MMA
インタビュー

【Polaris】高橋“SUBMISSION”雄己が英国で35秒、一本勝ちでタイトル戦をアピール「もっと強いやつを出してくれよ」という意思表示の“ショットガンアンクル”とは?

2025/02/14 17:02
 2025年2月8日(日本時間9日)、英国ドンカスター・ドームで開催された『Polaris 31』(公式YouTube配信)に高橋“SUBMISSION”雄己(和術慧舟會HEARTS)が参戦。24歳のジェイク・ゴールドソープ(英国)と対戦し、35秒で一本勝ちした。  2022年6月の『Polaris 20』以来、2年8カ月ぶりとなる同団体参戦の高橋は、Polarisで2連勝中のゴルソープとの試合前に「攻撃力を強化した“殺し”のあるグラップリングを見てほしい」とコメント。バンタム級(61.5kg)契約で、計量を60.85kgでクリアしていた。  試合は、先に詰めてゴールドソープの両手を掴んでシッティングの高橋が、ゴールドソープの左手を対角の左手で掴んで、右手でオーバーフックの動き。それを嫌ったゴールドソープが上体を上げたところに、右手で左足を手繰り寄せると、立ち上がったゴールドソープの左ふくらはぎを掴み、左足を股下に差し込んでハーフバタフライガードから足首、腿を掴んで前転。  その際で左足首を深く右脇下に入れた高橋は、内側の左足を“アウトサイドアシ”から、身体を左内側に捻り、横回転でアンクルを絞る。脇下に足首を挟み、左手でゴールドソープのヒザ下を掴むと、左足をオーバーフックした右手で左手首を掴んで固定。  中腰になり足首を立ててきたゴールドソープは自身の右腕をそのクラッチ中に差し込んで緩めようとするが、高橋は左足を相手の左腰に当てながら、腰を突き出して内側に絞ってうつ伏せに。開始35秒、アンクルロックでタップを奪った。  マット上のインタビューで高橋は、「ベリンボロとかいろいろ練習してきたけど早く極められて良かった。もっとたくさん大技を見せたかった」と日本語でコメント。  さらに英語で「ハロー、ワールド。私は高橋雄己です。日本から来ました。あなたたちの新しいグラップリングスターです。Polaris、俺にタイトルショットをください」と挨拶。大きな拍手と歓声を受けた。  試合後、高橋はXで、「試合見返したらリプレイ流してるとこで解説席のアシュリー・ウィリアムスが『ショットガングリップを組むためにインサイドサンカクのフェイクを入れたよね?』みたいに言ってて、正にエントリーに使ったハーフバタフライはそれを意図したものだったんだけど、一瞬で見て取ったアシュレイさすがだなと思った。ちなみにその前にリフトするためのチョイバーのフェイクも入ってる」とフィニッシュを解説している。  そのディテールについて、本誌が高橋に聞くと、「あのとき自分は、股の間にあるハーフバタフライで相手の体を浮かしており、逆の足を相手の足の外側に出そうとしています。これは“インサイドサンカク”──日本では“サドルロック”とよく呼ぶ入り方で、この動きに相手を反応させ、彼がサドルを組まれないように右足を引いたから、自分は彼の左足を深く捕える事ができたわけです」と説明した。  また、通常のアンクルロックとショットガンアンクルの違いについては、バックチョークのようなクラッチにあるといい、「人によりディテールは異なると思いますが、すごく簡潔にショットガングリップの利点を言うと、 ・クラッチが強固・グリップを緩めずに持ち手の位置の調整が出来る  くるぶしの下に前腕がくる位置がストレートフットロックにおいてベストですが、適当に深い位置でクラッチしてから胸をすくませるように後ろにズレる事でベストな位置にグリップを調整可能です」と、その利点を解説した。  試合後、Xで「Polaris 2戦目、35秒ショットガンアンクルで一本勝ち出来ました。接戦を判定で制した3年前とは別次元の強さを見せる事が出来たかと思います。マイクで触れたPolaris世界王座戦も現実味を帯びて話が進みそうです。日本の格闘技の歴史上最も大きな挑戦の一つになるかと思います。応援お願いします!」と投稿し、さらに「今回の相手のJakeも素晴らしい選手だけど、イギリスの『ナショナルトップクラス』の相手じゃもう俺にはお話しになんねえぜ。俺は“日本トップグラップラー“じゃなくて、“世界トップグラップラー”と呼ばれたいので、もっと強いやつを出してくれよ──という意思表示のショットガンアンクル」と秒殺勝ちを語った高橋。  練習仲間の須藤拓真は「一瞬だった笑」、石黒翔也は「高橋さんおめでとうございます! この持ち手作られたら終わりです」と祝福し、セコンドに入ったGerman Top Teamのグラップリングコーチで、HEARTSにも出稽古に来たことがあるレネ・ゼラーは「高橋さんの試合は予想通りの展開だった。 それにもかかわらず、彼のアグレッシブなレッグアタックを生で見ることができたのは大きな喜びだった。ウォーミングアップではショットガンアンクルロックを何度も極めたが、ロックが極まった数秒後には相手がタップすると確信していた。この試合は間違いなく一晩で最もエキサイティングな試合のひとつであり、高橋さんがこの素晴らしいプロモーションのために私をサポートに選んでくれたことをとても嬉しく思う!」とコメントを寄せている。 【写真】英国での試合後、ドイツに渡り、セミナーを行っている高橋。  英国で快勝した高橋は、本誌の取材に、「まずは勝てて嬉しいです。ここ半年で技術体系を見直していたのですが、その練習で感じていた自分の急激な進化に確信を持つ事が出来ました。相手がイギリス トップクラスの黒帯である事は知っていましたが、逆に厳しい言い方をすれば『ナショナルトップクラス』に留まる選手だと言うこと。世界の頂を目指すために『日本トップクラス』の評価を脱する必要がある自分にとっては苦戦はしてはいけない相手だとは考えていました。そういう意味で今回の試合で“ナショナルトップクラスじゃ俺には話になんねえぜ”っていうことをPolarisにアピール出来たのは素晴らしい成果だったと思います」と、英国遠征の成果を語った。  そして今後について、「マイクでタイトルマッチをアピールしたのですが、今回の試合の結果もあってか現実的な方向で話が進みそうです。次戦は別のビッグプロモーションで試合が内定しているので、今年の後半か来年かになるとは思いますが、タイトルマッチが実現すれば格闘技人生に恐らく2度はない、自分のキャリアの集大成になる一戦です。同時に日本のグラップリングの歴史上でも、最も大きなチャレンジの一つになるかと思います。全てが終わった時に絶対に後悔しないように、引き続き真摯に自分のグラップリングと向き合い続けたいです」と、今回の一本勝ちを機に、大勝負に挑む考えを明かした。  独自のアプローチでトップを目指す高橋“SUBMISSION”雄己のチャレンジに注目だ。
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