数のほうが多くなったと思う」

──セコンドのブライアンからは何か言われていた?

「まずゲームプランがあるんだけど、今回デビュー戦で、初めての印象っていうのはその1回きりしか味わえないものだから、LAから何も残さないなんてことはありえないから、『ジャッキーができる全てのことを、ここでやってみせるんだよ』って言われて。自分としては、そうできたかなって思ってる」

──今日の試合で観客もONEも驚かせたのでは?

「ええ。アンダードッグだったってことは全然よくって、そのことで嫌な気分になったりはしなかったし、でも、これで名前を刻めたと思うし、覚えてもらえたんじゃないかな。だからまたここに戻ってくるのが楽しみ」

──4オンスのグローブについてはどうですか?

「自分のコンディション含めて強さというのが高まっていくなかで、特に拳に関して強さを感じていたことだから、実際この試合が4オンスていうのは良かったし、2019年から4オンスでスパーリングしてきてたの。それってジャネットがスタンプと最初に試合するときのことなんだけど、それは、MMAグローブだからっていうことに他ならない理由で。ともあれ、4オンスで誰かを殴るって、気分いいね(笑)」

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