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【RIZIN】朝倉兄弟がケージ“1分大会”起ち上げへ「バズると思う」。注目すべき点は?

2021/02/19 15:02
 朝倉未来と朝倉海、そして朝倉兄弟が所属するトライフォース赤坂代表の堀鉄平氏が起ち上げる格闘技大会の概要が明らかになってきた。  本誌『ゴング格闘技』でも、自らが主催する大会のプランを明かしていた朝倉未来。赤坂見附に新しくオープンしたメガジム=トライフォース赤坂のフルサイズの金網オクタゴンの中で試合を行うことを語っている。  UFCとほぼ同じ直径9メートルのケージ。そこで、未来は「“1分大会”を起ち上げます」という。  自身のYouTubeでシバターに出場を呼び掛けた未来は、「1Rの試合時間が1分、それを3Rで戦う」と、新たな大会の試合形式を明かしている。  海は、「兄貴と俺と堀(鉄平)さんで、新しいジムの金網でアマチュア大会を開く。1分3Rのバチバチの試合で開催するから、そこにサイトウくんも出ることになると思う」と、YouTubeチームで格闘技に取り組むメンバーの出場を示唆した。 「メッチャ、バズると思います」という未来は、自身のルーツである空手でかつて経験した「1分間ルール」による打撃での決着、ストライカー発掘の思いもあるのだろう。また、キャリアの浅いアマチュア選手のスタミナ面も考慮し、1分間で互いに打ち合うことで、視聴者の興味もひくことになる。  立ち技から始まるMMA(総合格闘技)では、各ラウンドの試合時間が短かくなると、必然的に打撃の展開が増えることになる。組んで倒してパスガードして一本を極めるまでには、手順が必要になるからだ。  小さくコーナーのあるリングと異なり、フルサイズのケージではステップを踏んでサークリングして、相手の攻撃をカットすることも可能だが、試合時間を1分に区切ることで、勝つためには互いに近づいて攻撃をする必要に迫られる。 [nextpage] 1R1分で試合はどう変わる?  アマチュアキックでのオヤジファイトやキッズ大会では、試合時間が1R1分や2分などに短縮されることがあるが、大人のMMAの試合で1分は稀。  プロでは、かつてシュートボクシング(投げ技あり)が延長戦を1分に設定したことがあり、1992年11月の吉鷹弘vs.マンソン・ギブソン戦では、1R5分、2R4分、3R3分、4R2分で決着がつかず、1分の延長戦を3回戦った歴史がある。  また、MA日本キックボクシング連盟(士道館)が行った「サムライルール」では、1Rと2R(1stステージ)はボクシンググローブを着用してパンチ、キック、投げありで3分2Rで対戦し、3Rと4R(2ndステージ)はオープンフィンガーグローブに付け替えて寝技ありの総合格闘技ルールで5分2Rを戦うというミックスルールの先駆け的な試合を行っている。総じて組み技が入る試合は試合時間を長めに設定するのが特徴だ。  今回は、アマチュア主体のため、1分でいかにアグレッシブに戦うかに主眼が置かれているが、“何でもあり”のMMAでケージを使った攻防はどれだけ見ることができるか。また、格闘技において重要な打たれずに打つデフェンス能力はどこまで発揮できるか、いずれにしてもグラップラーにとっては厳しいルールになるだろう。その環境でどんな選手発掘・育成がなされるか。  実は、朝倉未来の発想に似た考えを実行に移した格闘家がいる。新格闘術を発足した黒崎健時氏だ。 【写真】黒崎健時(中央黒ジャケット)が主催した「ケンカ・オリンピック」選考風景。その左は梶原一騎。  黒崎氏は、本誌発刊の『必死の力、必死の心』で、「私はキックそのものの改革を考え、実行した。たとえば試合のテンポである。1R3分のキックと2分のプロ空手では、明らかにプロ空手の方が格闘技の本質に近い、と私は考えたのである。いまのキックのテンポをいま以上に早めれば、キックやプロ空手をはるかにしのぐ、より強力な格闘技が生まれる、と私は思ったのだ。  より短い時間に、より集中的にパワーを爆発させることの出来る者の方が強い、という原理こそ、格闘技の原理にほかならないのである。本来格闘技というものは、喧嘩のように、一瞬に勝負が決するものでなければならないのだ。おそらく真剣勝負であったなら、勝負に長い時は必要としないだろう。その一瞬に、全身全霊を動員する集中力がある者が勝つに違いないのだ。格闘技の窮極は、ある意味では、そういうものではないだろうか」と、空手家ならではの発想を語っていた。それは、セルフディフェンスを基とする柔術が、時間無制限でもサバイブして極める格闘技哲学とは異なる思想だった。 [nextpage] 朝倉海「人それぞれ思いがあってリングに立っている」  かつてストリートファイトを日常としていた未来が、路上を想定した短期決戦の試合形式を考えていたとしてもおかしくない。1分3Rで行われる試合は、果たしてどんなルールになるか。ゲーム性も含めて、ファイトスタイルに変化をもたらす可能性がある。  未来と並び、大会の主催の一人となる海は、「物語がある人を呼んで、どういう人かを密着して(動画で)流した上で、試合をさせる。格闘技って人それぞれ何か思いがあってリングに立っている。俺も仲間のためや家族のために、そういうものを背負って出ている。その背景を知って試合を見ると感情移入が出来る。THE OUTSIDERってそうだった。そういうのが出来たら絶対盛り上がる」と、試合に臨む選手の背景にもスポットライトを当てて、紹介していくと語っている。  また4月大会での再起戦を宣言している海は、「やっぱり格闘技がない人生はつまらない。練習してないとダメ。頭がおかしくなるっていうか。練習でバチバチ殴り合ってると“やっぱ楽しいな、格闘技最高だよ”って(思う)。だから早く試合したいなって。試合に向かう減量とか追い込みとかキツいけど、キツいときほど充実していて楽しい。その感覚がいま無いから面白くない」と、自身も試合を欲していることを語った。 「こんなに格闘技楽しいからもっと見てほしいし、やるのも楽しい。赤坂に新しいジムもオープンして、そこにもたくさん会員さんが入ってくれて、格闘技人口も増えていると思う。初心者から始める人も多いけど、みんな楽しいってどんどんハマっていく。キッズから育成もしているし、小さい頃から続けたら大人になったときにマジで強くなるから。そういう将来のスター選手みたいなのを育てるのもすごくいいよね」と、キッズ部門の展望も語った海は、自身のYouTube、TikTokでも若年層の拡散力に驚きを隠さなかった。朝倉兄弟が目標とする「格闘技を世間に広げる」ことは、着実に実を結んでいるようだ。  単なるジム興行とは異なり、選手が媒体を持ち、安全面を担保した上で、自らオリジナルの大会を主催することで、既存の団体やメディアはどうからんでくるか。今後の展開に注目だ。
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