“最強階級”UFCヘビー級戦線が動いている。
2021年2月20日(日本時間21日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて「UFC Fight Night: Blaydes vs. Lewis」が行われ、ヘビー級4位のデリック・ルイス(米国)が、同2位のカーティス・ブレイズ(米国)を2R KO。
さらに、2月27日(日本時間28日)に、同4位のジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)と7位のシリル・ガーヌ(フランス)が対戦。続けて3月27日(日本時間28日)の「UFC 260」では、王者スタイプ・ミオシッチ(米国)と1位のフランシス・ガヌー(カメルーン)のタイトルマッチも決定しており、上位陣に動きが見られそうだ。
2月20日、ブレイズを2R、右アッパーでKOしたルイスは、試合後、ジョン・ジョーンズ、スタイプ・ミオシッチとの対戦をアピール。さらに因縁のアリスター・オーフレイムを挑発している。
また、2月27日に、ガーヌと対戦する元RIZINファイターのホーゼンストライクは、24日の会見で「もちろん今回の試合も勝ちたいと思っている。ただ、今後については、タイトルマッチを争う前にもっと試合をしたい。新型コロナウイルスのパンデミックのために、オクタゴンに戻るのに少し時間がかかったからね。今はタイトル争いの準備ができていない。ジョン・ジョーンズが先に挑戦することが可能だよ」と、王座挑戦には時間が必要、と答えた。
誰が次期王座挑戦に相応しいか。
二階級制覇を目指す元UFC世界ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズ(米国)について、ダナ・ホワイト代表は「ミオシッチとガヌーのタイトル戦の勝者とジョン・ジョーンズは戦うことになるだろう」と語っているが、デリック・ルイスの衝撃的なKOに、2018年にルイスと拳を交えたダニエル・コーミエーは、「ヘビー級で最もパワフルなのは、フランシス・ガヌーではなくデリック・ルイスだ」と、太鼓判を押している。
ルイス(米国)がブレイズ(米国)をKOに下した試合を振り返りながら、ヘビー級戦線を占おう。
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▼ヘビー級 5分5R〇デリック・ルイス(米国)[2R 1分26秒 TKO]×カーティス・ブレイズ(米国)
MMA14勝2敗のブレイズは、これまで黒星はフランシス・ガヌーに2度敗れたのみ。NJCAAのヘビー級で優勝を果たすなどオールアメリカンレスラーながら、MMAでは4つの判定以外は、すべて打撃でのKO勝ちというハードパンチャーでもある。現在30歳。2018年11月のガヌー戦の1R TKO負け以降は、ジャスティン・ウィリス、シャミル・アブドゥラヒモフ、ジュニオール・ドス・サントス、アレキサンダー・ヴォルコフ相手に4連勝中(2TKO)だ。
2位のブレイズが勝てば、3月27日(同28日)の「UFC 260」で行われるUFC世界ヘビー級選手権試合スタイプ・ミオシッチ vs. フランシス・ガヌーの勝者への挑戦に近づくだろう。
対するルイスは、公式HPに“ザ・ブラック・ビースト”と異名がつけられる喧嘩屋。7人兄弟の母子家庭で育ち、継父に虐待される一方でストリートファイトに明け暮れたという。元ボクシング世界ヘビー級王者のジョージ・フォアマンにボクシングの腕を見込まれ、車を買い与えられなど寵愛を受けてボクシングに誘われるも、2010年にMMAデビューすると、フォアマンに車を返却してMMAに専念したという逸話を持つ。
元Legacy FCヘビー級王者でMMAは25勝7敗。36歳でUFC16勝5敗と大きく勝ち越しており、2015年10月以降は、マーク・ハント、ダニエル・コーミエー、ジュニオール・ドス・サントスにしか敗れていない。JDS戦以降、ブラゴイ・イワノフ、イリル・ラティフィ、アレクセイ・オレイニク相手に3連勝中だ。
1R、ともにオーソドックス構え。ステップを踏むブレイズにルイスはどっしりとした構え。その前足に右ローはブレイズ。大きな右を打ち下ろしてステップインすると、そこにルイスもカウンターの右で頭から突っ込んで前進。
思わず大きく離れるブレイズ。サウスポー構えに変えて近づくとオーソに戻してワンツー。やはりそこにカウンター狙いはルイス。じりじりと詰めるブレイズは遠間から左ジャブで牽制。
頭を下げて左右を振るルイスの打ち終わりに右を当てるブレイズ。さらに右ローを当てて詰めると、右ヒジ打ち、さらに右ロー。しかし、その打ち終わりをルイスは右で狙う。右カーフキックを打つブレイズ。ワンツーの打ち返しに来たルイスをかわして右ローを当ててバランスを崩させるブレイズ。さらに左ボディストレート。頭を下げたルイスに跳びヒザも狙う。
金網に詰めて左ジャブを刺すブレイズ。さらに右ローと上下対角に散らす。右ストレートを当て、左フックに、半身になるルルイス。その背中を追い、スタンドバックにつくブレイズだが、左がオープンハンドでアイポークとなりブレーク。再開。ルイスは左の蹴りでブザー。
2R、一瞬、集中力が途切れたような姿勢を見せたルイスだが、今度はルイスの左がオープンハンドで前に指を向け注意を受ける。詰めるブレイズはルイスの右の打ち終わりにワンツーで詰めてダブルレッグへ。シングルレッグに切り替えると片足立ちのルイスは足を引き、首相撲に。それを押し込んで切るブレイズ。離れ際に右ヒジを振る。
サークリングでかわすルイス。互いに距離を取り、ブレイズは頭を下げて右のフェイクからタックルへ。そこにルイスは、同時に沈み込んでからカウンターの右アッパー! もんどりうって後方に倒れたところにルイスは覆いかぶさり右のパウンド2発! 慌ててハーブ・ディーンレフェリーが間に入った。勝利のドラミングで胸を叩き、マットを這って歓喜したルイス。
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試合後、ルイスは、マイケル・ビスピンのインタビューに、「起きてなかったんだよね。1R目、2ラウンド目はまだウォームアップというか仕上がってない感じがしてなかなかうまくいかなかった。身体が離れたところで死んじゃってたような感じがしたんだ」と序盤はエンジンがかかっていなかったと振り返った。
続けて、KOシーンのVTRを振り返りながら「この試合で唯一、待っていたパンチだった。レスラーの彼が出てきたところでアッパーカットかヒザを待っていたんだけど、ワン・ツーとかジャブとか他に注力することはなかったんだ」と、ブレイズのテイクダウンに合わせた右アッパーは、狙いすました動きだったと明かした。
また、今後については、「ジョン・ジョーンズが来ると聞いていたので、タイトル戦をやるってなっても意味のあるものになってくるんじゃないか。イジー(イスラエル・アデサニヤ)がいずれ上げてくるってのも確かだろうし、様子を見ておくよ」と、階級を上げてくるJJにも興味があるとした。
なおもビスピンから「ミオシッチ、ガヌー、今、名前を挙げてくれたジョン・ジョーンズ、なかでも戦いたいのは?」と問われると、「まぁ、スタイプかなあ? ああいうレスラーは好きだよ」と、小さな笑みを浮かべて答えた。
しかし、その後の会見では、王座戦線よりも、挑発合戦を繰り広げた因縁のアリスター・オーフレイムとの対戦を希望した。
「俺は自分からトラッシュトークはしない。言ってくるヤツがいたら言い返すだけだ。だから次は、アリスター・オーフレイムと対戦したい。ヤツが前の試合で負けたことは気にしていない。彼は“レジェンド”だろ。この3年で4度、対戦を断られたけど、今度は断らないだろう。最近、ヤツは頭にパンチもらい過ぎてるから、今夜起こったこと(ブレイズをTKOしたこと)も忘れているだろうしな」と、事前会見でも名前を挙げていたオーフレイムにあらためて宣戦布告した。
2018年6月にブレイズにTKO負けしているアリスターだが、その後、4勝2敗と勝ち越し。2016年以降の黒星はミオシッチ、フランシス・ガヌー、ブレイズ、ホーゼンストライク、アレクサンダー・ヴォルコフのみ。果たして、デリック・ルイスvs.オーフレイムは実現するか。
2月27日(日本時間28日)には、3位のホーゼンストライクと7位のシリル・ガーヌが対戦することになっており、その勝者とルイスとの対戦も考えられる。
ルイスは「どれだけ俺がアンダードッグであろうとも、俺に賭けるべきだ。どれだけ追い込まれても俺は勝つ」と、ブレイズ戦同様に、アンダードッッグでも今後も自分にベットした方がいいと、自信を語っている。
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2R早々のTKO劇に、ルイスの剛腕をあらためて評価するのは“DC”ことダニエル・コーミエーだ。コーミエーは、2018年11月の「UFC 230」でルイスと対戦し、2Rにリアネイキドチョークで一本勝ちしている。
「ESPN MMA」の「DC&Helwani」でコーミエーは、アリエル・ヘルワニ記者に「試合前に俺がデリック・ルイスのことを『一番パワーがある選手』と評したことに、みんな『一番はフランシスだろ! フランシスが一番でデリックは二番だろ!』って反論されたけど、俺が言いたいのは、フランシス・ガヌーがデリック・ルイス戦であんな躊躇したような試合になったことには、ちゃんと理由があるんだよってこと」と、ルイスのポテンシャルについて説明した。
「ガヌーのあんな戦い方は初めてだったろ? スタイプからオーフレイムに至るまで、あらゆる対戦相手に対してフランシスはただただ露骨に相手を軽視するというか、相手の力を無視して猪突猛進するわけで。彼がデリック・ルイスを相手に膠着するのは、自分にそのパワーが跳ね返ってきてしまうからなんだ。というわけで、デリック・ルイスにはヘビー級の誰にも負けないパワーがある。フランシス・ガヌーといえど、と考えるのはおかしくないはずだ。KO数で言えば、デリック以上の力を持つ選手はいない。他のやつが彼よりパワーがあると、どうして言えるの? 現実的に考えてさ」と、ルイスがヘビー級において最もパワフルなファイターだと力説していた。
現在、UFCヘビー級ランキングは、王者スタイプ・ミオシッチを筆頭に、以下の順位づけとなっている。
王者 スタイプ・ミオシッチ(米国)※3.27 vs.ガヌー1位 フランシス・ガヌー(カメルーン)※3.27 vs.ミオシッチ2位 デリック・ルイス(米国)※前戦ブレイズに勝利3位 カーティス・ブレイズ(米国)※前戦ルイスに敗北4位 ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)※2.27 vs.ガーヌ5位 アレクサンドル・ヴォルコフ(ロシア)※前戦アリスターに勝利6位 アリスター・オーフレイム(オランダ)※前戦ヴォルコフに敗北7位 シリル・ガーヌ(フランス)※2.27 vs.ホーゼンストライク8位 シャミル・アブドゥラヒモフ(ロシア)※5.1 vs.サカイ9位 アウグスト・サカイ(ブラジル)※5.1 vs.アブドゥラヒモフ10位 クリス・ドーカス(米国)※前戦オレイニクに勝利11位 ウォルト・ハリス(米国)※前戦ヴォルコフに敗北12位 ジュニオール・ドス・サントス(ブラジル)※前戦ガーヌに敗北13位 セルゲイ・パブロヴィッチ(ロシア)※前戦グリーンに勝利14位 ブラゴイ・イワノフ(ブルガリア)※前戦サカイに敗北15位 マルチン・ティブラ(ポーランド)※前戦ハーディーに勝利
3月27日(日本時間28日)の「UFC 260」では、王者ミオシッチと1位のガヌーが2018年1月以来、約3年ぶりの再戦が決定。その勝者に挑戦するのはルイスか、ホーゼンストライクvs.ガーヌのどちらかか。それとも、ヘビー級転向を表明したジョン・ジョーンズになるのか? 注目のヘビー級戦線だ。
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【セミメインイベント】
▼女子バンタム級 5分3R〇ヤナ・クニツカヤ(ロシア)135.5lbs/61.46kg[判定3-0] ※29-28×3×ケトレン・ヴィエラ(ブラジル)138lbs/62.60kg※ヴィエラは体重超過。クニツカヤに報奨金の20%を支払う
◆ヤナ・クニツカヤ「アスペンともう一度試合できたら」
「ジャッジがどう判断したかは別として、試合自体にはもちろん勝ったと思っていたわ。すべての試合に特別な意味があるし、今回の勝利もキャリア最大の勝利だと思っている。相手は女子バンタム級ランク上位にいる選手だし、王者になれるだけの力を持った選手だと思う。自分としては、相手が誰であろうと試合できるだけの準備を重ねてきている。
問題は気持ちの持ちよう。UFCが誰と試合を組もうと全力で試合するのが私の役目。また切り替えて次の試合に挑むのみだわ。アスペンとの試合では実力が出し切れなかった気がする。もう一度彼女と試合できたら嬉しい」
【メインカード】
▼フェザー級 5分3R〇ダリック・ミナー(米国)[判定3-0] ※30-26, 29-27, 30-27×チャールズ・ローザ(米国)
ダリック・ミナー「相手は誰でもいい。ノーとは言わない」
「ゲームプラン通りにいった。タフな相手だし、ハードな試合だった。こうなるだろうというのは分かっていたしね。勝利を得るためにやるべきことをやった。試合がしたい。相手は誰でもいい。試合にノーとは言わない。今年は3試合か4試合できればと思っているし、この勢いに乗っていきたいんだ。ここからどんどん良くなるだけ。
誰でもかかってこい。常にフィニッシュを狙っている。退屈なのは嫌いなんだ。試合して勝ちたい。ファンのために楽しませたいしね。家族のために頑張っているし、自分にとってはこれが最高の方法だと思っている」
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▼ヘビー級 5分3R〇クリス・ドーカス(米国)[1R 1分55秒 TKO]×アレクセイ・オレイニク(ロシア)
◆クリス・ドーカス「この階級にいる95%のファイターよりパンチ力があると思っている」
「今はヘビー級に注目が集まっているからね。この機会を逃さないつもりで試合に挑んだよ。これでやっとランキングにも食い込むことができた。試合内容としてはもう少し改善できるポイントは何点かあったと思う。相手は見た目通り力も相当強い。でも、俺のパンチ力を油断したらそこまでだ。もちろんグラウンドでの実力も今後披露していくつもりだけどね。
この階級にいる95%のファイターよりはパンチ力があると思っている。これが今年初めての試合になったけど、あと2回は今年中に試合したい。一気にランキング1位か2位まで駆け上がって2022年にはタイトル戦に出場したい」
▼ミドル級 5分3R○フィリップ・ハウズ(米国)[判定2-0] ※29-28×2, 28-28×ナッソーディン・イマボフ(フランス)
◆フィリップ・ハウズ「3R戦えることを証明した」
「最高さ。今回の試合は18秒のノックアウトよりも、もっと多くの意味がある。しっかりと調べないといけない試合だ。自分の経験にかなり役立つはず。ナッソーディンのようなタフな対戦相手とやって、こういう結果は嬉しい。相手の覚悟が決まっていた。エルボーもかなり打ってきていたしね。3Rにはちょっと押し込まれたけど、なんとか踏ん張った。ナッソーディンがタフなのは分かっていたこと。ノックアウトしたかったけどね。ストレングスもコンディショニングもかなりやってきたし、とにかく相手に俺がここにいるんだってことを分からせたかった。
生きている実感がある。試合後、俺が走り回っていたのを見たと思うけど、とにかく嬉しくて。3Rを戦ったことは一度もなかったからね。自分のキャリアにとっては新しい経験だ。UFCに自分が世界で一番だってことを示すチャンスをもらえたことは恵まれていると思っている。今回の試合は、自分がすでにチャンピオンになっているかのように思いながらアプローチした。順位を与えられても意味はない。ベルトがほしい。思いはぶつけられたと思う。自分が3R戦えるのかって言われていたのは分かっている。いくつかの疑問には答えられたはずだ。ちゃんとした相手を用意してもらえるまで、そういう疑問に答え続ける。できるだけ早くオクタゴンに戻りたい」
▼ヘビー級 5分3R〇トム・アスピナル(英国)[2R 1分09秒 リアネイキドチョーク]×アンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)
◆トム・アスピナル「多く戦ってきた人と試合をすると、それが自分の一部になる」
「1週間ずっとホテルでビビっていた。おっかないヤツだよ。アンドレイ・アルロフスキーが怖い。そう言っても問題ない。俺は彼を長い間観察していた。かなりよく観察したから、彼が行動する前に何をしようとしているのかほとんど分かっていた。自分にとってはとても大事なことだ。関節技でフィニッシュできるとは思っていなかった。予想していなかったことだよ。すぐにノックアウトするか、ポイントで相手を倒すだろうと思っていた。すごく満足しているけど、パフォーマンスにはあまり満足していない。取り組むべきことがたくさんあるけど、俺には長い時間がある。全て問題ない。
正直言うと、もっとベテランと戦いたい。今日は多くのことを学んだ気がする。たくさんの相手と戦ってきた人と試合をすると、それが自分の一部になる。今日の試合で多くを学んだし、次はもっと良くなる。30秒で誰かをノックアウトするのは最高だけど、そこから学ぶことはあまりない。別の経験豊富な人と戦いたい。俺はずっと柔術をやっている。父は英国で最初の黒帯保持者の1人だ。俺が(試合で)それをやっていないからといって出来ないわけじゃない。俺は高いレベルの柔術が出来る。出来ないと思わせておけばいいさ。そうすればびっくりするだろうからね。今日は打撃が不調だった。理由は分からない。ただ今日はうまくいかなかった。相手がベテランだからかもしれないし、それほど簡単に打撃が打てなかった。分からないけど、俺にとってはまだ日が浅い。改善する時間はたっぷりある」
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【プレリム】
▼フェザー級 5分3R○ジャレッド・ゴードン(米国)150lbs/68.04kg[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×ダニー・チャベス(米国)145lbs/65.77kg※ゴードンは体重超過。チャベスに報奨金の30%を支払う
◆ジャレッド・ゴードン「カーフキックのことが気がかりでしょうがなかった」
「最高だよ。一息ついて、フィアンセに会いに帰れる。試合に挑む時はいろんなことを考えてしまうんだ。カーフキックのことが気がかりでしょうがなかった。ただ、結果、向こうに蹴られるよりも俺の方がカーフキックを食らわせていけたのは奇妙な気がする。だって向こうの方がストライカーで、俺はグラップラーだからね。でも俺の方が打撃を当てているし、ダメージも与えている。テイクダウンすれば相手は起き上がれない。一度、返されたけど、それでも押し込み続けられたからうまくできた。
グラウンド&パウンドもいい感じだったはず。そこがいい出来だった。最高だよ。やっと勝利街道に戻れた。この数年はしんどかった。スマートに戦っていきたい。これはビジネスだし、長くやっていきたいから。上の階級でランカーたちと戦うことで飛躍を目指したけど、うまくいかなかった。今はとにかくアクティブでいたいと思っている」
▼バンタム級 5分3R〇ジョン・カスタネーダ(米国)[1R 4分44秒 TKO]×エディ・ワインランド(米国)
◆ジョン・カスタネーダ「2回も泣いてしまった」
「ワインドランドのような相手にTKOなんて信じられない。今回は直前のオファーだったけど、言い訳はなし。常に準備を整えておくべきだからね。でも、スタイルやマインドセットなど、トレーニングしてフルキャンプを終えるのとは違う。もうホッとしたってもんじゃないよ。試合前の緊張っぷりは別レベルだったから。こんなに緊張したことは今までないと思う。
チームのために冷静でいようとしたけど、今日はヤバかった。2回も泣いてしまった。非現実的だよ。このスポーツで経験する感情はクレイジーそのもの。もっともっと力がある。まだ自分の力は少ししか見せられていない。とにかく落ち着いて、もっと快適にやれるようにならないと。もっとうまくなりたい。スキルはあるし、トレーニングパートナーやコーチもいる。スポットライトの下でしっかりとパフォーマンスを発揮する必要があるだけ。今日は出来たし、これを続けていきたい。今年は忙しくしていたいね。特にこういう試合があると。ケガはしていない。健康を保って、すぐにでも戻ってきたい。来月でもいいよ」
▼フェザー級 5分3R〇ジュリアン・エローサ(米国)[1R 0分56秒 TKO]×ネイト・ランドワー(米国)
◆ジュリアン・エローサ「自分だって食らいついていけることを示したかった」
「あれはずっと考えてきた武器さ。他にもいろいろあったんだけどね。相手がかなり対等だから、ど真ん中に打ち込むか、ストレートパンチを放つかだった。ときどき、ループすることがあるから、ストレートな流れにしようと努めた。ずっと跳びヒザ蹴りを練習していたし、お気に入りのひとつ。彼が“ザ・トレイン”と呼ばれているのは食らいついてくるからだ。少しマタドール的にならないといけないけど、それと同時に自分だって食らいついていけるんだってことを示したかった。こっちも真っ向勝負できるんだってことをね。プレッシャーを与えてこようとするヤツらから逃げるつもりはない。俺たちは全員が戦っている。脅迫なんてものはない。ドッグファイトになるのは分かっていたし、15分間のバトルにしたいと思ってもいた。
ネイトには脱帽だけど、今日は俺が主役だ。(勝利街道に乗れるのは)最高。人生の他の道を考えるまでに何度もボコボコにされる。もっと戦うべきか、別のことに移るべきか? 俺が気にしているのはジムでやっているようなパフォーマンスが出来なくなることだけ。フリーズしなければ、基本的にはいい結果が待っている。俺の頭を占めている一番大きなものはジムでやっているようなパフォーマンスを発揮すること。無傷で試合を終えられたから、次の対戦相手を見つけたいね。次の試合までにかなり時間が空いていたから、早く巻き返したい。今年は少なくともあと2、3試合はしたいかな」
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▼女子フライ級 5分3R〇ケイシー・オニール(スコットランド)[2R 3分41秒 TKO]×シャナ・ドブソン(米国)
◆ケイシー・オニール「まだ誰も私の真の実力を目にしていない」
「名声を手に入れたい。年齢の割にそれほど長くこのスポーツ界にいるわけではないけれど、トレーニングに関してはもう長くやっている。望んでいたほど多くの試合に出られていないの。今年は有名になりたいと思っている。素晴らしい気分よ。まさに戦うようになってから夢見ていたこと。この日をずっと夢見てきた。裏では余計なプレッシャーを感じていた。“さあ、夢を実現しなさい”という感じかな。それを実現させた。興奮しているし、ほっとして幸せな気分よ。
最初のラウンドはスローだった。それが緊張だったかどうかは分からない。何かがうまく噛み合っていなかった。スロースタートで少し心配になったけど、私には世界で最高のジムがついていてくれる。今までのコーチ全員が私を後押ししてくれた。自分の頭の中で彼らの声が前に進めと言っているのが聞こえたの。それで実現させたわ。相手は動き続けていたからダメージのある打撃を与えるのが難しくなった。私は自分のポジションを好転させなくてはいけなくて、パウンドで打ち負かすことができなかった。グラウンドでは手に負えないと分かっていた。相手はやがて動きを止めて抜け出そうと思うと分かっていたわ。まだ誰も私の実力を目にしていないと約束するわ。今回は自分の能力の半分といったところよ。今の私が興奮していると思うなら、私がちゃんと足を踏み入れるまで待って。まだつま先を入れたところよ。そこで世界最高の選手と一緒に泳ぐことにワクワクしている」
▼バンタム級 5分3R○アイマン・ザハビ(カナダ)136lbs/61.69kg[1R 3分05秒 KO]×ドラコ・ロドリゲス(米国)140.5lbs/63.73kg※ ロドリゲスが体重超過。ザハビに報奨金の30%を支払う
◆アイマン・ザハビ「KOパンチはバターのようなツルッとした感じ」
「最高の気分だ。前回の試合は勝ちだったと思っているけど、2連敗を断ち切ることができて本当に満足している。今日は勝ててとっても嬉しいよ。疑いやジャッジは関係ない。観衆は俺が勝ったことが分かっている。そこに疑問の余地はない。相手は若いと知っていたから焦りたくなかった。相手はおそらくスピード面でかなり優位に立っていると思った。自分は気をつけて、スピードに負けないようにしたかった。だから我慢して相手が実際にどれだけ速いか見てみようって言ったんだ。落ち着いたところで、相手の動きが見えてきたから、それを退けながら、まずはパンチを繰り出していった。
面白いのは、ノックアウトするほどの打撃を食らわせたときに、まるで外したみたいに感じること。バターのようなツルッとした感じというか、空気をすり抜けるような感じというか。パンチが当たっているのに相手をノックアウトできないときは自分の手がちょっと痛い。俺は進化するために常にジムのトレーニングに参加している。大変だったのは精神面だよ。自分自身を人生の勝者だと思っている。俺には素晴らしい家族、順調なビジネスも良い友達もいる。連敗するまで自分はかなり成功したファイターだと感じていた。俺は勝者だと分かっているから、負け犬として見られたくない。努力して勝つために出来る限りのことをするつもりさ。年末までにあと2回試合するのを楽しみにしているよ」
▼ヘビー級 5分3R○セルゲイ・スピバック(モルドバ)[2R 4分32秒 TKO]×ジャレッド・バンデラ(米国)
◆セルゲイ・スピバック「何がきても受けて立つ」
「口数を減らし、オクタゴンで自分のスキルを見せるためにやるべきことをやるようにしている。UFCにいるのは難しいと分かっているし、可能な限り最高のレベルに到達しようと努力し続けるつもりだ。まさかあんな戦いになるとは思わなかったけど、勝てて良かった。これからも自分のスキルを発揮し続けたい。何度かハードなキャンプをやってきたけれど、今年は何がきても受けて立つ」
【中止】
▼フェザー級 5分3Rハファエル・アウベス(ブラジル)157.5lbs/71.44kgパット・サバティーニ(米国)145.5lbs/66.00kg※アウベスが大幅体重超過。体重管理に問題があったため、サバティーニ戦は中止に。
▼フェザー級 5分3Rチャス・スケリー(米国)146lbs/66.22kgジャマル・エマース(米国)145.5lbs/66.00kg
※入場直前にエマースが背中を痙攣、試合に適した健康状態ではないと判断されて欠場、スケリー戦は中止に。